N=1から可能性をひらく人たち

病院ですれ違った
患者さんの後ろ姿に
良い薬を届けようと心に誓った

奥山 真衣okuyama mai

2019年入社
開発研究部/薬物動態研究グループ/研究職
生命環境科学研究科 応用生命科学専攻 修了

京都府出身。就職活動をしている時期に、母親が肌荒れに悩まされていた。肌が荒れるという直接的な悩みだけではなく、外出が億劫になったり、気持ちが沈んだりすることを目の当たりにしたことから、マルホへの入社を決める。入社後は薬物動態の基礎を知るところからスタートし、現在では生体試料測定の他、モデル解析にも取り組んでいる。

肌荒れが母から笑顔を奪った

ちょうど、就職活動と重なっていたのですが、母の肌荒れがひどくなってしまった時期がありました。丁寧にスキンケアをしてもなかなか良くならず苦労している様子でした。肌荒れは他人からも分かってしまうものなので、母は外出を避けるようになり、気持ちも塞ぎがちに……。そして、目に見えて母の笑顔が減ってしまった時期に、マルホのことを知りました。皮膚科学の領域に特化している製薬会社で仕事をするということは、母のように悩んでいる人を笑顔にすることなんだと素直に思いました。

学生時代は農学部で学びました。薬について専門的に学んだわけではないということで不安はありましたが、当時のマルホが「人の成長が質の高い貢献につながる」というミッションを掲げていたこともあり、チャレンジすることに決めました。

データを取り、解析することが仕事じゃない

農学部では食品の機能性について研究していました。研究を通して、健康に貢献することでたくさんの人を笑顔にしたいと考えるようになりました。その思いは今も変わりません。ただ、入社当時は薬についての専門知識がなくADME(吸収/分布/代謝/排泄)という薬物動態を意味する言葉も知りませんでした。学ぶことの多い毎日で大変ですが、とても充実した時間を過ごしています。

現在の主な仕事は薬物動態研究。具体的には投与後に血液や皮膚などの組織に移行した薬物濃度を測定しています。気をつけているのはデータを取り、解析することが仕事だと思わないようにすることです。私の仕事はデータを取ることではなく、医薬品を作ることです。仕事の一つひとつが医薬品の開発につながり、患者さんの笑顔につながっているということを忘れないようにしています。

あの日、病院ですれ違った患者さんのために

自分の仕事の本質を知ることが出来たのは、ある調査に参加したからです。データでは読み取れない患者さんの現状や困り事を病院の先生から直接聞き取るという調査でした。病院を訪問したのは診療時間が終わってから。日が傾きかけた頃でした。

病院に入ると、ちょうど診察を終えた何人かの患者さんたちとすれ違いました。患者さんの背中を見送った後、先生との面会時間を迎えました。先生から発せられる言葉はどれもリアルで説得力のあるもので、先生の言葉とさっきまで病院にいた患者さんの後ろ姿や横顔が重なりました。とても勉強になる充実した時間を過ごし、私は困っている患者さんたちのために仕事をしているんだ、良い薬を一日も早く届けるために仕事をしているんだ、という思いを胸に刻みました。

違う考えを受け入れることで最善が見えてくる

医薬品の承認申請は薬物動態研究グループだけで完結することはありません。たくさんの部署の担当者がみんなで考察し、協業する。当然、私とは違う意見も出てきます。私はそんな意見を一度受け入れることにしています。違う考えを受け、さらに考えることで自分の考えがさらに深くなっていくと感じているからです。

もちろん、自分の意見も口に出す必要があります。これは仕事にもプライベートにも通じることなのですが、やりたいことを言葉にして声に出すと、頭が整理されます。そして、周囲に知らせることで自分へのいいプレッシャーにもなります。多様な考えを受け止め、自分の意見も伝え、様々な選択肢の中から最善を選ぶ。それが患者さんにより良い薬を早く届けることにつながっていると私は信じています。

career

2019年4月
【 開発研究部/薬物動態研究グループ 】
血液や皮膚などの生体試料中の薬物濃度測定などを担当。
2023年4月からは、生体試料測定の他、より効率的な医薬品開発を目指して薬物動態理論に基づいたモデル解析にも注力している。