N=1から可能性をひらく人たち

デジタル解析で、
皮膚領域の未来を切り拓く

岩﨑 航太郎IWASAKI KOTARO

2017年入社
データサイエンス部/デジタルトランスレーショナルリサーチグループ/データサイエンス職
理学部 生物科学科 卒

兵庫県出身。生物が好きで理学部に進み、ウニの骨格形成を数理シミュレーションで研究。マルホの担当者の「ぜひ一緒に、人類の健康に貢献しよう」という言葉に心を動かされて入社を決意。薬学未経験ながら、実験、デジタル解析と実力を磨き、AI構築プロジェクトや分子シミュレーションへとフィールドを広げている。旺盛な好奇心で、患者さんへの貢献とマルホのデジタル強化を目指す。

ウニの研究からマルホへ、情熱が導いた新たな挑戦

学生時代はウニの研究をしていました。具体的にはウニの骨格の数理シミュレーションです。ウニの話をし出すと終わりませんよ(笑)。それほど、私は研究が大好きだったんです。そのため、あまり就職について深くは考えていませんでした。製薬会社も選択肢にはありませんでしたね。でも、私自身は社会の役に立ちたいという想いは強く持っていました。そんな時、大学に企業が来訪される説明会があり、マルホの話を聞く機会を得ました。この時、マルホの担当者の「ぜひ一緒に、人類の健康に貢献しよう」という言葉に惹かれたんです。
その熱意に私は強く感動しました。マルホという会社の挑戦する風土があれば、薬学未経験の私でも、論理的思考と研究スキルの汎用性を信じて飛び込める、と考えたんです。マルホとの出会いは、本当に偶然でした。しかし、出会いは偶然であっても、熱意が私たちを引き合わせてくれたと感じています。

実験者から解析者へ、患者さんのための探求を加速

入社後は、薬物の皮膚透過実験を担当しました。塗り薬がどの程度、皮膚を通るかを評価する仕事です。ここで基礎を学んで、3年目からはデジタル解析に移りました。探索動態、製剤研究、モダリティ研究、トランスレーショナル研究を経て、現在は分子シミュレーションで化合物を仮想スクリーニングしたり、製剤の物性評価、Omicsデータや臨床情報で疾患メカニズムや副作用メカニズムを解析したりしています。
デジタル解析は、新薬創出や上市品のエビデンス強化のためにも不可欠。社外のIT企業やアカデミアとも協業し、解析技術の開発・導入・評価・運用を推進しています。私の仕事の7割は他部署との連携ですね。実験者とのコミュニケーションが、正確なデータ解釈の鍵。解析で仮説を証明する喜びを実験者と共に感じながら、10~20年という長期にわたる医薬品開発の成果に活かせることにやりがいを感じています。

AIプロジェクトで学んだ、連携と解釈の重要性

私は実験の仕事に取り組みながら、入社2年目から医薬品特性予測のAI構築プロジェクトに参加していました。当時はちょうどAIが事業に導入され始めた頃。そんな時代の変革期に最初から立ち会えたことは大きな経験になりました。現在、手がけているデジタル解析に必要なすべてのフローに関わることができたのは幸運でしたね。
実験データの取得、AI構築、デジタル解析の運用と活用。これらの一つひとつを知っているからこそ、実験プロセスを理解すること、解析目的に合ったデータを取得することの重要性を学び、その上で、最も重要なのは、実験者と解析者のコミュニケーションだということを学びました。この経験がデジタル解析業務をする上での、私の基礎になっています。
皮膚科の視覚的評価や膨大な生体情報を活用し、適切な患者さんへの医薬品提供や新薬の種を探す道標にする。そのために、解析データは「置いておくだけでは意味がない」という姿勢を社内で育み、活用できる環境を創出していく必要があるのだと考えています。

患者貢献を信念に、マルホにデジタル改革を

私の信念は、患者さんに貢献できているかを常に考えること。デジタル解析は患者さんと直接的に関わらないため、真の目的が見えにくくなってしまいます。でも、私たちの努力・成果は、間違いなく医薬品として患者さんに届きます。研究者は、私も含めて、つい自分の興味に流されやすいんです(笑)。学術的な研究者ではなく、企業の研究者としては、サイエンスの喜びと社会貢献を両立させる必要がありますから。いまの自分の努力が10年後の患者さんの笑顔につながるのだということを忘れないようにしています。
マルホは挑戦する風土を持つ非常にポジティブな会社だと思っています。だからこそ、デジタル解析に強い会社に変えたい。そうすれば、日進月歩の解析の進化という荒波に流されず、皮膚科学領域のリーダーとしての確固たる地位を築くことができると考えています。そのためにこれからも尽力していきたいですね。

career

2017年4月
【 開発研究部 】
薬物動態研究グループに配属。皮膚透過実験を担当。
2017年10月
【 CMC研究部 】
製剤研究グループへ異動。実験業務を継続し、AI構築プロジェクトに参加。
2019年~
【 探索研究部/トランスレーショナルリサーチ推進部/データサイエンス部 】
探索動態グループ、モダリティ研究グループを経て、デジタルトランスレーショナルリサーチグループでデジタル解析を主業務に。分子シミュレーション、Omics解析、臨床情報解析、副作用メカニズム解析に注力。