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褥瘡辞典(じょくそうじてん) for FAMILY ~褥瘡(じょくそう・床ずれ)の正しいケアと治療のために~

Q&A おしえて!先生

予防・ケア
Q褥瘡(床ずれ)ができたかどうかを見分ける方法はありますか?
A皮膚が赤くなっている場合、それが一時的なものか褥瘡(床ずれ)なのかを見分ける必要があります。最も簡単なのは、赤くなった部位が圧迫されない姿勢にして、約30分後に赤みが消えているかどうかを観察する方法です。赤みが残っていれば褥瘡(床ずれ)の可能性がありますので、すぐに医師または看護師に相談しましょう。

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Q褥瘡(床ずれ)を予防するために大切なことは?
A褥瘡(床ずれ)の予防・早期発見には、全身の皮膚の状態をよく観察することが大切です。入浴や着替えのときなどに皮膚をよく観察しましょう。
また、褥瘡(床ずれ)の原因となる圧迫・ずれ、皮膚の汚れ、栄養不足などを取り除くケアを行うことが大切です。

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Q褥瘡(床ずれ)ができていても入浴できますか?
A原則的に入浴してもかまいません。
入浴することで血行がよくなるうえに、褥瘡(床ずれ)の傷をシャワーなどで十分に洗うことは褥瘡(床ずれ)の治療にも効果があります。全身の状態が安定していれば、積極的に入浴するようにしましょう。
また、傷のまわりを石けんやボディシャンプーで洗う場合は、傷に石けんやボディーシャンプーがなるべく入らないように注意しましょう。ただし、万が一入っても心配ありません。
湯船につかるときは、傷によってお湯が汚れるのを防ぐために、傷を防水性のドレッシング材(被覆材)でカバーしましょう。最後にドレッシング材(被覆材)をはがして傷にシャワーをかけます。

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Q円坐(ドーナツ型クッション)を使用してもいいですか?
A円坐(ドーナツ型クッション)の使用は避けてください。
円坐を使用すると、皮膚にあたる部分に圧力が加わることにより血流が悪くなり、褥瘡(床ずれ)ができることがあります。また、座るときに円坐を使用すると姿勢が不安定になります。

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Q体の向きや姿勢を変えなければいけないのはどうしてですか?
A褥瘡(床ずれ)は、ベッドのマットや布団、車いすなどと接触する部分の皮膚が、長い時間続けて圧迫されることによりできます。褥瘡(床ずれ)ができたり、悪化することを予防するためには、体の同じ部位の皮膚に加わる力を小さくし、負荷がかかる時間を短くしなければなりません。そのためには、適度に体の向きや姿勢を変える体位変換が大切です。

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Q体の向きや姿勢は何時間ごとに変えればいいですか?
A横になっている場合は、2時間ごとを目安に体の向きや姿勢を変える体位変換が推奨されています。患者さんと介護者の生活リズムに合わせて体位変換をするようにしてください。特に夜間の体位変換は、介護者の就寝前、起床などに合わせて行うと負担を軽減できます。
座っている場合は、自分で体を動かすことができる患者さんでは15分ごと、自分で体を動かすことができない患者さんでは30分から1時間ごとに座りなおしを行うことが推奨されています。
ただし、患者さんのやせている程度、むくみの有無、体圧分散用具の使用の有無およびその機能の程度など、複数の要因が関係するため、何時間ごとの体位変換がよいかは患者さんによって違います。医師や看護師などと相談して体位変換スケジュールを立てましょう。

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Q食事が摂れないときはどうしたらいいですか?
A
  • 食欲が低下している場合
    薬の副作用や味覚異常、発熱、また食欲と関係のあるビタミンB群が不足しているなどの原因がある場合は、それを取り除くようにします。
    食事のメニューに患者さんの好きなものを入れる、家族と一緒に楽しく食べる、食べ物が見える姿勢にする、盛り付けをきれいにする、香りづけをするなどの工夫をします。
  • 栄養が不足している場合
    牛乳・ヨーグルトなどタンパク質(体を作る成分)の多い乳製品やプリン、ゼリーなど糖分(エネルギー源)の多い食品、栄養補助食品などを活用しましょう。
  • 噛む力が弱くなっている場合や飲み込むことが難しい場合
    小さく切る、やわらかく調理をして食べやすくする、とろみをつけるなどの工夫をします。
  • 食べられない場合
    胃から直接栄養を摂る方法や、点滴で栄養を摂る方法などが行われることもあります。医師や看護師、栄養士と相談し栄養不足にならないようにしましょう。

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Q食事で気をつけることはありますか?
A
  • 栄養の摂り方
    栄養がかたよらないように、タンパク質、ビタミン、ミネラルなどをバランスよく摂るようにします。
    水分は1日に体重1kgあたり25mL、エネルギーは体重1kgあたり25~30kcalを目安に摂るようにしてください。また、毎日の食事量に変化がないか気をつけましょう。食事が十分摂れなくなったら、医師や看護師に相談してください。
  • 食事の方法
    食事を摂るときの姿勢は、高すぎないテーブルを前にして、背もたれのあるいすに深く腰掛け、前かがみの姿勢をとりながら、両足のかかとをきちんと床につけるようにします。なお、マヒが体の片方にあるなどの理由で左右のバランスがとりにくい場合は、肘(ひじ)当て付きのいすを使うとよいでしょう。
    食事を介助する場合は、患者さんの横に座り下から食べ物を口に運ぶようにします。

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Qおしりに褥瘡(床ずれ)があるときに車いすを使ってもいいですか?
Aおしりに褥瘡(床ずれ)があっても車いすを使うことができます。
ただし、褥瘡(床ずれ)部分に力がかからないように以下のことに注意しましょう。車いすを使っているときに姿勢が保てないと、おしりの中央部にある骨の突出した部分(仙骨部<せんこつぶ>)に摩擦とずれが起こります。悪化の予防として、太ももの裏側の広い面積で体を支えられるよう、股関節(こかんせつ)、膝関節(ひざかんせつ)、足関節ができるだけ90度になるようにクッションなどで姿勢を整え、定期的に座りなおしをするようにします。

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Qおむつやテープでかぶれないようにするにはどうしたらいいですか?
Aおむつは吸水性が高く、逆戻りしない通気性のよいタイプを使用しましょう。おむつを何枚も重ねるとおしりの皮膚が蒸れたり圧迫されたりするので、重ねないようにしましょう。
テープは軟らかい素材のものを使用しましょう。テープを貼るときは、引っ張りすぎないように貼ります。テープをはがすときは、テープを貼っている周囲の皮膚を手で押さえながら、肌に刺激を与えないようにゆっくりとはがします。

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Q尿失禁、便失禁は褥瘡(床ずれ)に影響しますか?
A失禁により尿や便が皮膚に長く触れていると、皮膚にふやけやかぶれ、ただれが起きやすくなり、皮膚が傷つきやすくなります。その結果、褥瘡(床ずれ)になりやすくなりますので、皮膚に尿や便が長い時間ついたままにしないようにしましょう。

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Q褥瘡(床ずれ)の傷は市販の石けん、ボディーソープで洗ってもいいですか?
A褥瘡(床ずれ)の傷は市販の石けん、ボディーソープで洗わないでください。
傷は洗浄ボトルを用いて、生理食塩水または水道水のぬるま湯で洗います。
傷のまわりの部分は市販の石けん、ボディーソープで洗っても大丈夫です。肌にやさしい弱酸性の石けんをよく泡立てて、やさしく洗ってください。洗い流すときに、洗浄液が傷口に入っても問題はありません。

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Q気をつけるべき症状や体調の変化はありますか?
A
  • 気をつけるべき皮膚の症状は、皮膚の赤み(→新しい褥瘡<床ずれ>の発症)、褥瘡(床ずれ)の傷の周囲が赤く腫れて熱をもっている場合などです。
  • 気をつけるべき体調の変化は、食事量や水分摂取量が減り栄養状態が悪くやせてくる場合、むくみが悪化している場合、発熱、吐き気、嘔吐(おうと)、下痢などの症状が続いている場合などです。
    少しでも気になる症状や体調の変化があれば、医師や看護師などに相談しましょう。

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Q褥瘡(床ずれ)の傷が治ったらどのタイミングでケアをやめてもいいですか?
A傷が治ってもケアやお薬をいつまで続けるかは、自己判断せずに医師や薬剤師などに相談しましょう。
また、褥瘡(床ずれ)の再発を予防するために、体の表面に加わる圧力を分散させるケアや体の姿勢や向きを変えるケアは続けていくことが大切です。医師や看護師から、再発を予防するケア方法の指導を受けましょう。

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Q介護サービスはどうやったら受けられますか?
A介護サービスを利用するためには、市町村が行う「要支援・要介護認定」の判定が必要です。まずはお住まいの市町村の担当窓口に「要支援・要介護認定」の申請をしてください。判定された要支援度・要介護度に基づいて「ケアプラン」が作成された後、介護サービスを受けることができます。

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Q身近にあるもので処置に使えるものはありますか?
A
  • ビニール製のレジャーシートは、洗浄のときの汚れの防止に使用できます。
  • 先細のキッチン洗剤などの空容器は、洗浄ボトルの代わりに使用できます。よく洗い乾燥させて使用してください。
  • プリンなどのプラスチックスプーンは、ぬり薬をガーゼなどに延ばすときに使用できます。
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