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褥瘡辞典(じょくそうじてん) for FAMILY ~褥瘡(じょくそう・床ずれ)の正しいケアと治療のために~

褥瘡(じょくそう・床ずれ)の予防とケア

圧迫・ずれを減らすためのケア

体圧分散ケア-横になっているときのケア
体位変換スケジュール

同じ体位(姿勢)が続かないように、仰向け、横向きが交互になるように、体の向きを変えましょう。

体位変換は2時間ごとを目安にするとよいですが、患者さんと介護者の生活リズムに合わせて計画すると実施しやすいでしょう。

特に夜間の体位変換は、介護者の就寝前、起床時などに合わせて行うと負担を軽減できます。

医師や看護師などと相談して体位変換スケジュールを立てましょう。

体位変換スケジュール表
石川治, 田村敦志編集:創傷治療プラクティス:104, 2006より一部改変
ケアの方法

ここでは「かかとの圧力を減らすケア」、「体圧を分散させる体位(姿勢)」、「背上げを行うときのケア」、「仰向けに寝ている状態から横向きに寝ている状態への体位変換」、「体位変換のワンポイントアドバイス」について紹介します。

●かかとの圧力を減らすケア

かかとの褥瘡(床ずれ)を予防するために、膝(ひざ)から足首の部分にクッションなどをあてて、かかとを浮かせます。

かかと部分に円坐(ドーナツ型クッション)を使用すると、皮膚にあたる部分に圧力が加わり、かかと部分の血流が悪くなるため、円坐の使用は避けましょう。

写真:かかとの圧力を減らすケア
マルホ(株)小冊子:褥瘡ケアを知ろう:11, 2009

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●体圧を分散させる体位(姿勢)

横向きに寝ている場合は、写真(30度側臥位<そくがい>)のようにするとおしりの中央にある骨が突出している部分(仙骨部<せんこつぶ>)、太ももの骨が突出している部分(大転子部<だいてんしぶ>)の褥瘡(床ずれ)を予防できます。

この体位(姿勢)はおしりの筋肉で体を支え、ベッドのマットや布団とあたる面積を広くし、かかる力を分散できます。

・30度側臥位(そくがい):30度にかたむけて保持した状態

写真:30度側臥位
図:30度側臥位
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石川治, 田村敦志編集:創傷治療プラクティス:105, 2006より一部改変
・横向きに寝ている状態から30度側臥位(そくがい)への体位変換
写真:横向きに寝ている状態から30度側臥位(そくがい)への体位変換
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●背上げを行うときのケア

上半身を起こす角度を30度以下にすることにより、体がずり落ちたときに生じる皮膚のずれやおしりの部分にかかる力を小さくすることができます。

・背上げの状態

写真:背上げの状態

・背上げの方法

背上げをする場合は、膝(ひざ)を曲げてから上半身を起こします。

上から引っ張る場合写真:背上げの方法(上から引っ張る場合)
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下から押し上げる場合写真:背上げの方法(下から押し上げる場合)
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寝巻きやシーツの小さなしわでも皮膚を圧迫するため、皮膚が弱くなっていると、褥瘡(床ずれ)の原因となることがあります。

背上げを行った後は体を浮かせ、背中の皮膚にかかる力を除き(背抜き)、寝巻きやシーツのしわをそっと伸ばしましょう。シーツは引っ張りすぎると、かえって圧迫をまねくので注意しましょう。

・背抜きの方法

マルチグローブを使用する場合写真:背抜きの方法(マルチグローブがある場合)
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マルチグローブを使用しない場合写真:背抜きの方法(マルチグローブがない場合)
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マルチグローブについて

背抜きの際、マルチグローブがあると便利です。マルチグローブがない場合は、ビニール袋でも代用できます。
写真:マルチグローブ

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●仰向けに寝ている状態から横向きに寝ている状態への体位変換
写真:仰向けに寝ている状態から横向きに寝ている状態への体位変換
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体位変換のワンポイントアドバイス

1人で介助すると、患者さんを引きずってしまうことがあるため、皮膚に摩擦やずれが起きやすくなります。また、患者さんの転落・骨折の危険性もあるため、可能であれば2人で介助しましょう。1人で行う場合は、無理をせず部分的に少しずつ移動させるようにします。
引きずりによる皮膚への負担を少なくするためには、あらかじめ滑りやすいシートを体の下に敷いておくとよいでしょう。

体圧分散ケア
体圧分散ケア-座っているときのケア

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