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第4回:治療や検査方法について患者説明のポイントを整理する

「ChatGPT、興味はあるけど指示の出し方がわからない」──そんな先生方の声を多く耳にします。使いこなすコツは、理論より実践。まずはAIとの「対話」に慣れることが近道です。 本ウェブ連載では、日々の診療やスタッフ・患者さんとのコミュニケーションに即効性のあるプロンプトを厳選して紹介します。まずはそのまま入力してみてください。AIという新たなパートナーとの対話が、先生の業務を劇的に変えるきっかけになるはずです。

はじめに

今回は、患者説明に活用できる2つのプロンプトを紹介します。疾患や治療法を患者さんへ説明する際、専門用語をやさしい言葉に置き換え、必要に応じて図や具体例を用いた説明文の作成に活用できます。検査の目的や手順、注意点を整理し、同意取得や初診患者向けの資料を作る際にも役立ちます。書籍『臨床・研究を変える究極のプロンプト500選』から2つのプロンプトを紹介するとともに、本連載オリジナルのテンプレートを紹介します。

疾患や治療法に関して説明資料を作成する

プロンプト

[疾患名および治療法]に関して、患者が理解しやすい説明文を作成してください。

ChatGPTの回答

糖尿病は、血液の中の「ブドウ糖」というエネルギー源が多くなりすぎる病気です。体が食べ物からエネルギーをうまく取り込めず、血糖値が常に高い状態が続くと、目や腎臓、神経などに負担がかかります。
内服薬は、体が血糖値を上手にコントロールできるようにサポートします。たとえば、ある薬は体がインスリンを出しやすくし、またある薬は腸での糖分の吸収をゆっくりにして、血糖値の急な上昇を防ぎます。薬をきちんと飲むことで、普段の生活でも血糖値を安定させやすくなります。さらに、食事や運動、定期的な検査を組み合わせると、より健康的な状態を保つことができます。

[疾患名および治療法]のアレンジのコツと効果的な活用のためのポイント

プロンプトのアレンジのコツ

「患者が理解しやすい説明文」を「小学生にもわかる説明文」「医学知識のある人向けの詳しい解説」などに置き換えることで、患者の理解度や予備知識に応じた説明文を作成できる。

効果的な活用のためのポイント

  • 得られた回答を実際の患者背景に合わせて簡略化し、強調点を整理する。
  • 図解や具体例(普段の食事、日常生活習慣)を加えると、さらに理解が深まる。
  • 患者が「なぜこの治療が必要なのか」を理解できるように、治療の目的と期待できる利益を示す。

検査方法に関して説明資料を作成する

プロンプト

大腸内視鏡検査の目的と実施手順に関して、患者が理解しやすい説明文を作成してください。

ChatGPTの回答

大腸内視鏡検査は、細く柔らかいカメラ(内視鏡)を使って大腸の内側を直接観察する検査です。大腸ポリープや炎症、がんなどの異常がないかを映像で確かめ、必要に応じて組織を採取したり、ポリープを切除したりします。
検査当日は、腸の中をきれいにするために下剤を飲み、何度か排便します。これにより、大腸の壁を観察しやすくなります。検査中はベッドに横になり、肛門から内視鏡をゆっくり挿入して大腸を調べます。痛みや不快感を和らげるため、鎮静剤や鎮痛剤を使うこともあります。検査後は体調を確認し、必要な時間休んでから帰宅します。検査結果と今後の対応は担当医が説明します。

[検査方法]のアレンジのコツと効果的な活用のためのポイント

プロンプトのアレンジのコツ

「検査」を「予防接種」「リハビリ評価」「カウンセリング」など、別の医療行為や手続きに置き換えられる。同じ構造を用いることで、さまざまな場面の患者説明に応用できる。

効果的な活用のためのポイント

  • 実際の検査時間、麻酔・鎮静の有無、食事制限、検査前後の注意点などを追加する。
  • 検査後に起こり得る症状や合併症、医療機関へ連絡すべきサインなど、患者さんが疑問に感じやすい点を補足する。

詳細な条件を指定したプロンプト

コピペして必要な箇所を書き換えることができるテンプレートを用意しました。テンプレートに沿って詳細な条件を指定することで、より目的に沿った返答を得ることができます。

カスタマイズ用プロンプト

あなたは医療者向けに、患者説明と同意取得を支援する文章を作成する専門家です。下記の治療・検査について、3〜5分で患者さんに説明できるよう、重要なポイントに絞って整理してください。患者さんの氏名など、個人を特定できる情報は入力せず、施設固有の情報が不明な場合は推測しないでください。

- 治療・検査名:〔 〕
- 対象となる疾患・症状:〔 〕
- 特に伝えたい点:〔 〕
- 施設での実施条件:〔麻酔・鎮静の有無、所要時間、前後の注意など〕

出力は以下の4項目にしてください。  
1. 何のために行うか
2. 期待される効果
3. 主なリスク・注意点
4. 患者さんに確認すること

各項目は3〜5文以内、全体で1,000字以内にしてください。
患者さん向けのやさしい言葉で書き、不明な点は〔要確認〕としてください。

実際のプロンプト例

あなたは医療者向けに、患者説明と同意取得を支援する文章を作成する専門家です。下記の治療・検査について、3〜5分で患者さんに説明できるよう、重要なポイントに絞って整理してください。患者さんの氏名など、個人を特定できる情報は入力せず、施設固有の情報が不明な場合は推測しないでください。

- 治療・検査名:〔大腸内視鏡検査〕
- 対象となる疾患・症状:〔健康診断で便潜血検査が陽性〕
- 特に伝えたい点:〔鎮静下で行うこと〕
- 施設での実施条件:〔鎮静剤を使用、所要時間は全体で3〜6時間、検査前に腸管洗浄を行い、検査後は1〜2時間の休息が必要〕
(以下同)

ChatGPTの回答

以下は、3〜5分で説明できる患者さん向けの文案です。施設ごとの同意書や検査手順、医師の指示に合わせて調整してください。

  • 1.何のために行うか

    大腸内視鏡検査は、細いカメラを肛門から入れ、大腸の中を直接観察する検査です。健康診断の便潜血検査で陽性となった場合などに、大腸がんやポリープ、炎症など、自覚症状のない病気を早い段階で見つけるために行います。検査前には下剤を飲んで腸の中をきれいにする「腸管洗浄」が必要です。

  • 2.期待される効果

    大腸の粘膜を詳しく観察でき、小さなポリープや早期のがんを発見できる可能性があります。必要に応じて、組織の一部を採取して詳しく調べることがあります。また、ポリープが見つかった場合に、その場で切除できるかどうかは〔要確認〕です。

  • 3.主なリスク・注意点

    検査中の苦痛を和らげるため、鎮静剤を使用して眠ったような状態で行いますが、呼吸や血圧が低下したり、検査後に眠気やふらつきが残ったりすることがあります。まれに出血や腸に穴が開くなどの合併症が起こる可能性があり、強い腹痛や多量の出血があれば、すぐに医療機関へ連絡してください。腸管洗浄から検査後の休息まで、全体で3〜6時間程度かかり、検査後は院内で1〜2時間休んでいただきます。鎮静剤を使用するため、検査当日は車、バイク、自転車を運転せず、送迎や公共交通機関をご利用ください。

  • 4.患者さんに確認すること

    現在飲んでいる薬、特に血液を固まりにくくする薬や糖尿病の薬があるか、お薬手帳で確認します。薬や食べ物のアレルギー、心臓・肺の病気、過去の手術歴、鎮静剤で具合が悪くなった経験についてもお知らせください。妊娠の可能性、当日の体調、検査後の帰宅方法や付き添いの有無も確認します。薬は自己判断で中止せず、事前の指示に従ってください。

まとめ

生成AIは、疾患、治療、検査の情報を患者さんに届く言葉へ置き換え、説明の抜けを確認するための「たたき台」づくりに向いています。ただし、出力をそのまま説明文や同意書として使うことはできません。適応、期待できる効果、代替手段、合併症の種類や頻度、検査前後の注意点は、最新の添付文書、ガイドライン、院内文書と照合し、医療者が確認してください。
患者さんの氏名や診察券番号など、個人を特定できる情報は入力しません。プロンプトには、対象患者、説明時間、施設条件、必ず伝えたい点を具体的に書き、不明な事項を〔要確認〕とさせると、確認すべき場所が見えやすくなります。生成AIに説明を任せるのではなく、患者さんの理解度や不安に合わせて説明を整える補助者として使うことが、安全で実践的な活用法です。

関連プロンプト:疾患および治療に関する説明文の作成

363

[疾患名]の病態生理を一般的な中学生レベルで理解できるように説明してください。

364

[治療法]の副作用について、患者が不安を感じにくいような言い回しで説明してください。

365

[治療法]の効果をわかりやすく示すため、改善した症例のイメージを提示してください。

関連プロンプト:検査に関する説明文の作成

375

[検査]の結果が出るまでの期間や、その後の対応について患者が理解しやすい説明文を作成してください。

376

[検査]に関する事前準備(食事制限・薬物中止など)を患者へ簡潔に説明してください。

377

[検査]後に考えられる軽い症状や、受診すべきサインを患者用にわかりやすく説明してください。

著者

大塚篤司先生
近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授

ご略歴
2003年、信州大学医学部卒業。博士(医学)。日本皮膚科学会専門医・指導医、がん治療認定医、日本アレルギー学会認定専門医など。京都大学医学部特定准教授を経て2021年より現職。
がん・アレルギーのわかりやすい解説をモットーとし、コラムニストとしても活躍。
著書に『世界最高のエビデンスでやさしく伝える 最新医学で一番正しい アトピーの治し方』(ダイヤモンド社)、『白い巨塔が真っ黒だった件』(幻冬舎)、『まるごとアトピー―アトピー性皮膚炎の病態から最新薬剤、患者コミュニケーションまで』『皮膚科手技大全』(医学書院)、『皮膚科医の病気をめぐる冒険―医療を超えたクロストークで辿り着いた新しい自分』(新興医学出版社)、『皮膚科の診断に迷ったらChatGPTに全部聞いちゃえ!』(中外医学社)などがある。
いまだに医学書院からB’zの本を出してもらえない。
X(旧Twitter):@otsukaman

クレジット

本記事の内容は『臨床・研究を変える究極のプロンプト500選:医師による医師のためのChatGPT入門』大塚篤司 著(医学書院, 2025年)を基に再構成したものです。

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