「ChatGPT、興味はあるけど指示の出し方がわからない」──そんな先生方の声を多く耳にします。使いこなすコツは、理論より実践。まずはAIとの「対話」に慣れることが近道です。 本ウェブ連載では、日々の診療やスタッフ・患者さんとのコミュニケーションに即効性のあるプロンプトを厳選して紹介します。まずはそのまま入力してみてください。AIという新たなパートナーとの対話が、先生の業務を劇的に変えるきっかけになるはずです。

このプロンプトは、医療機関やクリニックなどで、患者から寄せられた苦情(待ち時間、応対態度、治療内容への不満など)に対して、礼儀正しく、真摯な姿勢で回答文を作成したい場合に有用です。苦情対応では、謝罪、事情説明、改善策の提示などを含め、患者の気持ちを理解し誠実に対応することが求められます。実際の院内マニュアル作成時にも活用できます。
書籍『臨床・研究を変える究極のプロンプト500選』からプロンプトを紹介するとともに、本連載オリジナルのテンプレートをご紹介します。
[苦情内容]:『先日来院した際、受付での対応が冷たく、長時間待たされた。』 この苦情に対して丁寧な回答文を作成してください。
【回答例(日本語)】
○○様
このたびは、当院での受付対応および長時間の待ち時間によりご不快な思いをさせてしまい、誠に申し訳ございません。患者様に安心して受診いただくことが当院の使命であるにもかかわらず、その期待に沿うことができなかったことを深くお詫び申し上げます。
今回ご指摘いただいた点については、関係部署で共有し、当日の状況を確認したうえで、受付でのご案内や待ち時間に関する説明のあり方を見直してまいります。今後は、混雑時であっても患者様に不安やご不快を与えないよう、丁寧な応対と適切な情報提供に努めてまいります。
何かご不明な点やご意見がございましたら、遠慮なくお知らせください。引き続きご信頼いただけるよう、努力を続けてまいります。
○○クリニック
責任者名・連絡先
コピペして必要な箇所を書き換えることができるテンプレートを用意しました。テンプレートに沿って詳細な条件を指定することで、より目的に沿った返答を得ることができます。
あなたは病院の患者相談・クレーム対応の責任者です。誠実かつ簡潔で、法的・実務的リスクに配慮した回答文を作成してください。 - 苦情内容: - 発生日時と場所: - 回答チャネル:書面/メール/口頭: - 申出者:患者本人/家族: - 確認できている事実: - 既に取った対応: 下記の出力ルールを守ってください。 - 構成:①お詫び・受け止め ②事実確認の姿勢 ③背景説明 ④改善・再発防止策 ⑤結び - 未確認の事実は認定せず断定的な約束はしない - 過度にへりくだらず誠実で簡潔に - 不明箇所は〔 〕で残す - 「お詫び重視」「事実確認・冷静重視」の2案を出す
あなたは病院の患者相談・クレーム対応の責任者です。誠実かつ簡潔で、法的・実務的リスクに配慮した回答文を作成してください。 - 苦情内容:先日来院した際、受付での対応が冷たく、長時間待たされた。 - 発生日時と場所:昨日病院内で発生 - 回答チャネル:メール - 申出者:患者本人 - 確認できている事実:昨日は連休明けのため予約が混みあっていた。病院側の過失などで特別に遅かった事実はない。 - 既に取った対応:なし (以下同)
件名:ご意見について
〔患者氏名〕様
このたびは、昨日のご来院時に受付での対応によりご不快な思いをおかけし、またお待たせすることとなり、申し訳ございませんでした。せっかくご来院いただいたにもかかわらず、そのようなお気持ちにさせてしまったことを重く受け止めております。
まずは、当日の受付対応や待ち時間の状況について、関係部署にて事実関係を確認してまいります。ご指摘の内容は真摯に受け止め、必要な確認を進めます。
昨日は連休明けのため予約が集中しており、院内全体として通常より混み合っていた状況がございました。一方で、混雑している場合であっても、受付でのご案内やお声がけが十分でなければ、冷たい対応と受け取られかねないものと認識しております。
今後は、混雑時においても患者様へのお声がけや説明の仕方に配慮するよう、受付担当者への周知を行うとともに、待ち時間に関するご案内のあり方についても見直してまいります。
このたびのご指摘を今後の対応改善に生かしてまいります。差し支えなければ、当日の状況についてお気づきの点がございましたら、〔連絡先〕までお知らせください。
〔病院名〕 〔部署名〕 〔担当者名〕 〔連絡先〕
件名:ご意見への回答
〔患者氏名〕様
このたびは、昨日のご来院時の受付対応および待ち時間についてご意見をお寄せいただき、ありがとうございます。受付での対応が冷たく感じられたこと、また長くお待ちになったとのことにつきまして、ご不快な思いをされたことにお詫び申し上げます。
ご指摘いただいた内容については、当日の受付状況やご案内の経過を含め、関係部署にて確認いたします。現時点で確認できている範囲では、昨日は連休明けのため予約が集中しており、院内が全体的に混み合っていた状況でした。他方で、個別の対応内容については、今後の確認を踏まえて適切に受け止めてまいります。
当院としては、混雑時であっても、患者様に不安やご不快を与えない説明と応対が必要であると考えております。そのため、受付時の案内方法や待ち時間のご説明について、関係職員への共有を行い、必要な見直しを進めます。
このたびのご意見は院内で共有し、今後の対応改善に役立ててまいります。追加でお知らせいただける事項がございましたら、〔連絡先〕までご連絡ください。
〔病院名〕 〔部署名〕 〔担当者名〕 〔連絡先〕
「苦情回答」を「問い合わせ対応」「要望への応答」「クレーム対応マニュアル作成」などに発展させられる。同じ考え方で「関連病院からの要望」「受験生からの質問」などへの対応プロンプトとしても応用できる。
患者さんからの苦情や要望への返答は、単なる謝罪文ではなく、医療機関への信頼を保つための重要なコミュニケーションです。一方で、その場の感情だけで文章を作ると、事実関係を断定しすぎたり、必要以上の約束をしてしまったりする危険があります。生成AIを使うと、「お詫び・受け止め」「事実確認」「背景説明」「改善策」「結び」といった要素を整理し、落ち着いた文面のたたき台を短時間で作成できます。
ただし、患者氏名、連絡先、受診日時など、個人を特定できる情報や未公開の診療情報は、所属施設が利用を認めた環境・方法による場合を除き、生成AIへ入力しないでください。利用する際は施設の規程に従い、必要な匿名化を行ってください。また、AIが作成した文章をそのまま患者さんに送るのは避けてください。医療行為の評価、法的責任、院内で確認できていない事実に関わる部分は、必ず人が確認し、必要に応じて施設内のルールや責任者の判断に沿って修正する必要があります。特に苦情対応では、「何を確認済みの事実として書けるのか」「どこまで約束できるのか」を明確にすることが大切です。
今回のプロンプトは、患者さんへの回答文だけでなく、問い合わせ対応、院内掲示、リーフレット、スタッフ教育用の文例づくりにも応用できます。生成AIを“丸投げ先”ではなく、誠実で安全なコミュニケーションを整えるための下書き係として活用していただければと思います。

[苦情内容] に加え、再度別の患者から似たような不満があった場合を想定し、組織的な改善策を強調した回答例を示してください。
[苦情内容] が医療行為の結果に関するものであったため、医学的根拠と患者の理解促進を重視した回答例を作成してください。
[苦情内容] への回答に、院内窓口を明記し、患者がさらなるフォローアップを受けやすくする一文を追加してください。
インフルエンザ予防接種の実施日程をクリニックの患者に知らせるための掲示物の文章を作成してください。
[案内内容] に関する患者向けリーフレット用の簡潔な説明文を作成してください。
[案内内容] を院内アナウンスで伝えるための放送原稿を作成してください。
[案内内容] に関して患者から想定される3つの質問と、そのわかりやすい回答例を提示してください。
大塚篤司先生
近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授
ご略歴
2003年、信州大学医学部卒業。博士(医学)。日本皮膚科学会専門医・指導医、がん治療認定医、日本アレルギー学会認定専門医など。京都大学医学部特定准教授を経て2021年より現職。
がん・アレルギーのわかりやすい解説をモットーとし、コラムニストとしても活躍。
著書に『世界最高のエビデンスでやさしく伝える 最新医学で一番正しい アトピーの治し方』(ダイヤモンド社)、『白い巨塔が真っ黒だった件』(幻冬舎)、『まるごとアトピー―アトピー性皮膚炎の病態から最新薬剤、患者コミュニケーションまで』『皮膚科手技大全』(医学書院)、『皮膚科医の病気をめぐる冒険―医療を超えたクロストークで辿り着いた新しい自分』(新興医学出版社)、『皮膚科の診断に迷ったらChatGPTに全部聞いちゃえ!』(中外医学社)などがある。
いまだに医学書院からB’zの本を出してもらえない。
X(旧Twitter):@otsukaman
本記事の内容は『臨床・研究を変える究極のプロンプト500選:医師による医師のためのChatGPT入門』大塚篤司 著(医学書院, 2025年)を基に再構成したものです。
2026年8月20日(木)
第1部/18:30~19:00
第2部/19:10~19:40
ヘルペス感染症WEBライブセミナー
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2026年8月26日(水)
第一部/18:30~19:00
第二部/19:15~19:45
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2026年9月1日(火)
18:00~18:30
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2026年9月2日(水)
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若手皮膚科医師のためのダーモスコピー実践セミナー
※各コンテンツ配信医師のご所属先、
肩書きはご監修当時のものとなります。