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基礎からわかる外用剤

皮膚疾患との関係

皮膚疾患と経皮吸収性

アトピー性皮膚炎の患者さんの皮膚では、角層水分量が低下し、直接的な皮膚バリア機能の指標であるTEWLは増加しています(図412)。この原因の1つとして、健康人と比較して保湿因子の1つであるセラミドが低下していることが考えられます(図513)

*セラミド:角質細胞と角質細胞の間にある脂質で、ラメラ構造という脂質二重層を形成し、水分の保持に寄与しています。その他の保湿因子として、皮脂や天然保湿因子などがあります。

図4. アトピー性皮膚炎患者と健康人の角層水分量(左図)およびTEWL(右図)(文献12 一部改変)図4. アトピー性皮膚炎患者と健康人の角層水分量(左図)およびTEWL(右図)(文献12 一部改変)

コンダクタンスは皮膚に電気を流した場合の抵抗を表します。角層水分量が多いと電気が流れやすくなるため、コンダクタンスが高値になります。

このように、アトピー性皮膚炎の患者さんでは皮膚全体でバリア機能が低下している結果、健康人と比較して主薬の経皮吸収性が高まると考えられます。

一方、乾癬患者さんでは表皮が肥厚し、角質層が厚いことから、経皮吸収性が低下しているようにみえます。しかしながら、皮膚バリア機能の構築に必要な表皮角化細胞の分化が不完全であり、角層のバリア機能が十分に発揮されないため、むしろ経皮吸収性が高まっているという報告があります14)

図5. アトピー性皮膚炎患者と健康人のセラミド量(文献13 一部改変)
図5. アトピー性皮膚炎患者と健康人のセラミド量(文献13 一部改変)

病態により経皮吸収性がどのように変化するかについては、重症度によっても変化するため正確には分かりませんが、最近開発された外用剤の中には、皮膚バリア機能を低下させた損傷皮膚の経皮吸収性も検討しているものがあります(図615)。このような検討結果は、バリア機能が低下した皮膚疾患患者さんにその薬剤を適用した場合、血液(血漿)中の薬物濃度が上昇する可能性があるかを知る上で重要な情報となります。

図6. マキサカルシトールの経皮吸収性図6. マキサカルシトールの経皮吸収性

■引用文献

12) 芋川玄爾, 日小皮会誌, 16, 87-99, 1997

13) Imokawa G, et al., J. Invest. Dermatol., 96, 523-6, 1991

14) Gould AR, et al., Arch. Dermatol. Res., 295, 249-54, 2003

15) オキサロール軟膏25μg/g オキサロールローション25μg/gインタビューフォーム

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