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基礎からわかる外用剤

部位による違い

経皮吸収性は外用剤を適用する部位によって異なります。例えば、成人にヒドロコルチゾン(基剤:ワセリン)を適用した後の尿中排泄量を検討した試験では、前腕と比較して頭部、前額、下顎、腋窩、陰嚢の経皮吸収性が高く、手掌、足関節部、足底は低い傾向でした。前腕屈側の吸収量を1とした場合、前額ではその6倍、陰嚢では42倍と報告されています1)図1)。

最近は海外で、耳の後ろに貼付するタイプの乗り物酔い止め薬が使用されています。これは、耳の後ろは表面温度が高く、血管も多いことから、経皮吸収性が高まるためと推察されます。

図1. ヒトにおけるヒドロコルチゾンの経皮吸収性の部位差
図1. ヒトにおけるヒドロコルチゾンの経皮吸収性の部位差

このような部位による経皮吸収性の違いは、角質層(角層)の層数(厚さ)2)や毛孔・汗孔の数・大きさなどが異なることに起因しています。特に、角質層の層数が少なくなるほど、皮膚バリア機能は低くなることから、まぶたの上(眼瞼)や口の周りなどのような部位では経皮吸収性が向上します。

このTEWLは、皮膚バリア機能が低下するほど高くなる傾向があると報告されています3)。また、上腕伸側などと比較して頬や眼瞼で高く4)、主薬の脂溶性の問題を除けば、腕や脚に適用した場合と比較して顔面では経皮吸収性が高い傾向があるといえます。正常皮膚と比較して、角質層のないびらん面ではTEWLが著しく高いといった報告もあります(図25)

図2. 皮膚の状態とTEWLの関係(文献5 一部改変)
図2. 皮膚の状態とTEWLの関係(文献5 一部改変)

そのため、経皮吸収性が高い部位に外用剤を適用する場合には、副作用の発現に注意する必要があります。日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎診療ガイドライン(2009年)6)においても、このような経皮吸収性の部位差を考慮して、顔面に適用するステロイド外用薬のランクを低く設定しています (参考)。

参考:  日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎診療ガイドライン(2009年)(一部抜粋)

顔面 高い薬剤吸収率を考慮して、原則としてミディアムクラス以下のステロイド外用薬を使用する。その場合でも1日2回の外用は1週間程度にとどめ、間欠投与に移行し、休薬期間を設けながら使用する。近年しばしばみられる成人患者の顔面の紅斑性病変の多くは、搔破などを含むステロイド外用薬以外の要因に起因するものではあるが、局所の副作用の発生には注意が必要な部位であり、処方に当たっては十分な診察を行う。

■引用文献

1) Feldmann RJ, et al., J. Invest. Dermatol., 48, 181-3, 1967

2) Ya-Xian Z, et al., Arch. Dermatol. Res., 291, 555-9, 1999

3) Levin J, et al., J. Control. Release., 103, 291-9, 2005

4) 田上八朗, 皮膚臨床, 45, 1735-42, 2003

5) 田上八朗ほか, 皮膚臨床, 35, 1163-9, 1993

6) 日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎診療ガイドライン作成委員会, 日皮会誌, 119, 1515-34, 2009

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