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基礎からわかる外用剤

外用剤の剤形、基剤、添加物について

外用剤に用いられる主な添加物

外用剤に用いられる主な添加物とその代表例を表5に示します。

表5. 代表的な添加物

界面活性剤
(乳化剤)
W/O型乳化剤 モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸ソルビタン
O/W型乳化剤 ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、ポリソルベート60
保存剤
(防腐剤)
パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、フェノキシエタノール、
チモール
抗酸化剤 亜硫酸水素ナトリウム、アスコルビン酸、トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン、エデト酸ナトリウム水和物、ベンゾトリアゾール
pH調節剤 クエン酸水和物、クエン酸ナトリウム水和物、乳酸、ジイソプロパノールアミン、酢酸、
酢酸ナトリウム水和物

●界面活性剤(乳化剤)

界面活性剤は、1分子中に親水基と疎水基をもつ物質の総称です。通常、油性成分と水性成分は混ざらず、そのままでは分離しますが、界面活性剤を添加することにより油-水の界面で界面活性剤の親水基が水に、疎水基が油に浸されて配向し、水と油を繋ぐ役割を果たすことによって混和できます(図1)。

一般的には、親水性に富む界面活性剤(O/W型乳化剤)はO/W型の剤形に用いられ、疎水性に富む界面活性剤(W/O型乳化剤)はW/O型の剤形に用いられます。

図1.界面活性剤(乳化剤)の仕組み
図1.界面活性剤(乳化剤)の仕組み

●保存剤(防腐剤)

保存剤は、微生物汚染などによる使用者の健康被害および製剤の品質劣化を防ぐために配合されます。全ての微生物汚染に対して効果がある保存剤はありませんが、多種多様な微生物に対して広く効力を発揮すること、白色・無臭であること、毒性が低いことなどを理由にパラオキシ安息香酸エステル類(パラベン)が広く用いられています。

通常、保存剤は数種類添加されています。これは脂溶性の異なる保存剤を数種類用いることで、水性成分と油性成分のどちらにも保存剤を分配させやすくすることが添加する理由の1つです。例えば、表2の先発医薬品にはパラオキシ安息香酸メチルと、それよりも脂溶性の高いパラオキシ安息香酸プロピルが含まれています。

●抗酸化剤

酸化反応による有効成分の分解および基剤の劣化を防ぐために、配合されます。抗酸化の機序は以下の3つに分けられます。

  • ①酸化に弱い有効成分や基剤の代わりに酸化されて酸素を消費し、有効成分や基剤を保護する(アスコルビン酸など)
  • ②自動酸化の連鎖反応を遮断する(ジブチルヒドロキシトルエンなど)
  • ③酸化反応の開始剤となる金属イオンあるいは光の影響を取り除くこと(金属封鎖剤〔キレート剤〕であるエデト酸ナトリウムなどや紫外線吸収剤であるベンゾトリアゾールなど)

●pH調節剤

pH調節剤は、外用剤中の有効成分の溶解性および安定性、皮膚に対する安全性などの観点から、外用剤のpHを適切に設定し、そのpHを維持することを目的に配合されます。例えば、ビタミンD3は酸性条件下で不安定となるため、安定性を向上させることを目的に、pH調節剤で基剤をアルカリ性にしています。皮膚に対して安全な外用剤の至適pHは皮膚表面のpHに近い弱酸性(pH5付近)とされています。なお、外用剤のpHが2以下や11.5以上になると皮膚に対する刺激が強く、外用剤には適しません。

pH調節剤の中で弱酸と弱酸塩の組合せ(例えば、酢酸と酢酸ナトリウム)は、緩衝作用を持つことが知られており、少量の酸やアルカリを加えてもpHの変化を防止する物質をpH緩衝剤と呼びます。

ここまでは、外用剤の剤形ごとに基剤の構成成分や必要となる添加物が異なることを説明しました。添加物に関しては、冊子「大谷 道輝 監修:皮膚外用薬について(マルホ株式会社提供)」にも記載していますので、ご参照下さい。

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300L乳化機300L乳化機

外用剤を開発する場合には、品質・有効性・安全性および使用感を最適化するため、様々な検討がされています。例えば、研究レベル(小規模スケール、乳化機の場合1~10L)で最適化された製剤でも、工場(生産)レベル(乳化機の場合1~2t)にスケールアップする場合に同様の品質などを確保できず、苦慮することが多々あるようです。その場合は、工場レベルに近いスケール(乳化機の場合100~300L)で外用剤の研究を行うことで、より効率的にスケールアップができます。また、臨床試験などでは研究レベルのスケールで調製した治験薬を用いることが多いですが、その際にも工場レベルに近いスケールで治験薬を製造することで、有効性や安全性をより正確に評価できます。
この写真は、工場レベルに近いスケールで乳化剤を調製するために用いる乳化機の中で国内最大級のものを示しています。このような機器を用いてメーカーではスケールアップの効率化を図っています。

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