
知りたい2024.01.25
マンガで知る・治す・予防する! とある一家の巻き爪奮闘記
牧詰(まきづめ)家はお父さん以外全員巻き爪!そんな一家の明るくも悩ましい日常が4コマ漫画になりました。
監修:ひかり在宅クリニック 皮膚科 今井亜希子 先生
ヤスシ(父・52歳)
唯一巻き爪じゃない。気が強い妻に押され婿養子になった。妻が大好き。
キリコ(母・50歳)
巻き爪歴30年。気が強いがおっちょこちょい。
クルミ(長女・23歳)
主人公。巻き爪歴8年。明るいお調子者。
マドカ(次女・17歳)
巻き爪歴3年。おしゃれ大好き。ぽっちゃりなのがコンプレックス。
タマキ(長男・14歳)
生まれつき巻き爪?大リーグに憧れている野球少年。
ピン子(おばあちゃん・75歳)
巻き爪歴50年。文句言いだが、面倒見がよくみんなに好かれている。
目次
#1 のど元過ぎれば痛さ忘れる
巻き爪を放っておくとどうなる?
巻き爪は、自然に治ることはほとんどありません。時間が経つにつれて爪の変形が進み、痛みも強くなることの方が多いのです。キリコさんのように、足をぶつけたりつまずいたりしたことがきっかけとなって急に炎症を起こしてしまうこともあります。また、足の指先の痛みをかばって歩き続けていることで、歩き方が悪くなる、転びやすくなる、タコやウオノメができてしまうなど、新たなトラブルを招く危険性も考えられます。
さらに、巻き爪を短く切りこむなど間違ったセルフケアを長く続けていると、症状はよりつらく、治りにくくなってしまいます。巻き爪の悩みを抱えている方には医療機関を受診していただき、専門医のアドバイスを受けたうえで、ぜひ治療に取り組んでもらえたらと思います。
#2 親近感
巻き爪の悩みは痛みだけではない?
足に巻き爪がある方は、痛みだけでなく、見た目の変化にも悩んでいるケースが多いようです。特にサンダルを履く機会が増える夏が近づくと、足の爪の形が気になる…という方が増えるのではないでしょうか。
現在、巻き爪治療の中心となっているのは、変形した爪を元の形に近づける方法である「矯正治療」です。使用する器具にもいろいろな種類があります。治療を始めてから、きれいな形の爪になるまでの期間は、だいたい1~6か月程度※です(※巻き爪の形や硬さ、厚さ、治療法などによる個人差があります)。
爪の形の変化に気づいたら、ご自身のライフスタイルに合わせて、セルフケアを行う、医療機関を受診するなどの対策を早めにスタートすることをおすすめします。
#3 爪切りの苦悩
足の正しい爪の切り方は?
クルミちゃんのように、巻き爪が気になってついつい短く切ってしまう…という方もいらっしゃるのではないでしょうか。たしかに切った直後には痛みはやわらぐのですが、長い目で見るとトラブルをさらに長引かせ、こじらせてしまうことになります。
爪の端を短く切りすぎた状態(深爪やバイアスカット)では、爪の端がまわりの皮膚にくいこんで傷つけるため、炎症を起こしやすくなります。この状態を「陥入爪(かんにゅうそう)」といいます。強い腫れと痛みによって、歩くことすら難しくなることもあります。
足の爪の長さは、指先と同じ位を目安に。形は、横にまっすぐ切って先端の角に少しだけ丸みをもたせた形(スクエアオフカット)が良いでしょう。爪のトラブルをさらに悪化させないために、日頃から爪を正しい長さと形に整えておくことが大切です。
#4 巻き爪は何科?
巻き爪の治療はどこで受けられる?調べてみましょう!
爪は皮膚の一部です。爪の変化に気づいた場合には、まずは皮膚科を受診するのが基本です。ただし、整形外科や形成外科の一部で、巻き爪の治療を行っているところもあります。注意が必要なのは、巻き爪の矯正治療は自由診療(医療保険の適応ではない治療)のため、扱っていない医療機関もあるということです。
このため、結局どこを受診したらよいのかわからない…という声がよく聞かれます。そのような方は、下記のリンクからお近くの病院・クリニックで巻き爪の治療を行っているところがあるか調べてみましょう。
巻き爪で皮膚科のクリニックを受診したことをきっかけに、実は別の病気が隠れていたことがわかった、ということもあるかもしれません。「たかが巻き爪で病院に行くのもなぁ…」と考えず、爪の変化に悩んでいる方は、ぜひ一度、専門医に相談していただけたらと思います。
#5 病院にいかない理由 おばあちゃんの場合
進化する巻き爪治療
医療機関での巻き爪治療というと、「爪を根こそぎはがされるのでは」「すごく痛そう」など、恐怖心をもつ方もいらっしゃるのではないでしょうか。
現在では、爪全体を抜く手術(抜爪術)は、巻き爪の治療としてはほとんど行われていません。通院しながら変形した爪を本来の形に近づけていく「矯正治療」が主流となっています。
矯正治療は、現在も進化を続けており、「矯正器具を装着する方法」、「ワイヤーを留置する方法」、「プレートを接着する方法」、さらに、最近では「外用薬を併用する方法」も誕生するなど、さまざまな治療法が開発されています。これらの治療を受けた方からは、「心配していたけれど、思ったより痛くなかった」という声がよく聞かれます。
巻き爪の形や状態、あるいは生活スタイルによって、どの方法がいちばん適しているかが決まります。担当の医師とよく相談したうえで治療をスタートすることをおすすめします。
#6 お気に入りの靴が履けない
自分に合う靴ってどんな靴?
お仕事やプライベートの場面でどうしてもパンプスやローファーを履かなければならない…巻き爪の患者さんにとっては辛いものですよね。でもその靴、もしかしたらあなたの足に合っていないのかもしれません。
靴にはさまざまなデザインのものがあり、私たちの足も長さや甲の厚さ、アーチの高さなどが人それぞれ異なります。市販されている靴の中から、自分の足にぴったり合ったものを選び出すのは、なかなか難しいのです。買うときには必ず両足とも履いて店内を歩いてみて、当たって痛い所はないか、靴の中で足がずれないか、しっかり確認しましょう。専門家であるシューフィッターに相談するのもよいでしょう。
パンプスやローファーのように留め具のない靴は歩くときに足指が圧迫されやすいので、巻き爪気味の方は特に慎重に選びましょう。どうしてもお気に入りのパンプスを履きたいなら、中敷き(インソール)などを入れて調整するのもひとつの方法です。
#7 巻き爪を矯正しない理由 母の場合
巻き爪の治療にかけるお金はない?!
巻き爪の症状で医療機関を受診した場合、どのような治療が行われるのでしょうか。巻き爪と同時に、爪が皮膚に食い込んで炎症や細菌感染を起こしている(陥入爪や爪囲炎)場合には、最初に行う治療は適切に爪を切る処置や薬の処方などであり、医療保険が適用されます。しかし、このような治療を受けても痛みが改善しないケース、巻き爪そのものが痛みの原因であるケースでは、巻き爪矯正治療が勧められます。
矯正治療は、近年さまざまな器具や方法が開発され進化してきていますが、いずれも医療保険の適用にはならないため、かかった費用は患者さんが全額負担することになります(費用の目安はこちら)。
確かに経済的な負担としては少なくないかもしれませんが、足に痛みがなく歩けて、快適にお出かけができる喜びには代えられないものです。キリコさんはスイーツにかける費用を優先させているようですが、巻き爪矯正治療も自己投資のひとつと考えてみるのはいかがでしょうか?
#8 本当にそうか?それでいいのか?
その足の爪の痛み、本当に巻き爪?
タマキくん、ご家族がみんな巻き爪だから、ご自身も同じだと決め込んでいるようですね。でも、それは本当に巻き爪による症状なのでしょうか。
巻き爪とよく似た病気に、爪が周りの皮膚に刺さって炎症を起こした状態である「陥入爪(かんにゅうそう)」があります。陥入爪は、巻き爪があると起こりやすいのですが、巻き爪がなくても起こります。つまり、足の爪のあたりが痛いからといって、必ずしも巻き爪というわけではないのです。実際、お子さんやスポーツをしている若い方では、巻き爪よりも陥入爪の患者さんのほうがずっと多くいらっしゃいます。
そのまま放っておいて重症化する前に、自分の爪が今どういう状態なのか、また、どんな治療やケアを行ったら良いのか、一度医療機関を受診して、相談してみましょう。その方がきっと野球の試合でも活躍できて、楽しくなりますよ。
あなたは本当に巻き爪?「巻き爪」と「陥入爪」を見分け方の詳しい解説はこちら
#9 危険すぎる爪切り
お年寄りの爪を上手に切るコツ
年を重ねると、さまざまな理由で自分の足の爪を切るのが難しくなってきます。頼まれたご家族も、切ってあげたいけれどうまく切れない、傷つけそうで心配…と困ることが多いようです。
お年寄りの爪は、変形したり分厚くなったりしていることが多いので、爪切りにも少しコツが要ります。まずは、先にお風呂に入るか足湯をしましょう。そうすることで、爪と皮膚が柔らかくなり、爪が割れてしまったり、周りの皮膚を傷つけたりするのをある程度防ぐことができます。また、つま先に正面から向かい合って、爪と皮膚の境界をしっかり見ながら切ることも大切です。ピン子さんのように分厚い爪には、ニッパー型の爪切りがあると便利です。爪を端から少しずつ切り進めるようにします。それでもむずかしい場合には無理をせず、皮膚科のクリニックなどに相談しましょう。
#10 それは重罪
今日から始めよう!足と爪のセルフケア
巻き爪の症状が進行してしまう原因は、ごく身近なところにあります。間違った爪の切り方、足に合っていない靴、あまり外を歩かない習慣など、日常生活の中に問題があることがほとんどなのです。そしてこのような生活習慣は巻き爪だけでなく、足全体、体全体にも悪い影響を与えます。
足爪のトラブルで悩んでいる方はもちろん、牧詰家のお父さんのように「自分とは関係ない」と思っている方も、足をいつも健康に保つために、まずはフットケア(足のお手入れ)の見直しをしてみませんか?
ポイントは洗浄と保湿の2つです。足の指はていねいに洗います。できれば週に1~2回柔らかいブラシを使って、爪と皮膚のすき間の汚れを取り除くとよいでしょう。またお風呂上がりには、足全体と爪に保湿クリームをなじませましょう。硬くなりやすい皮膚と爪をしっとりと柔らかく保つことができます。
日常生活の中にちょっとしたケアを組み込んで、足のトラブルを予防しましょう。
