覚えておきたい「正しい爪の切り方」

予防したい2021.08.04

覚えておきたい「正しい爪の切り方」

巻き爪などのトラブルがある場合に、特に気を付けたいのが爪の切り方です。間違った爪切りをしてしまうと、痛みや出血などを引き起こし、症状が悪化する可能性があります。また、普段から爪の長さや形を良い状態に保つことで、多くのトラブルを未然に防ぐことができます。正しい爪の切り方をぜひ身につけておきましょう。

さらに、小さいお子さんやお年寄りなど、自分で爪を切れないご家族の爪を切ってあげるという場面もあるでしょう。ほかの人の爪を切る時のポイントも紹介します。

監修:ひかり在宅クリニック 皮膚科 今井亜希子 先生

 

足に使う爪切りは直線刃を選ぶ

爪切りのタイプには、一般的に普及している「平形(テコ型)爪切り」と、工具のニッパーのような形の「ニッパー型爪切り」があります。医療機関では、爪と刃の位置を確認しやすく厚く硬い爪でも切ることのできるニッパー型爪切りが主に使われていますが、ご家庭では平型爪切りが使われているケースが多いようです。

また、どちらのタイプの爪切りにも、刃の形状がと直線状のものと曲線(カーブ)状のものがあります。カーブ刃のものは爪の先を丸い形に整えるのには向いていますが、足の爪用としては、まっすぐに切れる直線刃の方が適しています。

足の爪の形は「スクエアオフカット」

爪を切る前に、出来上がりをイメージしましょう。足の爪の長さは指先と同じくらいにそろえ、全体的な形は角に少し丸みのある四角形に整えるのが理想的です。このような形を「スクエアオフカット」といいます。

このような形に整えるためには、爪切りで端から端までまっすぐに切ったあと、両端の角だけを少し落とすようにします。爪の先の白い部分(遊離縁)は残っていてかまいません。巻き爪の場合には、爪切りを持った手を爪のカーブに合わせて回転させながら、少しずつ切るようにします。

仕上げに軽く爪ヤスリをかけて、切った面をなめらかにするとより良いでしょう。

短く切りすぎた「深爪」や、端を斜めに深く切り込んだ「バイアスカット」は避けましょう。陥入爪(かんにゅうそう)の原因となるほか、爪が短すぎる状態が続くと、巻き爪や厚い爪などの変形が起こる可能性もあります。反対に長すぎる爪はどうでしょうか。これも靴による圧迫など余計な力を受けやすいため、痛みや変形が生じる原因になります。足の爪には歩く時に強い力が加わるので、ちょうど良い長さと形にいつも整えておくことが大切なのです。

爪を上手に切るためのポイントは3つあります。
1.爪と刃の位置関係をしっかり確認しながら切ること。まわりの皮膚をうっかり切ってしまうことのないよう気をつけましょう。
2.刃先を使って少しずつ切るようにすること。一度に大きく切ろうとすると爪が思わぬ方向に割れてしまうことがあります。
3.切り残した部分がないように、最後まできちんと切ること。切り残した爪はトゲのようにとがっていて、皮膚を傷つける原因になります。

 

爪が伸びる速さは? 足は手よりも遅い

爪が伸びる速さには個人差がありますが、おおよその目安は研究により明らかになっています。米国ノースカロライナ大学の研究グループの調査によると、若い成人の1か月あたりの爪の伸びは、手指では約3.5mmに対して、足の親指の爪は約1.6mmと遅くなっています。また、爪が伸びるスピードには季節による変化があり、夏に最も速く、冬には遅くなることが知られています。爪をこまめにチェックし、いつもちょうど良い長さに整えておきましょう。

ご家族の爪を切ってあげるには

自分で爪を切れないお子さんやお年寄りなどのご家族の爪を切ってあげるときには、さらに慎重に行いましょう。まず指先が正面から見える体勢をとります。爪の周りに古い角質や汚れがたまっている場合には、湿らせた綿棒などでていねいに取りのぞきます。爪と皮膚の境界をはっきりさせ、安全に爪切りをするためです。

爪切りを持つ方と反対の手で爪の表面と指の腹を支えて安定させ、爪切りの刃が皮膚をはさんでいないことを確認しながら、片方の端から少しずつ切り進めるようにします。

巻き爪や厚い爪など、切るのが難しい場合には無理をせず皮膚科クリニックなどの医療機関に相談しましょう。

写真提供:ひかり在宅クリニック 今井亜希子 先生

おすすめ記事