子どもの足・爪に起こるトラブル

予防したい2023.07.13

子どもの足・爪に起こるトラブル

大人になってから悩まされることの多い足の変形や爪のトラブルですが、その変化は子どもの頃からすでに始まっているということをご存じでしょうか。今回は、子どもの足や爪によく見られるトラブルと足を健康に保つためにできるだけ早く身に付けておいてほしい生活習慣について解説します。

監修:ひかり在宅クリニック 皮膚科 今井亜希子 先生

子どもの足のトラブルってどんなもの?

子どもによく見られる足のトラブルとして、扁平足や外反母趾などの足の骨格の変形皮膚・爪のトラブルがあげられます。

まず、足の骨格については、現代の小学生の足に、扁平足や開張足などのアーチ形成の問題や、外反母趾(親指の曲がり)や内反小趾(小指の曲がり)などの足指の変形が増えていることが問題になっています。この主な原因は、生活スタイルが変化して運動量が大きく減ったためと考えられています。足のアーチ構造はおよそ7~8歳頃までの歩く・走るなどの運動が刺激となって作られるため、幼児期・小学校低学年頃に、たくさん外遊びをして体を動かすことがとても大切です。

一方、皮膚・爪のトラブルには細菌・ウイルスの感染症、皮膚炎などさまざまなものがあります。子どもは体重が軽いため、タコやウオノメはほとんど見られません。子どもに多い爪のトラブルには、間違った爪切りや自分で爪をはがしてしまうことによる陥入爪や爪囲炎、爪甲剥離(爪が皮膚から浮いてしまう状態)などがあります。このような皮膚・爪トラブルの多くは、お風呂でていねいに足を洗う、正しい爪切りをするなどの日常的なケアで防ぐことができます。

参考:子どものスキンケア・ヘアケア・フットケア(秀潤社)

子どもの足・爪の特徴

<子どもの足>

子どもの足の骨格は7~8歳時にようやく土台が完成しますが、その後もまだ構造が柔らかく、外力が加わることで変形しやすい状態が続きます。このため、サイズや形が合っていない靴を履いて歩いたり走ったりしていると、足(特に足指)に強い衝撃や圧迫が繰り返し加わるので、足指が変形する可能性が高くなってしまいます。

<子どもの爪>

子どもの爪は大人と比べて薄く柔らかいものです。爪を切るときに思わぬ方向に割れて深爪になってしまったり、外力によって割れやすかったりするため注意が必要です。

子どものうちから正しい爪切りを習慣づけましょう

足の爪を短く切りすぎて陥入爪になっているお子さんをよく見かけます。小学生の爪切りを誰がしているかをアンケートで調べたところ、1・2年生では8割が保護者の方です。5・6年生では保護者は2割に減り、3割が保護者か自分、5割が自分で切るという結果になっています。つまり、小学校高学年頃までに親の手を離れ、徐々に自分で爪を切るようになるわけです。この頃までに正しい爪の切り方を身につけられるよう、まずは親が正しい切り方を理解し、子どもに教えてあげることが大切です。特に子どもの薄い爪を切るときには、爪切りの刃先を使って少しずつ慎重に切り進めるようにしましょう。

(参考)覚えておきたい正しい爪の切り方

(参考)足をトラブルから守るためのセルフケア

子どもの靴選びと履き方に注意しましょう

子どもの靴に必要な役割は、①子どもの足を外的な刺激から守り、成長を妨げないこと(保護)、②骨格を支え、歩くなどの動作をサポートすること(支持)、③皮膚感覚、運動能力などの発達を助けること(補助)の3点とされています。

参考文献:小児靴の手引き書2023, 日本フットケア・足病医学会

(1)靴のサイズに気をつけよう

子どもの足の成長期は女の子では12歳頃、男の子では15歳頃まで続き、この間、足長が平均的には1年に約1㎝成長します。このように成長がいちじるしい子どもの足に靴のサイズをいつもぴったり合わせるのはなかなか大変ですが、靴は大きすぎても小さすぎても足のトラブルが増えることが知られています。成長するスピードや時期には個人差が大きいため、3か月から6か月に1度は靴屋さんで足のサイズを測ってもらうとよいでしょう。

《現在履いている靴のサイズが合っているかを確認する方法》

まず、靴から中敷きを取り出して、かかと側に合わせて足を置いてみます。つま先側に1cm前後のゆとりがある状態が適正です。

(2)子どもの靴選びのポイント

子ども靴は、マジックベルトやひもがついており、足の甲をしっかり固定できるタイプを選ぶのが良いでしょう。低学年では折り返しマジックベルトの靴がおすすめです。高学年になるとひも靴を履く子が増えますので、この頃までには、靴ひもを自分でしっかり締められるようにしましょう。

また、つま先の形が足と合っていて、かつ、ゆとりのあるものを選択するようにします。かかと周りを支える構造がしっかりしているもの、また、靴底にはほどよいクッション性があり、足指の付け根にあたる部分で曲がるものを選びましょう。

〇子どもの靴選びのポイント4点

(3)靴の正しい履き方

靴のかかとを踏んでつぶしてしまったり、靴ひもを結んだまま脱ぎ履きしたりしていないでしょうか?このような履き方は足のトラブルの原因のひとつです。子どものうちから正しい靴の履き方を身につけましょう。

靴を履くときは、一度靴ひもやベルトをゆるめて履き口を広げ、足を入れたらかかとを靴の一番後ろに合わせます。靴ひもはつま先側から足の甲が固定されるようにしっかりと締めます。こうすると足への衝撃やズレが減り、足・爪トラブルを予防することができます。

まとめ

中高年になってから悩むことの多い足のトラブルですが、実際、その多くは子どもの頃から種がまかれ、年齢を重ねることによって進行してしまったものなのです。子どもの足の健康は、からだの健全な成長・発達の上でとても大切です。特に子どものうちから正しい生活習慣やケアを身につけることは、自分の身体を意識することにつながり、中高年以降の生活習慣病をはじめとするさまざまな疾患の予防にも役立ちます。

ご家庭・学校などの教育機関など周りの大人が協力して、子どもたちの足を健やかに育てていきたいものです。

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