予防したい2021.08.04

足をトラブルから守るためのセルフケア

巻き爪をはじめとする足のトラブルには、爪の切り方など、日常生活の中でなにげなく行っている生活習慣の問題が関係しているものが多くあります。足のトラブルを予防し悪化させないためには、また、何か症状があるときに医療機関で受診するまでの間には、どのようなケアを行ったらよいのでしょうか。

監修:ひかり在宅クリニック 皮膚科 今井亜希子 先生

毎日のフットケアが大切

足の皮膚や爪のトラブルを予防するために、普段からフットケア(=足のお手入れ)を行いましょう。フットケアの出発点は、自分の足に関心を持つことです。自分の足を見たり触ったりして、痛いところがないか、皮膚にキズや硬くなっているところがないか、爪の状態はどうかなどを確かめてみてください。足を不潔なままにしたり、窮屈な靴を長い時間履いたりしていませんか?毎日あなたを支えてくれている足をいたわってあげましょう。

足をきれいに洗浄し、爪の周りはブラッシングを

きちんと洗い、清潔に保つことは、足のトラブルを防ぐための第一歩。特に巻き爪になると爪の周りや爪の下に古い角質や汚れがたまりやすくなり、これが痛みや炎症の原因になることも。足を爪先まできれいに洗うことで痛みや細菌感染などによる症状の悪化を防ぐことができます。

足を洗うときにはこすりすぎず、ていねいに洗うようにしましょう。特に足の指の間や爪の周りはせまく入り組んだ形をしています。足用のブラシ(柔らかい毛の歯ブラシなどでもOK)に泡立てた洗浄料をつけて、やさしく洗うようにします。週2、3回のブラッシングで、いつもきれいな状態を保つことができます。

爪と皮膚を乾燥させないよう、保湿を心掛けて

爪や爪の周りの皮膚が乾燥すると、割れ爪・ささくれといったトラブルの原因となります。特に爪は、皮脂による保護膜がないために、とても乾燥しやすいのです。乾燥によるトラブルを防ぐためには、皮膚と同じように保湿することが大切です。

使用する保湿剤は、一般的なハンドクリームでも十分です。お風呂上がりなどに、爪を含めて足全体になじませるように塗ります。かかとは特に乾燥し、皮膚が硬くなりやすいので、念入りに保湿します。一方、指の間は湿度が高く皮膚がふやけやすいため保湿剤をたっぷりと塗るのは避けましょう。

爪の長さ・形をこまめにチェック

巻き爪による痛みを防ぐために最も重要なのは、爪の切り方です。間違った爪の切り方としてよく見られるのは、短く切りすぎてしまう「深爪」や、両端を斜めに短く切り込んだ「バイアス切り」です。このような場合には陥入爪(かんにゅうそう)を招くほか、周りの組織によって爪の側面が押されやすくなり、巻き爪が進行する可能性があります。また爪を端まできちんと切らない不十分な爪切りにも注意が必要です。

これとは反対に、長く伸びすぎた爪も問題です。足の爪が長すぎると、靴にぶつかる、靴下がひっかかるなど不要な力を受けやすくなります。定期的にチェックして、ちょうどよい長さを保ちましょう。

足の爪用の爪切りとしては、刃のまっすぐなものをお勧めします。爪の長さは指先にそろえる位を目安にして、端から端まで横にまっすぐに切るようにします。最後に、先端の角にヤスリをかけて少しだけ丸みをもたせるようにするとよいでしょう。

正しい爪の切り方

<爪の生え方>
爪は爪母で作られ、爪床と密着した状態を保ちながら遠位側に伸びていきます。成人の手の爪は1日に約0.1mm伸び、足の爪は手の爪よりも遅く、1日に約0.05mm伸びます。