巻き爪お悩み相談室 巻き爪のお悩み、専門医がお答えします!

治したい2022.06.27

巻き爪お悩み相談室 巻き爪のお悩み、専門医がお答えします!

「つま先の尖ったパンプスを履くと痛い。」「私にはどんな治療が合っているのかわからない。」「このまま放っておいていいのかな…。」そんな巻き爪に関するお悩みを募集し、巻き爪の診療経験が豊富な皮膚科医の2名の先生にアドバイスをいただきました。 ご応募いただいた皆様、本当にありがとうございました!


※当ページでお答えする内容は、あくまでもご相談いただいた情報に基づいて一般的な見解をお示しするものであり、同じお悩みをお持ちの患者さんが、必ずしもお答えしているアドバイスに該当するとは限りません。また、直接医師が対面しての診察、検査を行っていないため、お答えする内容は医学的な正確性を保証するものではありません。

 

桑原院長

ひたちなか中央クリニック 院長
桑原 大樹(くわはら ひろき)先生

笹瀬院長

医療法人晃有会 ササセ皮フ科 院長
笹瀬 晃弘(ささせ あきひろ) 先生

Case 1. 歩くと痛むので治療したいが、どんな治療方法が合っているか分からない

とらG さん 52歳・男性 @神奈川県

52歳男性の顔 width=

 

●プロフィール
① 爪の状態:爪が巻いていて痛みがあるが、皮膚に刺さってはいない
② どれくらいの期間その状態が続いているか:数年以上 
③ 困りごと:痛み,爪が切りにくい,見た目,靴下やストッキングが破れる,履ける靴が限られる
④ 治療経験: 治療をしたいが、様々な方法があり適切な治療がわからない
⑤ 巻き爪以外の異常:爪が黄褐色・白濁している,爪が分厚くなっている
⑥ 既往歴:アトピー性皮膚炎

【 お悩み 】
歩いていると痛みを感じてつらいときがある。血が出るときがある。痛みで走ることができないときがある。腫れるときは、ステロイド抗生物質配合軟膏を塗っている。

【 困ったときの対処法 】
爪と皮膚の間に、ステロイド抗生物質配合軟膏を付けた綿または糸を詰める。

桑原先生からのアドバイス

 爪の表面にあらわれる症状や痛みの裏には、なんらかの病態が隠れています。写真を見る限り、爪のわん曲はそれほど強くないように見受けられます。よって、痛みの原因は、爪と皮膚の食い込みから生じるものではなく、爪の厚みが原因かと推察します。爪の根元の皮膚に色素沈着がみられるのも、爪の根元から慢性的な炎症が生じているからだと考えられます。また、爪の下に角質が多く堆積しているようにも見受けられますので、それらが皮膚を圧迫して痛みを生じさせている可能性もあるでしょう。
 とらGさんの場合、上記のように様々な原因が考えられるため、一度、皮膚科で医師の診断を受け、病態に即した治療を行うことをお勧めします。

笹瀬先生からのアドバイス

 爪の色が黄褐色・白濁しているのは、常に爪部に炎症が生じていて、目には見えない出血を起こしていることが原因のひとつとして考えられます。また、爪の根元部分と側縁の皮膚が赤く腫れているようですので、それらが接触して痛みが生じているのでしょう。
 とらGさんが行っているような軟膏を付けた詰め物をするのは有効だと考えますが、症状が慢性化してしまうと一時的な処置に過ぎず、ご自身で治すのはなかなか難しいため、医療機関を受診し、本格的に治療することをお勧めします。
 治療としては、爪と皮膚の接触を無くすために、指の根元に麻酔をして爪の端を縦方向に切除する「部分抜爪」と呼ばれる処置が挙げられます。半年程度は痛みや炎症が抑えられることもあります。爪が伸びてきて痛みが再発するようであれば「矯正治療」という選択肢もあります。
 爪は皮膚の一部ですから、爪の疾患や治療については皮膚科医が熟知しています。ご自身に合った治療法について、ぜひ専門医にご相談ください。
クリニックや病院で行う巻き爪治療の詳しい解説はこちら

Case 2. 長時間パンプスを履くと、歩けないほどつま先が痛い

レモンバーム さん 32歳・女性 @愛知県

巻き爪ケース2 32歳女性の顔

 

巻き爪ケース2

●プロフィール
① 爪の状態:爪が巻いており、皮膚に刺さっていて腫れと痛みがある
② どれくらいの期間その状態が続いているか:数年以上
③ 困りごと:痛み,爪が切りにくい,見た目,靴下やストッキングが破れる,履ける靴が限られる
④ 治療経験: なし
⑤ 巻き爪以外の異常:なし
⑥ 既往歴:なし

【 お悩み 】
つま先が細くなったパンプスを長時間履くと、タイツやストッキングが圧迫し、巻き爪部分に食い込んでかなり痛みがでて歩けなくなる。無理をして歩き続け、家に帰りストッキングを脱いだら、巻き爪の周囲の皮膚が赤く腫れていて、少し触れただけでも飛び上がるくらいの痛みがあった。ここまでくると靴が履けなくなり、日常生活に支障が出た。

【 困ったときの対処法 】
普段パンプスを履かないときは、できるだけ爪を伸ばして巻き爪を悪化させないよう、大きめサイズの靴を履いている。

桑原先生からのアドバイス

 皮膚に爪が食い込んでかなり痛そうですね。これほどわん曲が強く、痛みがある場合は、これ以上爪が食い込まないようにするためにも、矯正治療を行うのが良いでしょう。
 パンプスは、つま先が細くなっているが故に、歩行時に足の指に体重がかかりにくい構造になっているため、巻き爪を悪化させてしまいます。しかしながら、ファッションや職業などでの兼ね合いもあると思いますので、ご自身のライフスタイルに合わせてうまく付き合っていくことも必要です。
 靴の選び方としては、大きめのサイズが正解とは限りません。ぶかぶかだと足の甲が固定されないため、しっかりと足の指を使った歩行ができません。ご自身の足の形に合った、ヒールは低めで、甲にはストラップのついたパンプスであれば、前方にずれ込むことなく、安定した状態が保たれ、足の負担も低減されて良いでしょう。
巻き爪の進行を防ぐ生活習慣 靴の選び方の詳しい解説はこちら

笹瀬先生からのアドバイス

 爪は元々内側に巻く性質があります。歩行などで地面から受ける力によって平らになり、正常な形が保たれています。しかし、その力が偏っていたり、歩かなかったりすると、いびつな形に変形したり、クルッと内側に巻き込んだ巻き爪になったりすると言われています。レモンバームさんの場合も、つま先にうまく体重がかかっていないことが巻き爪の要因ではないかと考えています。まずは、しっかりとつま先の親指に体重をかけて歩くように心がけましょう。
 また、爪の伸ばしすぎも巻き爪の症状を進行させてしまう原因のひとつです。爪の中央部分は短めに、両端は長めを意識したスクエア型に切ることが理想です。治療法としては、皮膚に食い込んだ痛みを取り除きながら爪を元の形状に近付けられる「矯正治療」が相応しいでしょう。
 普段のお仕事や日常生活で、どうしてもパンプスを履かなければならない機会はきっとあるかと思います。しかしながら、パンプスの構造上、つま先を使って歩く仕様にはなっていないため、最低限に留めることをお勧めします。可能であればスニーカーのような、歩きやすくてご自身の足の形に合う靴を選ばれることが望ましいです。

巻き爪ケース2 爪の性質 巻き爪ケース2 歩くと 巻き爪ケース2 歩かないと

Case 3. 長年巻き爪の痛みに悩まされている

うに さん 31歳・女性 @東京都

巻き爪ケース3 31歳女性の顔

 

巻き爪ケース3

●プロフィール
① 爪の状態:爪が巻いており、皮膚に刺さっていて腫れと痛みがある
② どれくらいの期間その状態が続いているか:数年以上
③ 困りごと:痛み,見た目
④ 治療経験:なし
⑤ 巻き爪以外の異常:なし
⑥ 既往歴:なし

【 お悩み 】
普段から巻き爪による痛みに苦しんでいます。特に、足先が狭まっている靴(パンプスやヒールのある靴など)を履くと巻き爪が圧迫され、より痛みが増します。職場では、職業柄ヒールのある靴を履くルールがありますが、痛みのせいで立ったり歩いたりすることが困難なため、上司に相談し、特別にヒールのないパンプスを履かせていただいています。ヒールがないだけ随分ましですが、フラットなパンプスでも常に痛みを感じています。私生活では足先がゆったりしている靴や、スニーカーを履くようにしていますが、もっと自由に靴を選んで履きたいです。

【 困ったときの対処法 】
痛みがひどいときは、刺さっている爪の端と、食い込んでいる皮膚の間に小さく丸めた脱脂綿を詰め込んでいます。鋭い爪のクッションになるので痛みは多少和らぎますが、いつの間にか脱脂綿が取れてしまっていることが多いです。

桑原先生からのアドバイス

 うにさんの場合、外反母趾の可能性が高いと思われます。親指の内側の先端部分が盛り上がっているのは、第2趾に圧迫されてできたものではないでしょうか。長年、パンプスやヒールがあるものを履き続けることで、骨が変形することがあります。外反母趾の患者さんはつま先に体重がうまくかからず、巻き爪も併発していることが多いのです。外反母趾であれば専用のサポーターを使ったり、巻き爪のみの症状であればワイヤーによる矯正治療を行ったりします(※炎症を起こしている場合はそれらを鎮静させてから行います)。
 爪と皮膚の間に脱脂綿を詰めて対処されるのは有効です。しかしながら、一時的な痛みの緩和に過ぎず、根本的な原因を取り除く治療ではありません。「なぜ爪が食い込むのか。」その原因を知るためにも、爪だけでなく足全体を医療機関やフットケア専門店で診てもらうのがよいでしょう。
巻き爪はどうして起こる?の詳しい解説はこちら

笹瀬先生からのアドバイス

 ご自身で様々な工夫をされていますね。しかし、写真正面から見て左側の皮膚がかなり腫れ上がっていることが見受けられますので、早めに医療機関を受診されることをお勧めします。
 この腫れがあるまま矯正治療を行うと、器具が患部に当たって痛みが生じてしまいますので、まずは、この腫れを抑える治療が優先されます。長年患っておられるようなので、外科的な治療(皮膚に接触している爪の一部分を縦方向に切除する)が相応しいでしょう。炎症が治まったら、矯正治療をスタートさせることをご検討ください。
 また、靴のお悩みに関しては、つま先にある程度高さのある靴で、同じパンプスでもつま先が尖っているものよりは、丸みを帯びているバレエシューズのような形のタイプを選択されるとより良いでしょう。日本人の足は欧米人よりもつま先の横幅が広い分、つま先の尖った靴は不向きなのです。
 自己対処としてされている綿やティッシュを挟むというのは有効で、外れてしまう場合は医療用の保護テープ等を貼るとよいでしょう。
巻き爪の進行を防ぐ生活習慣 靴の選び方の詳しい解説はこちら

Case 4. ストッキングや靴下がすぐに破れてしまう

はるちゃん さん 26歳・女性 @栃木県

巻き爪ケース4 26歳女性の顔

 

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●プロフィール
① 爪の状態:爪が巻いているが、痛みはない
② どれくらいの期間その状態が続いているか:数年以上
③ 困りごと:爪が切りにくい,見た目,靴下やストッキングが破れる,履ける靴が限られる
④ 治療経験: なし
⑤ 巻き爪以外の異常:爪が黄褐色・白濁している,爪が分厚くなっている
⑥ 既往歴:なし

【 お悩み 】
爪を真っ直ぐに切っていれば痛みなどはないが、爪を長いままにしているので、すぐにストッキングや靴下等が破れてしまうのが困る。普段は痛まないが、パンプスなどのつま先が細い靴を1日中履いていると、爪が痛くなってしまう。

【 困ったときの対処法 】
市販の巻き爪ワイヤーを購入して、爪につけてみる。少し効果が感じられるが、やめると前よりも巻き爪がひどくなっている気がする。

桑原先生からのアドバイス

 すべての爪が巻いていて、比較的厚みがあり、反りあがったような爪の生え方をされている特徴があるように見て取れます。すべての爪に共通して言えることですので、成長過程や長い日常生活の中で指が変形してしまった可能性も考えられます。ストッキングや靴下等が破れやすいのも、爪が上向き方向に生えているため、引っかかりやすくなっているのでしょう。
 足の指の変形を指す名称には、ハンマートゥ型(金づち型)やクロートゥ型(かぎ型)、マレットトゥ型(木づち型)などがあります。いずれも原因は基本的には同じで、歩行などで指にうまく力がかかっていないことが挙げられます。はるちゃんさんも、上記のいずれかに当てはまっている可能性があるため、まずは、指全体に体重がかかった状態でしっかり踏み込むようにして歩くことを心がけましょう。また、指をまっすぐに保つ矯正ソックスなどで改善できることもありますので、一度ご検討いただければと思います。
巻き爪の進行を防ぐ生活習慣 歩き方の解説はこちら

笹瀬先生からのアドバイス

 はるちゃんさんの場合、親指の爪だけでなく、すべての指の爪が巻いているように見受けられます。幼少期からの歩き方や体質、遺伝などが関係していると考えられるため、今後も巻き爪とうまく付き合っていく必要があります。
 爪を長いままの状態に保たれているようですが、長すぎる爪もよくありません。これからは、爪の中央部は短め、両端は長めを意識したスクエア型に切るように整えると、巻き爪の症状の進行もおさえられ、また、ストッキングや靴下の破れも防げるでしょう。
 親指以外の爪は、上記の通り適切な爪切りを行えば重症化する可能性は低いと考えますが、一方で親指の爪は今後さらに悪化する可能性がありますので、市販の巻き爪ワイヤーなどで重点的にケアされたり、医療機関で矯正治療を行われたりすることをお勧めします。
覚えておきたい「正しい爪の切り方」の詳しい解説はこちら

Case 5. 自信のあるつま先でサンダルを履きたい

東京都/46歳/女 さん 46歳・女性 @東京都

巻き爪ケース5 46歳女性の顔

 

巻き爪ケース5

●プロフィール
①爪の状態:爪が巻いており、皮膚に刺さっていて腫れと痛みがある
② どれくらいの期間その状態が続いているか:数年以上
③ 困りごと:痛み,爪が切りにくい,見た目,靴下やストッキングが破れる,履ける靴が限られる
④ 治療経験:20年ほど巻き爪に悩み、ずっと我慢していましたが、数年前、意を決して皮膚科に行き、クリップタイプの巻き爪矯正具で様子を見ることに。矯正後、上から見た爪の大きさに驚きました(いつも親指の外側の爪が巻いていたので、小さく見えていた為)。その後、爪が巻いてきてはクリップで矯正を繰り返していますが、完全には治りません。最近は爪が脆くなってきたのか、爪の端が欠けてしまい、クリップもできません。今までで一番悲惨な親指です。とにかく爪が伸びるのを待っています。
⑤ 巻き爪以外の異常:爪が黄褐色・白濁している,その他(爪が薄く、脆くなってきている)
⑥ 既往歴:子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮筋腫で、婦人科を定期通院中

【 お悩み 】
爪が長すぎるわけでもないのにつま先が痛く、履ける靴が限られてしまう。靴下やタイツ、ストッキングは、親指の爪の部分が薄くなったり破れたりしてしまうので、一年中、親指用のゴム製のカバーをつけなければいけない。クリップを使用しているときもつま先にテープを貼ったり、カバーをつけたりしないといけないので、厚手の靴下に運動靴という無難なスタイルが多くなる。素足にサンダルをなかなか履けない。

【 困ったときの対処法 】
クリップタイプの矯正具を使う。足が痛くならない運動靴を選ぶ。夏は、つま先が見えないサンダルを選ぶ。

桑原先生からのアドバイス

 腫れがあり、また、爪も変色していてかなり痛そうな状態ですね。つま先が痛むのは、切り残した爪の角が皮膚に刺さっていたり、爪の前方の皮膚が盛り上がって食い込んだりしていることが原因だと考えられます。治療としては、前者の場合は、陥入している爪を切除し、爪と皮膚の接触を無くす方法、後者の場合は、盛り上がった皮膚をテープで後方側に引っ張るようにして貼り付け、皮膚をフラットな状態にさせる方法があります(※下図参照)。
 また、クリップタイプでの矯正後に、ご自身の爪の大きさに驚かれたということですので、もしかすると一般の方よりも爪の幅が広い「オーバーサイズネイル」かもしれません。その場合は、巻き爪を矯正したとしてもトラブルを繰り返す可能性があるため、爪幅を狭くする手術が必要となるでしょう。
 テープでの固定方法はご自身で行うことも可能です。それでも痛みが引かない場合は他の治療が必要ですので、まずは医療機関を受診し、専門医にご相談の上、治療に取り組まれることをご検討いただければと思います。

テーピング貼付の例

笹瀬先生からのアドバイス

 写真左側の皮膚に炎症が生じていますね。おそらく、切り残した爪の角がトゲとなって皮膚を突き刺してしまっていたり、奥深くまで爪が巻き込んでいたりするのでしょう。そのため、爪が伸びるたびに強い痛みが生じているのではないかと思われます。また、その箇所の皮膚もめくれているように見受けられます。これは、感染症を起こしたり、炎症を起こしたりした際にあらわれる症状で、慢性的に繰り返されているのではないかと考えられます。
 また、爪が脆い原因は、炎症によって爪を造る組織にも影響が出ているからだと推察できます。ご自身での対処はなかなか難しいので、まずは炎症をおさえて、また、正常な爪が生えてくるようにするためにも、爪を根元まで切除するような治療が望ましいと考えます。医療機関で治療を行うことをお勧めします。

Case 6. 爪はどのような形に切ると良い?

nog さん 54歳・女性 @青森県

巻き爪ケース6 54歳女性の顔

 

●プロフィール
① 爪の状態:爪が巻いているが、痛みはない
② どれくらいの期間その状態が続いているか:1年以上
③ 困りごと:爪が切りにくい
④ 治療経験:左足手術経験済。爪の両側を2mmくらい切り、爪が細くなりましたが、いまだに違和感があり、ちょっと形が悪くまた巻いてきそうです。
⑤ 巻き爪以外の異常:爪が黄褐色・白濁している
⑥ 既往歴:7年ほど前に乳がんになり、ホルモン治療の際足をつくのが痛くなり、毎日大き目の靴を履いていました。そのときから巻き爪になり、片足を手術したのが3年ほど前です。

【 お悩み 】
左足の巻き爪は手術を受けましたが、右足は手術をしないで過ごしています。巻き爪は、爪の伸ばし方や靴選びでも改善すると聞いてから、爪が足の指から1~2mm出るくらいの長さになるように伸ばし始めています。でも、その後どのように爪切りをしていいのか形がいまいちわからず、悩んでいます。

【 困ったときの対処法 】
ついつい、元の爪切り方法で巻いているところを切ってしまいそうになります。我慢して伸ばしていますが、正解かどうかがわかりません。

桑原先生からのアドバイス

 乳がん治療を受けていた頃の影響や、不適切なサイズの靴を履き続けたことが巻き爪の原因となったのかもしれません。足の爪の長さは指先と同じくらいにそろえ、角に少し丸みのある四角形に整えるスクエアオフカットが理想的です。ご家庭にある一般的なテコ型の爪切りは、わん曲した爪を切るのは難しいので、刃がフラットなニッパー型のタイプの爪切りを使用されると良いでしょう。
 しかしながら、正しい爪切りだけを行っても巻き爪は治りません。本当の原因を知るためにも、医療機関を受診して、専門医に診てもらうのがよいでしょう。
 今は痛みがないようですので、早期の治療は必ずしも必要ではない状態と言えますが、わん曲は強いことが見受けられますので、今後食い込みが深くなり痛みが生じる可能性もあります。その際は爪のケアを継続いただきながら、矯正治療も視野に入れて治療を検討いただければと思います。
覚えておきたい「正しい爪の切り方」の詳しい解説はこちら

笹瀬先生からのアドバイス

 手術で爪の幅を細くすると、爪が両サイドの皮膚から離れた状態になるため、巻きやすくなることがあります。右足の爪もわん曲が比較的強いので、痛みが強くなってきたら医療機関で矯正治療を行うのが良いでしょう。
 お悩みである爪の切り方ですが、わん曲が強い場合、ご自身で上から見て切るのはかなり難しいと思います。しかし、nogさんの場合、難しいとされるわん曲している両サイドの部分は切らずに、もう少し伸ばされたほうが良いです。爪の中央部分は比較的切りやすいかと思いますので、端から端へまっすぐに切り進める(スクエア型)と良いでしょう。また、爪切りは、切れ味の良いニッパータイプ(※下図参照)のものを使われることをおすすめします。

ニッパータイプの爪切り
ニッパー型のタイプの爪切り

Case 7. 巻き爪が痛くて仕事に集中できない

はるちゃん さん 28歳・女性 @広島県

巻き爪ケース7 28歳女性の顔

 

●プロフィール
① 爪の状態:爪が巻いており、皮膚に刺さっていて腫れと痛みがある
② どれくらいの期間その状態が続いているか:数年以上
③ 困りごと:痛み,爪が切りにくい,見た目
④ 治療経験:なし
⑤ 巻き爪以外の異常:なし
⑥ 既往歴:なし

【 お悩み 】
定期的に何もしてなくても痛みがあります。仕事で立っているとズキズキしてきて仕事に集中できなくなってしまい、かなり困りました。病院に行くと、爪が伸びないと処置できないといわれ、爪を伸ばすと痛みがなくなります。そのため、処置しないまま何年も放置しています。

【 困ったときの対処法 】
爪を伸ばして様子見しているだけです。

桑原先生からのアドバイス

 かなりわん曲の強い爪ですね。また、何もしないでも痛みがあるということは、すでに炎症が生じていたり、今後、感染症にかかったりする可能性がありますので、早めに医療機関に受診していただきたいと思います。
 また、矯正治療には、爪の長さを問わずに装着できるアイテムもありますので処置は可能です。お写真を見る限り、爪に充分な長さがあるようですので、アイテムの選択肢も広がります。炎症が治まって、矯正治療を行われる場合は、ご自身のライフスタイルに応じたものを、医師とご相談のうえ決定するのが良いでしょう。

代表的な矯正治療の例

矯正治療の詳しい解説はこちら

笹瀬先生からのアドバイス

 爪の根元あたりまで周囲の皮膚が赤く腫れているのが見受けられます。たしかに、以前受診された病院の言うとおり、矯正治療はある程度爪が伸びていないと器具の装着が出来ないことがあります。今は爪を伸ばされているようですが、炎症の症状が見られるため、このまま矯正治療をすると器具が皮膚に当たってより痛みを生じさせてしまう可能性が高いです。
 また、慢性化されているようですので、外科的な治療(局所麻酔をしたのち、爪の両端を部分的に切除する)も治療のひとつです。炎症が治まったあとは矯正治療もご検討ください。
  早めに医療機関を受診し、爪が巻いていることだけでなく痛みから解放されたい旨を医師にお伝えいただくことで、適切な治療がご提案いただけると思います。

Case 8. 親指の爪がひび割れて治らない

ゆみこ さん 34歳・女性 @岐阜県

巻き爪ケース8 34歳女性の顔

 

巻き爪ケース8

●プロフィール
① 爪の状態:爪が巻いているが、痛みはない
② どれくらいの期間その状態が続いているか:数年以上 
③ 困りごと:爪が切りにくい,履ける靴が限られる
④ 治療経験:何度か皮膚科に相談しましたが、膿んでいないため特に何もしませんでした。
⑤ 巻き爪以外の異常:半年前から画像右側(左足)親指について、爪が根元まで割れました。今は補修材で固定して治るのを待っていますが、半年経って下から生えてくる爪も割れているように見えます。巻き爪と関係があるのか、ないにしてもこれを直さないと巻き爪矯正もできないだろうな、と思っています。
⑥ 既往歴:なし

【 お悩み 】
両足親指について、痛くないと選択したが、爪の切り方を間違えると食い込んで痛いです。日頃の爪切りは、白い部分を長めに残すようにして(裏から指を見て爪が出るくらい)切っています。また、爪にはさまれているアーチの中の皮膚がたまに違和感があります。このままでも生活できているが、今後もこのままでいいのかな、と感じています。靴については、今は履き心地のいいものを見つけたのでいいですが、きちんとした場で先端が細めの靴を履くときは歩きづらくて困ります。

【 困ったときの対処法 】
基本的に我慢しています。

桑原先生からのアドバイス

 ゆみこさんの爪の厚みは、一般の方よりも薄そうな印象があります。爪が薄くなる原因も様々ですが、一般的にはビタミンやたんぱく質、鉄分などの栄養不足による生活習慣が挙げられます。さらに、乾燥で割れやすくなっている場合には、毎日のお風呂上がりなどにリップクリームやワセリン等を塗って、保湿を保つのが有効です。最近ですと、爪用の保湿剤も販売されています。
 爪の薄い方が、爪をけん引するタイプの矯正治療を行ってしまうと、爪が割れてしまう可能性が高まります。他のタイプの矯正治療であれば実施可能かもしれませんので、ご自身の適切な治療を把握いただくためにも、一度、医療機関で相談されることをおすすめします。
足のセルフケアの詳しい解説はこちら

笹瀬先生からのアドバイス

 爪が根元まで割れたご経験があるのですね。もしかすると、そのときに爪母(そうぼ)と呼ばれる爪を形成する組織も損傷してしまったのかもしれません。こればかりは早期の修復は難しく、自然治癒を待つことになってしまいます。
 また、爪は伸ばしすぎるのも巻き爪の症状を進行させる原因のひとつですので、爪の中央部分は短めに、また、両サイドは長めを意識して切るのがよいでしょう。また、爪の厚みが平均よりも薄いように見受けられるので、外的な刺激を受けると割れやすい環境下にあると考えられます。
 なお、矯正治療は現状の爪でも使用できるタイプのものはありますので、一度皮膚科を受診して、専門医に相談されるのがよいでしょう。

爪母

Case 9. ダメだとわかっていても爪を短く切ってしまう

たっぴー さん 29歳・女性 @東京都

巻き爪ケース9 29歳女性の顔

 

巻き爪ケース9

●プロフィール
① 爪の状態:爪は巻いていないが、皮膚に刺さっていて腫れと痛みがある
② どれくらいの期間その状態が続いているか:数年以上 
③ 困りごと:爪が切りにくい、見た目
④ 治療経験:なし
⑤ 巻き爪以外の異常:爪が黄褐色・白濁している、爪が分厚くなっている
⑥ 既往歴:なし

【 お悩み 】
爪が皮膚に刺さって痛みを感じることがあるので深爪をしてしまうが、根本的な解決にはなっていないので治療法があれば知りたい。誰に相談すれば良いのかわからない。

【 困ったときの対処法 】
とにかく痛い箇所の爪をギリギリまで切る。

桑原先生からのアドバイス

 爪の角が当たる部分の皮膚に胼胝(タコ)ができているように見受けられます。さらに、爪がホッチキスの針のように直角に折れ曲がって皮膚に食い込んでいるようですので、そこから痛みが生じているのだと考えられます。しかしながら、元々の爪幅が広いため、この折れ曲がった爪を、矯正具などを用いて平坦化させても、結局は皮膚に食い込んで痛みが改善されないことも考えられます。このように、爪幅が広いことが痛みの原因である場合は、爪の両端を部分的に切除し、永久的に生えてこなくさせる手術を行います。手術というと不安に感じるかもしれませんが、現在は比較的低侵襲(からだへの負担が小さい治療のこと)で済むものもあります。手術をしてから数日様子を見ていただき、特に異常が無いようでしたら、短期間で普段の日常生活に戻れます。
 また、足の爪を短く切る行為をくり返すと、さらに悪化して陥入爪(かんにゅうそう)という別の病態を併発してしまうことがありますのでご注意ください。不安なときは、無理にご自身で解決されようとせずに、巻き爪を治療している皮膚科や形成外科などの医療機関を受診し、専門的なアドバイスが受けられることをお勧めします。下記のページから、ご自宅の近くで巻き爪治療を行っている医療機関を調べることができますので、ぜひご活用いただければと思います。
巻き爪治療を行っている医療機関はこちら

笹瀬先生からのアドバイス

 爪の周囲の皮膚が少し腫れているように見受けられますが、そこまで症状は進行していませんので、まずは自己処置で対応できる可能性があります。皮膚への食い込みをやわらげる処置として、ドラッグストアで販売しているような医療用のテープで、食い込んでいる爪と皮膚を引き離すように、らせん状にテープを引っ張るようにして貼付する方法や、爪と皮膚の間にコットンを詰める方法があります。
 また、爪の角をななめに深く切ってしまうと、深爪や陥入爪に繋がる可能性が高まり、症状をより悪化させる原因となりますので、角は切り落とさず伸ばすようにしましょう。
 それでも痛みが取れなかったり、処置方法が分からなかったりする場合は、ぜひ皮膚科にご相談ください。

Case 10. 爪が伸びてこなくなってしまった

9年目? さん 26歳・女性 @茨城県

巻き爪ケース10 26歳女性の顔

 

巻き爪ケース10

●プロフィール
① 爪の状態:爪は巻いていないが、皮膚に刺さっていて腫れと痛みがある
② どれくらいの期間その状態が続いているか:数年以上 
③ 困りごと:痛み,爪が切りにくい,見た目,履ける靴が限られる
④ 治療経験:なし
⑤ 巻き爪以外の異常:爪が黄褐色・白濁している,爪が分厚くなっている
⑥ 既往歴:アトピー性皮膚炎の可能性あり

【 お悩み 】
パンプスを履くと、爪が深く食い込むので痛い。元々パンプスが足の形に合わないのもあるが、痺れと痛みに我慢できず、パンプスでの立ち仕事を1週間で辞めた。爪が伸びない。

【 困ったときの対処法 】
パンプスは布製のものが許される所でしか働かない。爪を無理矢理切り、コットンをつめてみる。親指以外は、爪を剥がすようにして手で短くしている。

桑原先生からのアドバイス

 9年目?さんは、巻き爪ではなく爪甲鉤彎症(そうこうこうわんしょう)の疑いがあります。爪甲鉤彎症は、爪が前方向に伸びない状況をつくってしまうことで誰にでも起こり得ます。前方向に伸びることの出来なかった爪が、どんどん積み重なって分厚くなるのが特徴のひとつです。外傷などをきっかけに発症することが多くみられます。
 ご自身でできるケアとして、爪が前方向にきちんと伸びるように、爪の前方に盛り上がった皮膚を押し下げるようにしてテープを貼付する方法があります。しかしながら、長期にわたる処置が必要ですので、なかなか継続しにくいかもしれません。一度、爪を専門的に診ている医療機関で処置してもらうのが良いでしょう。 

笹瀬先生からのアドバイス

 爪に白い横筋が入っていますね。これは、前方から強い圧力がかかってできるものです。また、親指の爪の前方に皮膚(身)が盛り上がっており、爪が前に伸びるのを邪魔しています。前に伸びることが出来ない爪は、どんどん上に重なり、亀の甲羅のように厚みを増していきます。これを元の状態に戻すのは非常に難しいのが現状です。なるべく前方から圧力がかからないように、ご自身の足の形に合う靴選びが重要です。指先にゆとりのある靴や、できるだけヒールが低い靴などを選ぶようにしてください。
 また、爪が分厚いと、高さがない靴などを履くときに爪甲と接触して痛みが生じることがあります。皮膚科ではヤスリなどを用いて平たく削ることも可能です。
 さらに、爪が白く、また、分厚くなる特徴として、爪白癬(水虫)の可能性も挙げられます。ご自身の爪がどのような状態であるかを知っていただくためにも、一度医療機関を受診されることをおすすめします。
巻き爪の進行を防ぐ生活習慣 靴の選び方の詳しい解説はこちら

 

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