皮膚疾患は多くの人が経験する身近な病気です。痛みやかゆみなどの症状に加え、見た目の変化が日常生活や気持ちに影響を及ぼすこともあります。一方、症状が良くなることで、生活や気持ちが前向きに変化することも調査結果(関連記事参照)から分かってきています。
当社では、患者さんやご家族を代表する患者団体と協働し、定期的に『患者団体合同勉強会』を開催しています。異なる疾患の団体が参加していますが、皮膚や日常生活の悩みには共通点も多く、有意義な情報交換の場となっています。
2026年6月27日、患者団体の皆さんと「皮膚疾患患者団体 第3回合同勉強会」を共催しました。今回は、患者さんが日々経験する症状や治療、生活への影響などを体系的に捉えた「ペイシェントエクスペリエンスデータ(Patient Experience Data:PED)」をテーマとしました。PEDは、日本では「患者経験データ」とも訳されます。基調講演でPEDへの理解を深めるとともに、その活用方法を検討するワークショップを実施しました。
開催挨拶
日本乾癬患者連合会 会長 添川 雅之 氏より、皮膚疾患によって症状や悩みは異なるものの、患者さんの症状や生活、人生をより良くしたいという想いは共通しているとのお話がありました。
また、本勉強会を単なる交流や情報交換にとどめず、志を同じくする患者団体が共に学び、新たな医療の展開を創造する機会にしたいとの考えが示されました。
基調講演
一般社団法人YORIAILab 代表理事 八木 伸高 氏より、「患者参画とPatient Experience Data」をテーマにご講演いただきました。
近年、世界では「患者の経験」を研究し、医療に活かそうとする動きが広がっています。講演では、PEDの基本的な考え方や、患者さんの経験をより良い治療やケア、医療に関する意思決定につなげるプロセスが紹介されました。
また、PEDの代表例として「患者報告アウトカム」が紹介されました。これは、患者さんの健康状態について、患者さん自身が直接評価・報告するものです。痛みやかゆみ、息切れなど、本人にしか分からない感覚や体験のほか、日常生活における機能や活動の状態、症状が生活に及ぼす影響などが評価の対象となります。
患者さんの経験を価値あるデータとして活かすためには、必要なデータを患者さんと共に考え、得られた結果を共に解釈する患者参画が欠かせないことも説明されました。
PEDの重要性は国際的に認められつつある一方、広く活用していくためには、データの収集・分析の枠組みづくりや、事例・成果を普及させる仕組みなどの課題があります。患者さん一人ひとりの経験を治療の改善や医療政策に反映し、社会のさまざまな場面で活かしていくことの重要性が示されました。
ワーク
ショップ講演に続くワークショップでは、5つのグループに分かれ、PEDをどのような目的で、どのように収集し、活用していけるかについて話し合い、その内容が発表されました。
発表では、皮膚疾患への理解促進や、患者さんと医師の相互理解、疾患啓発への活用などの意見が挙げられました。また、患者さんへのインタビューや体験談の収集、長期間にわたる心情の変化の把握などが提案され、PEDを今後の活動に活かすためのさまざまな意見が共有されました。
| 名称 | 皮膚疾患患者団体 第3回合同勉強会 |
|---|---|
| 日時 | 2026年6月27日 13:00〜17:00 |
| プログラム | 1) 開催挨拶 日本乾癬患者連合会 会長 添川 雅之 氏 2) 基調講演「患者の経験で医療の価値を創る─ 患者参画とPatient Experience Data(PED)─」 一般社団法人YORIAILab 代表理事 八木 伸高 氏 3) ワークショップ「Patient Experience Dataをどのように活用できるか」 |
| 参加団体・個人 | 日本乾癬患者連合会/一般社団法人日本乾癬性疾患協会/日本円形脱毛症コミュニケーション(JAAC)/NPO法人円形脱毛症の患者会/掌蹠膿疱症患者会 PPPコミュニティ/NPO法人多汗症サポートグループ/NPO法人表皮水疱症友の会 DebRA Japan/NPO法人日本エーラス・ダンロス症候群協会/強皮症患者会 Linkage/皮膚筋炎・多発性筋炎のお喋り/一般社団法人日本強皮症患者の会 絆/認定NPO法人日本アレルギー友の会/天疱瘡・類天疱瘡の患者さん/アトピー性皮膚炎の患者さん/マルホ株式会社 |
勉強会参加者の声より
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PEDについて体系的に学び、患者団体が日頃から集めている患者の声や体験も、医療や社会に活かせるデータになり得ることを理解できた。
疾患が異なっていても共通する課題が多いことや、患者の考え方は時間とともに変化するため、継続的に経験を捉えることが重要だと気づいた。
患者同士だからこそ共感できる悩みについて情報交換するとともに、異なる患者団体と運営上の悩みや活動事例を共有できる貴重な機会となった。今後も患者団体同士の交流を深めていきたい。
患者の経験を整理・分析して医療や社会への提言につなげるほか、学会発表や資料作成を通じて医療関係者に広く伝え、PEDの社会での活用を広げていきたい。

皮膚疾患患者団体 第3回合同勉強会記録集
ご講演や、ワークショップの内容を詳しく掲載している「皮膚疾患患者団体 第3回合同勉強会の記録集」はこちらよりダウンロードいただけます(PDF)。
一人ひとりの患者さんに、より良い治療やケアを届けるために、マルホは患者さんの経験に学び、その声を医療や社会に活かす取り組みを続けていきます。
今回の合同勉強会では、患者団体の皆さんとPEDについて学び、患者さんの声や体験を医療に活かす意義や可能性について考えました。また、異なる患者団体が活動上の悩みや事例を共有し、交流を深める機会にもなりました。
皮膚科学領域のスペシャリティファーマとして、今後も患者団体の皆さんとの対話と協働を大切にし、患者さん一人ひとりの経験が、より良い医療や暮らしにつながるよう取り組んでまいります。

▲正しい皮膚疾患を広く啓発する活動

