小児乾癬について知ろう

日常生活に関するアドバイス

乾癬との向き合い方
(こころのサポート)

小児乾癬について医者の話を聞く母と子

保護者の方は、お子さんの乾癬との向き合い方に不安を抱えているかもしれません。そんな不安について、皮膚科医で臨床心理士/公認心理師でもある細谷 律子先生からアドバイスをいただきました。

執筆?細谷 律子先生

執筆?細谷 律子先生

細谷皮フ科院長 日本皮膚科学会認定専門医/日本心身医学会認定専門医

目次

子供が乾癬と診断されました。どうしたら乾癬とうまくつきあえますか?

保護者とお子さんが病気や周りの人とうまくつきあっていくためには、正しい知識をもつことが重要で近道です。病気を理解することは不安の解消に役立ちます。お子さんには、「よくなるために一緒にがんばろう」と勇気づけましょう。

乾癬について、子供にどのように伝えたらよいのでしょうか?

「みんな、色々な病気や悩みをもっていて、あなたはたまたまこの病気。この病気はよくなる人もいるし、よくなりにくい人もいるけど、悪化しないように心がけていると、症状は目立たなくなるよ」と説明するとよいでしょう。
乾癬が悪化する理由のひとつに皮膚への刺激があるため、皮膚を刺激しない生活をすること。たとえば、お風呂でゴシゴシ洗わない、かゆいときはかゆみ止めを使ってかかないようにすることなどが大事です。乾癬が悪化する理由とよくなる方法を伝えると、お子さんもがんばれます。

Mさんの小児乾癬体験談

子供が治療に前向きに取り組めるように、気をつけることはありますか?

お子さんとともに、症状がよくなっていくのを体験しましょう。たとえば、どこか体の一ヵ所を決めて、そこに1日2~3回薬を塗って、毎日観察しましょう。よくなっていくのを親子でいっしょに喜ぶことができると、お子さんの治療に対するモチベーションも上がるはずです。

子供の気持ちをわかってあげるには、どうすればよいですか?

お子さんが病気についてどう思っているか聞いてみましょう。親は聞き役になることが大事です。意見や指導はさておき、「つらいよね」と共感し、気持ちを受け止める姿勢でお子さんの話を聞きましょう。「君がつらいと、わたしもつらいよ」と話してもいいかもしれません。

Mさんの小児乾癬体験談

主治医とのコミュニケーションのコツはありますか?

お子さんに、「わからないことがあったら、直接、お医者さんに聞いてみよう」と話しましょう。お子さんと主治医に信頼関係が生まれたら、治療が楽しくなるかもしれません。治療のモチベーションも上がります。

乾癬についてどのように情報収集をしましたか?

インターネットが普及してからはパソコンで皮膚科などの情報を調べるようになりました。患者会のオープンチャットも利用して情報を交換したり、不安な気持ちやただ聞いてほしいことを話したりしています。女性乾癬患者を対象としたセミナーにも参加しました。セミナーでは、女性の皮膚科医から顔や体の洗い方、スキンケアの仕方、脱毛やネイルについてなど、男性の医師には聞きづらかった内容のレクチャーを受けることができ有意義でした。レクチャー後には、患者がいくつかのグループに分かれ、女性同士で自身の経験や悩みなどさまざまな話題で盛り上がりました。同じ病気を持つ人たちと話をして笑い合ったことで、心が軽くなりましたし、一人ではないのだと思えました。また機会があればぜひ参加したいと考えています。

子供がいじめられた場合、どのように対処すればよいですか?

子供はいじめられていることを自分から話してくれないことが多いです。もし、お子さんがいじめられてることを察知したら、担任の先生やスクールカウンセラーに話しましょう。いじめの相談を受けた教師などは適切に対処しなければならないことが法律で決まっています。
子供が心身の苦痛を感じているのであれば、インターネット上で行われている行為であってもいじめです。
いじめに対処する3つのR、認識(Recognize)・対応(Respond)・報告(Report)を実践することが大切です。

参考:いじめ防止対策推進法(平成25年9月28日)

第二条(一部抜粋、改変)
 この法律において「いじめ」とは、児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものも含む)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいう。

第二十三条(一部抜粋)
 学校の教職員、地方公共団体の職員その他の児童等からの相談に応じる者及び児童等の保護者は、児童等からいじめに係る相談を受けた場合において、いじめの事実があると思われるときは、いじめを受けたと思われる児童等が在籍する学校への通報その他の適切な措置をとるものとする。

クラスの他の保護者には、どのように説明すればよいのでしょうか?

周りに正しい知識をもつ大人を増やすことは、お子さんがうまく学校生活を送る上で後押しになります。保護者会で担任の先生や養護教諭などから、他の保護者に病気のことを説明してもらい、温かい目で見てもらえるようにしましょう。その際、人にうつらない病気であることなど、乾癬についての正確な情報を話してもらいましょう。また、ときに他の子と違う服装をすることがあることなどをあらかじめ伝えてもらうといいでしょう。理解してくれる保護者が増えると思います。

子供の症状によって、自分の気持ちもアップダウンしてつらいです。
どうすればよいでしょうか?

保護者の方が落ち込んでいたり、病気の症状に一喜一憂したりしていると、お子さんも辛くなります。あなた自身が自分の時間をもち、あなたらしくいることが大事です。病気を受け入れるあなたの姿勢が、お子さんに勇気を与えます。周りの人のサポートに感謝し、わからないことは何でも主治医に相談して、お子さんと楽しく過ごしましょう。

Mさんの小児乾癬体験談

監修:東京慈恵会医科大学皮膚科学講座 梅澤 慶紀 先生