乾癬は、境界明瞭な角化性紅斑(表面にガサガサした厚いフケを伴う盛り上がった赤み)が、頭、背中、肘、膝などにできる慢性(まんせい)の皮膚疾患です。慢性に経過し、軽快と悪化を繰り返します。「かんせん」という名前から、人にうつる「感染」と誤解されることがありますが、人にうつる病気ではありません。
小児の乾癬の治療は、成人の乾癬とほぼ同じ治療薬が使われます(くわしくは「小児の乾癬の治療方法」のページを参照)。しかし、小児ではお薬の効き方が成人と異なる場合があるため、小児に適した方法(工夫)が必要となります。
乾癬は一般的に成人で発症することが多く、小児で発症することは少ないです。国内の乾癬患者さんを対象とした調査では、0~9歳に乾癬を発症した患者さんは2.0%(13,611人中266人)、10~19歳は8.1%(13,611人中1,103人)と報告されています1)。実際に、皮膚科に通院している小児の乾癬患者さんは、乾癬患者全体の1%以下ではないかと推察されています。
1) Kamiya K, et al.:J Dermatol 48(6);864-875, 2021
Kamiya K, et al.:J Dermatol 48(6);864-875, 2021より一部改変
乾癬の皮膚では、悪影響を及ぼす細胞が集まって様々な炎症を起こす物質を出しているため、毛細血管が広がり、皮膚が赤みを帯びた状態となります。
また、表皮が健康な皮膚と比べて10倍以上の速さで生まれ変わり、表皮の生産が過剰な状態となっています。過剰に生産された表皮は厚く積み上がり、鱗屑(フケのようなもの)となってはがれ落ちていきます。
健康な皮膚のサイクル
乾癬の皮膚のサイクル
監修:東京慈恵会医科大学皮膚科学講座 梅澤 慶紀 先生