知っていますか?小児の乾癬
乾癬にはどんな種類があるの?
乾癬は、その臨床症状によって大きく4つに分類されています。①尋常性乾癬(大きな局面を形成する乾癬)、②滴状乾癬(1cm以下の小型の局面を形成する乾癬)、③乾癬性関節炎(関節症状を伴う乾癬)、④汎発性膿疱性乾癬(発熱と全身に膿疱(うみ)を伴うもの)。小児では、滴状乾癬の割合が成人に比べて多いとされています。
乾癬の主な種類
皮疹は大きな局面を形成し、乾癬患者の80~90%はこのタイプとされます。
尋常性乾癬の「尋常性」は『一般的な』という意味ですが、下記に示す「滴状乾癬」「乾癬性関節炎」「膿疱性乾癬」以外が「尋常性乾癬」というタイプに分類されます。
乾癬の皮疹の特徴は、境界明瞭な盛り上がった紅斑に、白色の鱗屑(厚いフケのようなものと落屑(フケがぽろぽろと落ちる状態)を特徴とします。
※ 鱗屑の色は、湿疹の場合はやや黄色調になるため、湿疹・皮膚炎と比較して白色調という意味です。
乾癬の皮疹の分布は、頭、肘、膝、腰部などの擦れる部位に多く認めます。
爪もときに変形を認めることがあります。
小児の尋常性乾癬は、成人と比べると、個々の病変の大きさが小型で、掌蹠(手のひら、あしの裏)に病変を認めることがあります。また、個々の皮疹では鱗屑の付着が成人と比べて少ないことも特徴です。
写真:梅澤慶紀先生ご提供
小型(1cm以下)の乾癬の皮疹が全身に分布するタイプをいいます。
扁桃炎、上気道炎、副鼻腔炎などの感染症(主に溶連菌)の1~4週後に発症することが多い。
尋常性乾癬と比べると、皮疹は小型で、肘、膝などの好発部位に局面を形成することは少ない。
滴状乾癬が一部では経過によって、大きな局面を形成し尋常性乾癬になることや、関節症状を併発し、乾癬性関節炎に移行することもあります。
前述したように感染症につづいて生じることが多いので、扁桃肥大や副鼻腔炎なども併せて治療することも重要です。
写真:梅澤慶紀先生ご提供
乾癬に伴う関節炎を発症するタイプを乾癬性関節炎といいます。
臨床症状は関節リウマチと類似しますが、一般的にはリウマチ因子陰性です。
多く(約80%)は皮疹が先行して関節症状が発症します。
一方で、5%程度の患者さんでは関節症状が先行し皮疹が認められないこともあります。
このように皮膚症状がなく関節症状のみの場合、乾癬性関節炎と診断されるまでには時間を要するとされています。
成人では、乾癬患者の5~15%程度で関節症状が出現すると考えられています。
小児では、関節症状を合併することはまれです。
監修:東京慈恵会医科大学皮膚科学講座 梅澤 慶紀 先生