小児乾癬について知ろう

日常生活に関するアドバイス

乾癬との向き合い方を語る
ママ座談会

小児乾癬について医者の話を聞く母と子

膿疱性乾癬のうほうせいかんせんのお子さんを持つママ3人に、日常生活での困りごとや工夫していること、乾癬への向き合い方などをお話しいただきました。

小児乾癬座談会:Iさん(微笑み)

Iさん

お子さんは現在4歳の男の子。1年ほど前に全身性の発疹で受診したところ、膿疱性乾癬と診断された。これまでにさまざまな治療法を試し、現在は大学病院で最新の治療法を受けている。症状はほとんど見られない。

小児乾癬座談会:Kさん(微笑み)

Kさん

お子さんは小学2年生の男の子。生まれた頃から首などに湿疹があり、アトピー性皮膚炎と診断されていたが、3歳で症状が悪化。検査で膿疱性乾癬と診断された。現在は最新の治療法で症状が安定している。

小児乾癬座談会:Tさん(微笑み)

Tさん

お子さんはもうすぐ4歳の男の子。入院中だった生後5ヵ月の頃に全身に発疹があらわれ、検査を受けたところ膿疱性乾癬と診断された。現在は外用薬と内服薬で治療中。

目次

Q症状が出てから膿疱性乾癬と診断されるまで、
どのような経緯がありましたか?

小児乾癬座談会:Iさん(微笑み)

Iさん

もともと肌が弱くて首に発疹が出ることがありましたが、私や、(息子の)姉がアトピー性皮膚炎ということもあり、同じような体質だろうと思っていました。ところが、3歳になったばかりの頃に、発疹が全身にあらわれ、抱っこもできなくなりました。病院で皮膚生検を受けたところ、膿疱性乾癬という診断がつきました。

息子も同じような経過でした。生まれた頃から首やお腹などに発疹があり、アトピー性皮膚炎と診断されていましたが、治療しても軽快せず、3歳になった頃に全身に湿疹が広がりました。そこで、総合病院を受診したところ、膿疱性乾癬と診断されました。

小児乾癬座談会:Kさん(微笑み)

Kさん

小児乾癬座談会:Tさん(微笑み)

Tさん

息子は生まれてすぐに肺の病気で入院していました。入院中の生後5ヵ月の頃に発疹やただれがあらわれたので、皮膚生検を行いました。そのときは膿疱性の何らかの病気といわれ、その後も高熱が続いたことで膿疱性乾癬と診断されました。

Q膿疱性乾癬と診断されたときは、どのようなお気持ちでしたか?

小児乾癬座談会:Tさん(悩み)

Tさん

病気に関する説明を受けたとき、指定難病で完治がむずかしいという事実にショックを受けました。現在も立ち直れたわけではありませんが、少しでも前向きな気持ちでいたいと思っています。

私も難病と診断されたことが信じられませんでしたが、症状が重かったので、とにかく早く良くしてあげなければという気持ちが上回っていた気がします。

小児乾癬座談会:Iさん(悩み)

Iさん

小児乾癬座談会:Kさん(悩み)

Kさん

それまでアトピー性皮膚炎という診断に違和感があったので、正しい診断がついたことで安心したことを覚えています。その後、完全に治すことがむずかしいと知って困惑しました。

Qつらかったこと、困ったことはどのようなことですか?

小児乾癬座談会:Tさん(悲しい)

Tさん

膿疱性乾癬の小児患者は少ないので、周りに同じ立場の人がいません。わからないことがあっても相談する人がいないのが、大変なことのひとつでした。ケアをする際もどのような方法がよいのかわからないまま、試行錯誤していました。

息子が薬を塗るのを嫌がることが大変でした。外用薬のべたべたした塗り心地が苦手で、塗られている時も痛いようなんです。患部がこすれて痛がるので、テープ式の紙おむつを使っていたんですが、ゴムの部分に薬がしみ込んでちぎれてしまって、おしっこが全部もれてしまうのも悩みでしたね。

小児乾癬座談会:Iさん(悲しい)

Iさん

小児乾癬座談会:Kさん(悲しい)

Kさん

息子も薬を塗ると痛そうだし、症状が良くなってきた時は痒がって可哀想でした。寝ているときに無意識に掻こうとするので、手を押さえることもありました。

Q現在心配していることや不安なことはありますか?

小児乾癬座談会:Kさん(悩み)

Kさん

治療の影響で免疫力が低下していると、風邪をひきやすくなってしまいます。高熱が出て、月に10日ほど小学校を欠席することもあるので、勉強が遅れるのではないかと心配になります。また、皮膚の状態などがいじめの対象になるのではないかという不安もあります。

治療費も安くはありませんので、金銭面に対して不安を感じています。現在は医療費助成制度を利用しているので負担はありません。しかし、いずれは本人が治療費を負担することになるかもしれないので、将来的に苦労するのではないかと心配しています。

小児乾癬座談会:Iさん(悩み)

Iさん

小児乾癬座談会:Tさん(悩み)

Tさん

今は軽快と悪化を繰り返しています。今の治療を継続する方針ですが、今後副作用などが出た場合に続けるのがむずかしくなる可能性もあります。年齢的に治療法の選択肢が少ないので、今の状態が保てなくなった場合にどうすればよいのか心配ですね。

Q薬を塗る際に工夫していることはありますか?

小児乾癬座談会:Iさん(微笑み)

Iさん

薬を塗るのをとても嫌がるので、動画を見せて機嫌を取るようにしましたが、あまり効果はありませんでした。気を紛らわせることに力を注ぐのではなく、お風呂上がりに体を拭いたら塗るというルーティーンにして、淡々と行うことにしました。

息子の場合は、痛がりはするものの我慢してくれたので、その点は苦労しませんでした。?くと症状がひどくなってしまうので、痒がっているときはポンポンと軽く叩いて痒さを紛らわせていました。

小児乾癬座談会:Kさん(微笑み)

Kさん

Qご家族でどのようにケアに取り組まれていますか?

小児乾癬座談会:Tさん(嬉しい)

Tさん

私が仕事の日には、夫がケアしています。受診時に主治医から伝えられた内容や薬の変更点などを共有し、夫婦で同じ対応ができるように工夫しています。また、息子には兄が2人いるので、「ボツボツができて皮が剥ける病気だよ」「赤いところは痛いんだろうね」「人にはうつらないよ」などと説明しています。鱗屑が落ちていると拾ってくれたり、友人が遊びにきたときに病気の説明をしてくれたりするなど、彼らなりのサポートをしてくれています。

外用薬を使っていた頃は、薬を塗るのは夫の担当でした。私がお風呂に入れて、お風呂上りに夫が塗るという役割分担にしていました。

小児乾癬座談会:Kさん(嬉しい)

Kさん

小児乾癬座談会:Iさん(嬉しい)

Iさん

息子には少し年が離れた姉が2人おり、発症後は一緒に病気について調べてきたので病気に理解があります。買い物中にひそひそと陰口を叩かれた時は、本人をかばってサッと場所を移動するなど、他人から守るような姿勢でいてくれるので、とても心強く思っています。

Q日常生活で気をつけていることはありますか?

小児乾癬座談会:Iさん(微笑み)

Iさん

以前は皮膚が薄く、ちょっとしたことでも皮が剥けて出血していたので、肌にこすれたりぶつけたりしないように注意を払っていました。 現在は皮膚の状態が落ち着いているので、日常での制限は減っています。

適切な治療を続けることと、生活習慣に気をつけています。脂質を控え、栄養のバランスが取れた食事や、肥満を防ぐための適度な運動などを心がけています。

小児乾癬座談会:Tさん(微笑み)

Tさん

小児乾癬座談会:Kさん(微笑み)

Kさん

息子が夜更かししてしまうので、早寝早起きなど規則正しい生活をするように心がけています。

小学生になったら環境が大きく変化し、見た目の違いから疎外感を感じてストレスになることも考えられるので、少しずつ集団生活に慣れるように、保育園に入れました。皮膚症状があらわれていても、保育園のお友達は全く気にせず自然に受け入れてくれていて、一緒に遊ぶのが楽しいようです。

小児乾癬座談会:Tさん(微笑み)

Tさん

Q小学校や保育園・幼稚園にはどのように伝えましたか?
また、どのようなサポートが得られていますか?

小児乾癬座談会:Kさん(微笑み)

Kさん

先生に患部の写真を見せながら、乾癬について丁寧に説明しました。「人にうつらない」病気であることが伝わるよう気を付けました。

私も乾癬の情報をA4用紙4枚にまとめ、持参して先生と面談を行いました。

小児乾癬座談会:Tさん(微笑み)

Tさん

小児乾癬座談会:Kさん(微笑み)

Kさん

免疫を抑える治療を行っている際に集団生活をしていると感染症にかかりやすいので、幼稚園で感染症にかかった子供が一人でも出ると、幼稚園の先生が連絡をくれました。感染予防で自主休園することもありましたね。小学校では、体育の授業で服を着替える際に、クラスの子に肌を見られるのが気になるようであれば、空き教室や保健室を使っていいよと配慮してもらっています。実際、息子は肌を見られるのを嫌がらず、クラスの子といっしょに教室で着替えています。

主治医から日常生活で気を付けることについて指導があったので、それを保育園にも伝えて、対応をお願いしました。たとえば、紫外線を過剰に浴びることは乾癬の悪化につながるので、屋外では日陰で過ごさせてもらったり、皮膚がうすいので、ケガをしないように気を付けてもらったりしています。

小児乾癬座談会:Iさん(微笑み)

Iさん

小児乾癬座談会:Tさん(微笑み)

Tさん

屋外で過ごす時間は何時間までと決めて、先生にお願いしています。また、保育園にも外用薬を置いているので、痒がった時は塗ってくださいとお願いしています。

Q乾癬と向き合ううえで大切にしていることは何ですか?

小児乾癬座談会:Tさん(悩み)

Tさん

生活に制限がある中でも、本人がやりたいことはやらせてあげたいと考えています。また、「苦しい」「つらい」というネガティブな感情を口にできる環境にしたいので、なるべく子どもの話に耳を傾けるようにしています。

乾癬は、症状による肉体的なダメージだけでなく、精神的なダメージも受ける病気だと思うので、精神面や衛生面でストレスなく過ごせるよう環境を整えるようにしています。本人は精神的に強く、肌を見せるのも嫌がらず、「自分は病気だから」と友人に説明できるので、頼もしく感じています。たとえ、肌のことで誰かに何か言われて落ち込んだとしても、早く立ち直ることができるように本人の心に寄り添ったケアをしていきたいと思っています。

小児乾癬座談会:Kさん(悩み)

Kさん

Q乾癬のお子さんを持つ保護者へのメッセージをお願いします。

小児乾癬座談会:Iさん(嬉しい)

Iさん

身近に同じ立場の人がいないと一人で考え込んでしまいますが、私はSNSなどで同じ立場の方とつながることで気持ちが落ち着きました。なので、同じ立場の人と交流することをおすすめします。

私も情報交換は大切だと思います。今はお子さんに合う治療法がなくても、今後選択肢が増え、いずれはお子さんに合う治療法と出会えるかもしれません。あきらめないでほしいと思います。

小児乾癬座談会:Kさん(嬉しい)

Kさん

小児乾癬座談会:Tさん(嬉しい)

Tさん

私は診断後、半年ほどで患者会に出会いました。同じ膿疱性乾癬だった患者会の方にわからないことを質問したり、経験談を聞いたりして、日頃の悩みが解決できることもありました。同じ立場の方には、主治医や患者会を情報源のひとつとして、正しい情報を入手し、正しい治療につなげてほしいと思います。

監修?東京慈恵会医科大学皮膚科学講座 梅澤 慶紀 先生