ここでは、ある乾癬患者さんの経過を皮膚科医のアドバイスを交えてご紹介します。
なお、ここで紹介する症例はあくまでいち例です。
乾癬は人によって症状が現れる場所や症状の強さが違うので、すべてがこのような経過をたどるわけではありません。
Aさん・男性 [治療期間]23 歳〜
01 症状の出現
頭皮に赤い発疹(紅斑)と
銀白色のフケのようなもの(鱗屑)が出現
就職し、スーツを日常的に着るようになってから、初めてフケが多いことに気づきました。
最近使っているシャンプーが肌に合っていないか、仕事のストレスのせいだろうと考えていました。
念のため、近隣のかかりつけ医を受診したところ、「脂漏性湿疹」と診断されステロイド外用薬を処方されました。

Dr.からのワンポイントアドバイス
初期の症状では、乾癬の確定診断は難しく、特に頭皮の発疹の場合は脂漏性湿疹と診断され、ステロイド外用薬を処方されるケースが多いようです。
02 症状の悪化
一時的に頭皮の症状は治まるも、
手や足にも症状が拡大
ステロイド外用薬で一時的に頭皮の症状は治まりましたが、しばらくすると再発してしまいました。
その後は再発のたびにステロイド外用薬を塗って症状を抑えていました。
しかし、手や足にも症状が広がってきたため皮膚科を紹介され、そこで初めて乾癬と診断されました。
部位:左足

Dr.からのワンポイントアドバイス
乾癬の症状は、頭皮をはじめ、ひじ・ひざなどのこすれることが多い部位や腰、おしりなどによくみられます。
まずは乾癬の症状に気づくことが大切です。症状に気づいたら、すぐに皮膚科を受診しましょう。
03 症状のコントロール
まれに症状が悪化するが、
落ち着いた状態を維持
皮膚科では、ステロイド外用薬に加え、ビタミンD3外用薬を処方されました。まれに発疹が悪化することがありましたが、症状が落ち着いた状態を維持することができました。
部位:左足

Dr.からのワンポイントアドバイス
乾癬治療の基本は、主に紅斑を抑えるステロイド外用薬と、主に鱗屑を抑えるビタミンD3外用薬です。ビタミンD3外用薬は、効果が出るまでに2~3ヵ月程度かかる場合もありますので、すぐに効果が出なくてもあきらめずに、治療を継続してください。
なお、現在ではステロイドとビタミンD3が一つになった配合外用薬もあります。
04 症状の悪化とコントロール
生活環境の変化で悪化するが、
光線療法を受けて症状が改善
症状が落ち着いた状態が維持できていましたが、あるとき、急激に悪化しました。転勤して仕事が忙しくなり、ストレスがたまっていたせいかもしれません。
皮膚科の先生に相談したところ病院を紹介され、外用療法に加え光線療法を受けました。その結果、現在は症状が落ち着いた状態を維持できています。
部位:背中

Dr.からのワンポイントアドバイス
塗り薬により乾癬をうまくコントロールできていたとしても、就職や転勤、結婚などの生活環境の変化によるストレスで症状が悪化することがあります。
その際は、外用療法に加え、光線療法や内服療法、生物学的製剤の使用など症状に応じた治療を行うことがあります。それらの治療方法を組み合わせて、症状を良い状態にコントロールしていきます。
- 01
症状の
出現 - 02
症状の
悪化 - 03
症状の
コントロール - 04
症状の悪化と
コントロール