正しい治療で症状をコントロール

治療方法について

監修:中原剛士先生
(九州大学大学院医学研究院 皮膚科学分野 教授)

治療方法

アトピー性皮膚炎の治療は症状の強さによって異なり、症状に応じて「薬での治療」「スキンケア」「悪化させる原因の対策」の3つを組み合わせた治療が基本です。
最終的には、あまり薬での治療を必要とすることなく日常生活に影響がない状態が続くことを目標にします。

重症度の評価

アトピー性皮膚炎は、重症度に応じて4 段階(軽症、中等症、重症、最重症)に分けられます。
治療薬は重症度によって異なり 、それぞれの段階で治療法が変わります。
症状が改善したら一段階軽いステージの治療に変更します。逆に悪化した場合は治療を一段階重いステージのものに変更します。これをくり返して症状を安定させます。最終的には、あまり薬を使用することなく日常生活を送れるようになることが目標です。

【個々の皮疹の重症度】

  • 腫れて赤みをおびて盛り上がる、粉をふいたようになる、皮がむけて落ちるといった症状が一層悪化する

  • カサカサ、赤み、皮膚のささくれ、皮がむけて落ちるといった症状がひどくなる。腫れた部分が固まりになる。ひっかいた痕がついている

  • カサカサして赤みをおびている。皮膚がささくれだっていたり、白い粉をふいたように見える、皮がむけて落ちる

  • 主にカサカサ肌。腫れたりじゅくじゅくしたりはしていない

※出典:アトピー性皮膚炎の臨床 Color Atlas
子どものアトピー性皮膚炎はこちら

セルフチェック(POEM/NRS)

アトピー性皮膚炎は、皮膚の見た目だけでは重症度を評価できません。
かゆくて夜も眠れない、仕事や学業に集中できないといった日常生活への影響はありませんか。
セルフチェックで、重症度を評価しましょう。

セルフチェックで重症度評価
(POEM/NRS)

アトピー性皮膚炎は、皮膚の炎症に加え、かゆみなど、日常生活にさまざまな影響を及ぼします。
症状や日常生活への影響を「スコアリング」することでアトピー性皮膚炎の重症度やコントロール状態がわかります。
スコアリングにはいくつかの種類がありますが、代表的な「POEM」、「NRS」という指標を紹介します。

  • POEM(Patient-Oriented Eczema)
    ー症状の評価指標ー】

    POEMは、患者さん自身または保護者によるアトピー性皮膚炎の症状の評価指標です。
    直近1週間の湿疹についての7つの質問に回答したスコアの合計点によって、重症度を評価することができます。

    POEM
  • 【NRS(Numerical Rating Scale)
    ーかゆみの程度の評価指標ー】

    NRSは、患者さん自身によるかゆみの程度の評価指標です。かゆみの度合いは患者さん自身にしかわからないので、かゆみの強さを説明する際にも役立ち、医師もかゆみの重症度を把握しやすくなります。
    直近24時間のかゆみの程度を、「かゆみなし」0、「想像できる最も強いかゆみ」 10として、整数で表します。

    かゆみの重症度を測ってみよう

治療目標の共有

アトピー性皮膚炎治療の最終目標は、症状がないか、あっても軽く、日常生活に影響がなく、薬による治療をあまり必要としない状態に到達し、その状態が続くことです。
最終ゴールに到達しない場合でも、症状があっても、急激な悪化が起こらない状態が続くことを治療目標とします。
アトピー性皮膚炎の治療目標はいつまでに皮膚症状をよくしたい、再燃しないようにしたい、かゆみをなくしたいなど人それぞれです。患者さんご自身の希望する治療目標(ゴール)を医師と相談しましょう。

アトピー性皮膚炎の
治療ステップ

  • STEP 1

    かゆみや湿疹、炎症を速やかに抑えるための治療

  • STEP 2

    かゆみや湿疹、炎症を再燃させないための段階的治療

  • STEP 3

    皮膚をよい状態に保つためのスキンケアを中心とした治療

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