ミチーガ®
使用される方へ -アトピー性皮膚炎のかゆみ-

監修 五十嵐敦之 先生(いがらし皮膚科東五反田 院長)

ミチーガは、アトピー性皮膚炎のかゆみの原因となる
物質のはたらきをブロックして、アトピー性皮膚炎の
かゆみをおさえる薬です。

ミチーガについて

ミチーガとは

ミチーガはアトピー性皮膚炎のかゆみをおさえる薬です。

一般的なアトピー性皮膚炎の治療は、ステロイド外用剤やタクロリムス外用剤などで「炎症」をおさえ、これに保湿外用剤で「皮膚のバリア機能の低下」を防ぐという組み合わせです。
ここに「かゆみ」の原因物質のはたらきをおさえる薬であるミチーガという注射剤が新たに加わりました。
ミチーガは、アトピー性皮膚炎の炎症やかゆみの原因となる物質のうち、IL-31(インターロイキン31)のはたらきをブロックすることによってアトピー性皮膚炎のかゆみをおさえる薬です。

アトピー性皮膚炎のかゆみのメカニズムと
ミチーガの作用
IL-31のはたらき

どんな患者さんに使うの?

ミチーガを使える人は?
従来のアトピー性皮膚炎の治療薬である炎症をおさえる塗り薬及び抗アレルギー剤を使用して、治療を一定期間行っても、かゆみが改善しない、6歳以上のアトピー性皮膚炎の患者さんが使用できます。
従来のアトピー性皮膚炎の治療薬
ミチーガが使えない人は?
ミチーガに含まれている成分に対して過敏症を起こしたことがある患者さんは使用できません。
ミチーガの治療で注意が必要な人は?
以下に該当する患者さんは主治医にご相談ください。
  • ●妊娠中、または、妊娠している可能性のある患者さん
  • ●授乳中の患者さん
  • ●長期ステロイド内服療法を受けている患者さん

経口ステロイド剤を服用している場合、ミチーガによる治療開始後に経口ステロイド剤を急に中止しないでください。必ず主治医の指示に従ってください。

ミチーガの投与の方法は?

ミチーガR?は、通常、4週間に1回ずつ皮下注射します。

ミチーガをご自身で投与される方へ

自己注射ガイドムービー

ダイジェスト版(約5分)

その他の自己注射ガイドムービー
・自己注射ガイドブックはこちら
白矢印

ミチーガで治療中の注意は?

ミチーガで治療を受けている間は、下記のことにご注意ください。

●かゆみがおさまっても、処方された他の治療薬は主治医の指示通りにしっかり使用してください。

ミチーガはアトピー性皮膚炎のかゆみをおさえる薬です。ステロイド外用剤、タクロリムス外用剤、デルゴシチニブ外用剤、ジファミラスト外用剤、保湿外用剤など、アトピー性皮膚炎の他の症状に対する治療は中止しないでください。

●ミチーガ治療中も、保湿外用剤で皮膚を保湿するようにしてください。

●ワクチンを投与する場合は、ミチーガ治療中であることを必ず医師に伝えてください。また、他の医療機関を受診する際も、ミチーガ治療中であることを伝えてください。

ミチーガの副作用は?

ミチーガの使用により起こりうる可能性のある副作用を知っておきましょう。
副作用は必ず起こるというものではありませんが、早めに気づいて対処することが大切です。
※こちらで紹介したもの以外にも、気になる症状が出た場合には、主治医もしくは看護師、薬剤師にご相談ください。

感染症
ヘルペス感染、蜂巣炎(ほうそうえん)蜂窩織炎(ほうかしきえん))、膿痂疹(のうかしん)などの皮膚の感染症や、上気道炎などの全身の感染症がみられる場合があります。いつもと違う皮膚の症状や、発熱、せき、のどの痛みなどのかぜの症状を感じた場合は、必ず主治医もしくは看護師、薬剤師にご連絡ください。
皮膚症状の悪化
ミチーガ治療中に、アトピー性皮膚炎の悪化や紅斑、じんま疹、湿疹などの皮膚症状の悪化がみられる場合があります。かゆみがおさまっていても、普段とは異なる新たな皮疹が出てきたり、皮疹が悪化した場合は、すぐに受診してください。
過敏症・注射部位の症状
一般的に、過敏症は、薬が体質に合わない場合に起こります。
ミチーガの使用により、血圧低下、 息苦しさ、意識の低下、ふらつき、めまい、 吐き気、嘔吐などの症状がみられた場合は、すぐに主治医にご連絡ください。
その他、ミチーガを注射した部位の皮膚に内出血、赤み、はれなどの症状がみられることがあります。このような症状がみられた場合も、主治医もしくは看護師、薬剤師にお申し出ください。

治療の目標

アトピー性皮膚炎は適切な治療を続ければ、寛解(症状が落ち着いて安定した状態)が期待できる疾患です。適切な治療、スキンケア、悪化因子対策を続けて、寛解を目指しましょう。

治療の目標

症状がない、または軽微で、日常生活に支障がなく、薬物療法もあまり必要としない状態になること。

軽い症状はあっても、日常生活に影響するような急な悪化が起こらない。または悪化しても長引かないような状態になること。

日本皮膚科学会・日本アレルギー学会
アトピー性皮膚炎診療ガイドライン
2021年度版 一部改変
治療目標グラフ

日常生活の注意

アトピー性皮膚炎の症状は、皮膚への刺激やストレスの影響を受けて悪化することがあります。 以下のような点に気をつけて規則正しい生活を送るようにしましょう。

睡眠中に皮膚をかかない工夫
  • ●爪を短くしておく
  • ●手袋をはめる
  • ●パジャマは長袖、長ズボンのものを着用する
アレルゲン対策はしっかりと
  • ●ダニ、ホコリがたまらないよう、なるべく毎日掃除する
  • ●特に布団のダニ対策はしっかり行う
  • ●ペットはなるべく避ける
皮膚に刺激を与えない衣類を選ぼう
  • ●チクチク、ごわごわした素材、毛糸素材の衣類は避ける
  • ●新品の服は一度洗濯してから着る
  • ●洗剤のすすぎ残しがないように、すすぎを十分に行う
からだを清潔に保とう
  • ●汗やよごれはできるだけ早く落とす
  • ●石けん・シャンプーはよく泡立てて使い、しっかり洗い流す
  • ●入浴後はすぐに保湿を行う
その他
  • ●ストレスを発散させる自分流の方法をみつける
  • ●刺激の強い食べ物やアルコール、タバコは控える
  • ●規則正しい生活を心がける

Q&A

かゆみがおさまれば、ミチーガによる治療を中止してもよいですか。
アトピー性皮膚炎は良くなったり悪くなったりを繰り返す疾患です。かゆみがいったんおさまったとしても、治療を中止すると再び症状があらわれることがあります。中止してもよいかどうかは、主治医に相談してください。
ミチーガによる治療を始めても、かゆみがおさまりません。
患者さんによって異なりますが、通常はミチーガによる治療開始から16週頃までには効果があらわれます。16週を超えても効果がみられない場合には、主治医に相談してください。
ミチーガを使用してから1ヵ月を過ぎましたが、忙しくて病院に行けないので、しばらく使用しなくても問題ないですか。
ミチーガは、通常4週(1ヵ月)ごとに注射します。できるだけ速やかに医療機関を受診して医師に相談してください。

患者さんのための
サポートツール

LINEサポート

注射や通院のスケジュールをお知らせします。注射時の記録や写真を残すことができ、経過を主治医にわかりやすく伝えることができます。

医療費サポート制度

ミチーガの薬剤費と、様々な医療費のサポート制度について解説しています。
高額療養費制度のしくみや支給を受ける方法、費用負担シミュレーターも。ぜひご活用ください。

自身のかゆみを評価しよう

かゆみ相談メモ

かゆみについて相談したいことを箇条書きにしたものです。
受診前に、かゆみの具体的な内容や程度、かゆみのためにどう困っているのか、かゆみをどうしたいのかについて、シンプルにまとめておくことができます。
受診時にこのメモをお医者さんに見せる、またはメモを見ながらお医者さんに相談することで、相談したいことを過不足なく伝えることができます。

Itch Tracker

Itch Trackerは睡眠中の掻き時間が計測できる世界初のiPhoneアプリです。
睡眠中、どれくらい掻いていたか教えてくれます。

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