マルホでは、保湿剤のヒルドイドやニキビ治療薬のベピオなど、さまざまな「外用剤」を提供しています。国内トップクラスの外用剤生産力を持つ生産部門では、高品質な医薬品を安定供給することを使命としています。マルホの医薬品は、主に国内4工場で製造され、医師や薬剤師を通じて患者さんに届けられています。
1972年に滋賀県彦根市に竣工し、外用剤を中心に医薬品を製造しています。主に「製造」「品質管理」「品質保証」「施設管理」「生産管理」を担う約250名の従業員が勤務し、高品質な医薬品の安定供給や循環型社会への貢献に努めています。また、急激な需要変動や患者さんのニーズの多様化に対応できるように、2023年に充填包装棟をリニューアルしました。多品種少量生産にも迅速に対応できる体制を強化しています。
▲彦根工場の外観(2022年撮影)
マルホの従業員は「あなたといういのちに、もっと笑顔を。」のミッションのもと、日々の業務に取り組んでいます。生産部門では科学的根拠に基づいて生産することを追求し、高品質な製品を安定して患者さんにお届けすることを使命としています。
医薬品は人々の健康に直接関与するため、医薬品製造の省令GMP*により品質や製造工程の管理基準が定められています。マルホでもGMP*に則り、製品が承認された条件に適合することを確認しています。加えて、製造機器の運転記録や品質試験結果なども注意深く観察しています。様々なデータのトレンドを日々確認することで、製造プロセスも含めた品質リスクをすぐに察知できる体制を構築しています。また、皮膚疾患のある患者さんへの塗り心地にも配慮して、製剤の硬さや粘度などの評価も行っています。
*GMP(Good Manufacturing Practice):医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令
外用剤において、製剤方法は重要なポイントです。原料を混ぜるスピード、添加剤を入れる方法、温度条件などが異なると、品質が変わる可能性があります。科学的根拠に基づく製造方法を設定するだけではなく、作業者が代わっても同じ品質を維持できるように、マルホでは製造に関わる作業資格を約600に細分化し、資格を取得した従業員が丁寧に作業しています。
このような品質へのこだわりは全工場で共有されており、工場間での密な連携と情報交換を通じて、マルホ独自の品質文化を築き上げています。
マルホは、サプライチェーンの分断による安定供給への影響を避けるために、主要な製品は原薬から一貫して国内製造しています。長期的な安定供給に向け各製造拠点で積極的に投資し、需要変動や患者さんのニーズに柔軟かつ迅速に対応できるよう、生産機能を強化しています。また、製品と原資材の供給・調達リスクを適正にコントロールし、いかなる場合も製品を安定供給する生産体制を整えています。
工場の空調や水処理、インフラなど、設備が正常に稼働していることを24時間監視し、安定稼働に努めています。このような施設管理は外部委託する方法もありますが、”生産停止”という最悪の事態を起こさないよう、要所は自分達で確認し、安定供給と確かな品質を創る基盤となって生産活動を支えています。
マルホは「あなたといういのちに、もっと笑顔を。」のミッションのもと、地球環境の保護・維持・改善に取り組んでいます。2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、CO₂排出量*を2013年度比で2030年までに46%削減、2050年までにゼロにする目標を掲げています。
*工場・研究所・オフィス・営業車両を対象
彦根工場では、国際標準化機構(ISO)で定められた環境マネジメントシステムの規格ISO14001を取得し、地球環境に配慮した取り組みを続けてきました。
しかし近年では製品の多様化によって、品質確保のために厳密かつ複雑な温度や空調の管理が求められ、空調設備等のエネルギー消費量は増えつつあります。さらに、県の約6分の1の面積を占める日本最大の湖・琵琶湖を有している滋賀県では、水質管理において国の法律より厳しい基準が要求されます。そのような中でも、生産活動と環境配慮の両者が最適化となるように、省エネルギーや環境負荷低減策を検討しています。
また、製品の容器・包装の改良にも注力し、ユーザビリティの向上や環境負荷の低減にも努めています。
▲琵琶湖上空より