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Ⅱ. かかりつけ医でも痔を診ることができる基礎知識
3. かかりつけ医による痔の治療
痔の基本的治療法
図8. 痔の段階的治療法

基本的な治療方針として保存的治療は、内痔核の臨床病期分類に関わらず、共通な治療法となっています。
保存的治療は、
- 生活指導(療法)
- 薬物療法:外用薬(注入式軟膏、坐薬など)および内服薬
から構成されています。
生活指導
ここでは生活指導を排便指導、その他の2つに分けて紹介します。
<排便指導>
図9. 前傾姿勢で排便が容易になる

排便のために腹圧をかけていきんでも恥骨直腸筋が全然動かない方、逆に筋肉が締まるため、いくら踏ん張っても便が出ない方は、前傾姿勢で排便が容易になるといわれています。
図10. 排便時は「考える人」ポーズ

排便指導としてはその他に、
- 長時間の排便を避け、過度に力まない
- 無理に出し切ろうとしないようにする
- 便意があったら我慢せずトイレに行く
- 排便時間は5分以内をめどにする
- 座浴、温水洗浄式便座(弱い水圧)でおしりを洗う
- 軽くおしりを拭く
<その他の生活指導>
排便指導以外にも以下のように日常生活で留意することがあります。
-
- 長時間の座位を避ける
- 寒冷下の作業を避ける
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十分な水分と食物繊維を摂取する
-
入浴により、清潔を保つ
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- 飲酒を避ける
- 肉体的・精神的ストレスを避ける
薬物療法
痔核、裂肛の薬物療法は、疾患の特性上、局所塗布/注入が有効ですので、外用剤(注入式軟膏、坐薬など)の使用が中心となります。
(保存的治療では注射は除きます)
痔疾患で発現する主な症状に使用される薬剤は以下の通りです。
-
痛み
排便時の鋭い痛みやいてもたってもいられない痛みは局所麻酔薬、副腎皮質ステロイド薬を、慢性化して鈍い痛みには非ステロイド性抗炎症薬が使用されます。
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出血
少量の場合は収斂薬、血管強化薬が、大量の場合は収斂薬、血管強化薬、血管収縮薬が使用されます。大量の出血により貧血状態になった場合は貧血治療薬が使用されます。
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腫れ
肛門周辺の腫れに対しては抗炎症薬が使用されます。発熱している場合は、抗菌薬、殺菌薬が使用されます。
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かゆみ
抗ヒスタミン薬が使用されます。かゆみの原因となっている肛門周辺の皮膚炎や湿疹の治療には、副腎皮質ステロイド薬が使用されます(膿んでいる時は使用されません)。
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その他
便秘や下痢を避けるために整腸薬、下剤が使用されます。
図11. 実際の処方例

情報提供:所沢肛門病院 栗原 浩幸 先生
痔核・裂肛に対する処方の実例を紹介します。
【参考】 痔疾患治療薬の剤形別数量の比率

NDBオープンデータ平成29年度より作図
厚生労働省より公表されている平成29年度のNDB*に基づき、痔疾患治療薬の剤形別数量データを左記に示します。このように、痔疾患では、坐薬より注入式軟膏および軟膏の方が多く処方されていることがわかります。
- *NDB(National Database)
医療機関を受診した際に、医療機関から保険者に対して発行されるレセプト(診療報酬明細書)と、40歳以上を対象に行われている特定健診・保健指導の結果からなるデータベースのこと
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