治療の考え方

乳児血管腫において、機能障害や潰瘍・出血・二次感染・敗血症の危険性、また将来的にも整容的な問題を惹起する可能性のある病変では、早期に治療を検討・開始する必要があります。そのような可能性が低ければwait-and-see policyにて、必要に応じて精神的なサポートを行うことが治療・対応の中心になります。

乳児血管腫の治療法には、薬物療法のほか、手術療法、レーザー治療、冷凍凝固療法、持続圧迫療法、塞栓療法、放射線療法などがあります。自然消退傾向があるために治療効果の判定が難しいなど、臨床試験などで効果が十分に実証された治療は少ないとされています。

乳児血管腫の診療アルゴリズム

乳児血管腫の診療アルゴリズム

承認外

<出典>平成26‐28年度厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等政策研究事業(難治性疾患政策研究事業)「難治性血管腫・血管奇形・リンパ管腫・リンパ管腫症および関連疾患についての調査研究」班:血管腫・血管奇形・リンパ管奇形診療ガイドライン2017, 第2版, 2017年3月

早期の治療が必要な病変の例

早期の治療が必要な病変の例

  • 治療前

  • 内服薬治療1年2ヵ月後

乳児血管腫(皮下・局面混合型)
右外耳道の完全閉塞

写真提供:地方独立行政法人 神奈川県立病院機構
神奈川県立こども医療センター 皮膚科部長 馬場 直子 先生

場合によって治療が必要な乳児血管腫の例

場合によって治療が必要な乳児血管腫の例

右肘腫瑠型乳児血管腫(治療開始時)

マルホ提供 ヘマンジオルシロップ小児用0.375%乳児血管腫患者を対象とした国内第Ⅲ相臨床試験全症例集より

紹介した症例は臨床症例の一部を紹介したもので、全ての症例が同様な結果を示すわけではありません。

【監修】

地方独立行政法人 神奈川県立病院機構 神奈川県立こども医療センター 皮膚科部長
馬場 直子 先生

動画で分かる!乳児血管腫の病態と治療について

2017年3月の「血管腫・血管奇形・リンパ管奇形診療ガイドライン2017」改訂に伴い、乳児血管腫の診療法が大きく変わりつつあります。
こちらの動画では、疾患概要、診療ガイドラインの改訂のポイントなどについて、専門医が分かりやすく解説しています。

動画でわかる!乳児血管腫の病態と治療
  • 経過観察による後遺症の例

    これまで、乳児血管腫は明らかに有効な治療法がなく、しばしば経過観察が行われ、患者さんに後遺症が残ることがありました。
    未治療の患者さんの25~69%に毛細血管拡張、繊維脂肪組織による皮膚の膨張、皮膚のたるみなどの後遺症が残ることがあります。

  • 早期治療介入の重要性

    増殖のピークや速度には個人差があり、予想が困難です。加えて、一見軽症に見える病変であっても、短期間で急速に増大する可能性もあります。
    そのため、例えば1ヵ月健診で乳児血管腫が見つかったタイミングなど、できるだけ早期に診療連携の整った施設へ紹介することが重要です。

【監修】千葉ろうさい病院 形成外科 部長 力久 直昭 先生

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