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ISSVA分類

ISSVA分類の概要

ISSVA(The International Society for the Study of Vascular Anomalies)分類において、脈管(血管やリンパ管)が増殖した病態は、「脈管性腫瘍」と「脈管奇形」に分けて考えられます。

脈管性腫瘍は、良性群、境界群、及び悪性群に分類されます。

脈管奇形は、「単純型」「混合型」「主幹型」「関連症候群」の4つに分類され、さらに異常を認める部位に応じて「毛細血管奇形(capillary malformation : CM)」、「リンパ管奇形(lymphatic malformation : LM)」、「静脈奇形(venous malformation : VM)」、「動静脈奇形(arteriovenous malformation : AVM)」、及び「動静脈瘻(arteriovenous fistula : AVF)」に分類されます。脈管奇形では異常を認める部位が混在する病変も多く、この場合は、例えば「毛細血管静脈奇形(capillary venous malformation : CVM)」というように、存在する部位を列挙して呼称します。

ISSVA分類

脈管性腫瘍 脈管奇形 分類困難な病変

良性群
境界群
悪性群

単純型(CM、VM、LM、AVM など)
混合型(CVM、CLM など)
主幹型(血管やリンパ管の欠損 など)
関連症候群(脚長差、片側肥大 など)

疣(いぼ)状血管腫、被角血管腫、カポジ肉腫様リンパ管腫症 など

<出典>
ISSVA Classification for Vascular Anomalies © 2014 The International Society for the Study of Vascular Anomalies Available at“issva.org/classification”より改変

脈管奇形はこのほかに、血液・リンパ液の流速により、「低流速脈管奇形(slow-flow vascular malformations)」と「高流速脈管奇形(fast-flow vascular malformations)」に大きく分けられます。毛細血管、静脈又はリンパ管に奇形を認める場合は低流速、動脈に形成異常を認める場合は高流速に分類されます。

脈管性腫瘍の種類

ISSVA分類で提示している脈管性腫瘍は下表のとおりです。

幼少時に存在する血管腫として、「乳児血管腫」のほか、「先天性血管腫」、「房状血管腫(tufted angioma):血管芽細胞腫(中川)(angioblastoma of Nakagawa)」、「カポジ肉腫様血管内皮腫」などがあります。

脈管性腫瘍の種類

良性群

  • 乳児血管腫

  • 先天性血管腫

    RICH(rapidly involuting congenital hemangioma)

    NICH(non involuting congenital hemangioma)

    PICH(partially involuting congenital hemangioma)

  • 房状血管腫(tufted angioma)、血管芽細胞腫(中川)(angioblastoma of Nakagawa)

  • 紡錘細胞血管内皮腫(spindle-cell hemangioendothelioma)

  • 化膿性肉芽腫(pyogenic granuloma)、毛細血管拡張性肉芽腫(telangiectatic granuloma)

  • その他

境界群

  • カポジ肉腫様血管内皮腫(Kaposiform hemangioendothelioma)

  • 網様血管内皮腫(retiform hemangioendothelioma)

  • リンパ管内乳頭状血管内皮腫

    (PILA:papillary intralymphatic angioendothelioma)、Dabska腫瘍

  • 複合型血管内皮腫(composite hemangioendothelioma)

  • カポジ肉腫(Kaposi sarcoma)

  • その他

悪性群

  • 血管肉腫(angiosarcoma)

  • 類上皮血管内皮腫(epithelioid hemangioendothelioma)

  • その他

<出典>
ISSVA Classification for Vascular Anomalies © 2014 The International Society for the Study of Vascular Anomalies Available at“issva.org/classification”より改変

ISSVA分類と従来の分類の対比

日本では脈管性腫瘍や脈管奇形の疾患概念、分類方法がほとんど知られておらず、慣用的な用語を含め、従来からの名称が広く使用されてきました。

しかし、なるべく単純で分かりやすい世界共通の病名を用いて脈管性腫瘍や脈管奇形を分類したISSVA分類の登場により、これに基づいて診断を行い、治療方針を決定することが国際的に標準化されつつあります。

なお、従来日本で「いちご状血管腫」とされてきた病態は、ISSVA分類に準じて「乳児血管腫(infantile hemangioma)」と呼称されるようになりつつあります。

ISSVA分類と従来の分類の対比

ISSVA分類 従来の分類
脈管性腫瘍 vascular tumors
乳児血管腫 infantile hemangioma いちご状血管腫 strawberry hemangioma
脈管奇形 vascular malformations
毛細血管奇形 capillary malformation 単純性血管腫 hemangioma simplex
毛細血管拡張症 teleangiectasia
ポートワイン斑 portwine stain
リンパ管奇形 lymphatic malformation リンパ管腫 lymphangioma cystic hygroma
静脈奇形 venous malformation 海綿状血管腫 cavernous hemangioma
静脈性血管腫 venous hemangioma
筋肉内血管腫 intramuscular hemangioma
滑膜血管腫 synovial hemangioma
動静脈奇形 arteriovenous malformation 動静脈血管腫 arteriovenous hemangioma

典型的な組合せの例を示しているが、明確な対応ではなく、実際とは異なる場合もある。

<出典>
平成26‐28年度厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等政策研究事業(難治性疾患政策研究事業)「難治性血管腫・血管奇形・リンパ管腫・リンパ管腫症および関連疾患についての調査研究」班:血管腫・血管奇形・リンパ管奇形診療ガイドライン2017, 第2版, 2017年3月

ISSVA Classification for Vascular Anomalies © 2014 The International Society for the Study of Vascular Anomalies Available at“issva.org/classification”

【監修】

地方独立行政法人 神奈川県立病院機構 神奈川県立こども医療センター 皮膚科部長
馬場 直子 先生

動画で分かる!乳児血管腫の病態と治療について

2017年3月の「血管腫・血管奇形・リンパ管奇形診療ガイドライン2017」改訂に伴い、乳児血管腫の診療法が大きく変わりつつあります。
こちらの動画では、疾患概要、診療ガイドラインの改訂のポイントなどについて、専門医が分かりやすく解説しています。

経過観察による後遺症の例

これまで、乳児血管腫は明らかに有効な治療法がなく、しばしば経過観察が行われ、患者さんに後遺症が残ることがありました。
未治療の患者さんの25~69%に毛細血管拡張、線維脂肪組織による皮膚の膨張、皮膚のたるみなどの後遺症が残ることがあります。

早期治療介入の重要性

増殖のピークや速度には個人差があり、予想が困難です。加えて、一見軽症に見える病変であっても、短期間で急速に増大する可能性もあります。
そのため、例えば1ヵ月健診で乳児血管腫が見つかったタイミングなど、できるだけ早期に診療連携の整った施設へ紹介することが重要です。

【監修】
千葉ろうさい病院 形成外科 部長 力久 直昭 先生

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