内服薬:ストロメクトール錠について

ストロメクトール錠はイベルメクチンを有効成分とする経口駆虫薬です。
イベルメクチンは、土壌から分離された放線菌Streptomyces avermitilisの発酵産物から単離されたアベルメクチン類から誘導されました。国内では、2002年に腸管糞線虫症治療薬として承認され、2006年に疥癬の適応が追加となりました。
イベルメクチンは無脊椎動物の神経・筋細胞に存在するグルタミン酸作動性クロライドチャンネルに選択的かつ高い親和性を持って結合します。これにより、クロライドに対する細胞膜の透過性が上昇して神経又は筋細胞の過分極が生じ、その結果、寄生虫を麻痺させ駆虫活性を発現するものと考えられています。

効能効果

  • 腸管糞線虫症

  • 疥癬

<効能・効果に関連する使用上の注意>

疥癬については、確定診断された患者又はその患者と接触の機会があり、かつ疥癬の症状を呈する者に使用すること。

用法用量

疥癬
通常、イベルメクチンとして体重1kg当たり約200μgを1回経口投与する。下記の表に患者体重毎の1回当たりの投与量を示した。本剤は水とともに服用する。

患者体重毎の 1回当たりの投与量
体重(kg) 3mg 錠数
15-24 1錠
25-35 2錠
36-50 3錠
51-65 4錠
66-79 5錠
≧ 80 約200μg/kg

<用法・用量に関連する使用上の注意>

  • 本剤は水のみで服用すること。本剤は脂溶性物質であり、高脂肪食により血中薬物濃度が上昇するおそれがある。
    したがって、本剤は空腹時に投与することが望ましい。(「薬物動態」の項参照)

  • 本剤による治療初期にそう痒が一過性に増悪することがある(「副作用」の項参照)。また、ヒゼンダニの死滅後もアレルギー反応として全身のそう痒が遷延することがある。特徴的な皮疹の発生や感染が認められない場合、又はそう痒が持続しても、特徴的な皮疹の発生や感染が認められない場合には、漫然と再投与しないこと。

  • 重症型(角化型疥癬等)の場合、本剤の初回投与後、1~2週間以内に検鏡を含めて効果を確認し、2回目の投与を考慮すること。

ヒゼンダニのライフサイクルから考える
疥癬治療のポイント

(監修・出演:国立療養所多磨全生園 園長
石井則久先生)

添付文書等はこちら

添付文書(PDF)
添付文書(PDF)
ストロメクトール錠3mg 疥癬に対する用法・用量(PDF)
ストロメクトール錠3mg 疥癬に対する用法・用量(PDF)
ストロメクトール錠3mg 服用時の注意点(PDF)
ストロメクトール錠3mg 服用時の注意点(PDF)

作用機序

イベルメクチンは、無脊椎動物の神経・筋細胞に存在するグルタミン酸作動性Cl-チャンネルに選択的かつ高い親和性を持って結合する1)、2)。これにより、Cl-に対する細胞膜の透過性が上昇して神経又は筋細胞の過分極が生じ、その結果、寄生虫が麻痺を起こし、死に至る。イベルメクチンは、特に、神経伝達物質であるγ-アミノ酪酸(GABA)によって活性化される他のリガンド作動性Cl-チャンネルとも弱いながらも相互作用するものと思われる3)

  • Arena JP, Liu KK, Paress PS, et al: Brain Res Mol Brain Res, 1992; 15: 339-348.
  • Cully DF, Vassilatis DK, Liu KK, et al: Nature, 1994; 371: 707-711.
  • Kass IS, Wang CC, Walrond JP, Stretton AO: Proc Natl Acad Sci USA, 1980; 77: 6211-6225.

臨床成績

  • 使用成績調査(疥癬)

(疥癬の適応追加に際して再審査期間は付与されなかったので、本剤の再審査対象ではない)

本調査における症例の集計では、安全性対象症例750例における副作用発現症例率は1.60%(12/750例)であった。重篤な副作用として、心肺停止が1例1件に認められた。有効性対象症例562例中、有効率は99.47%(559/562例)であった。確定診断症例中の有効症例率は99.67%(319/320例)、非確定診断症例中の有効症例率は99.17%(240/242例)であった。

  • 症例報告(参考)

本邦において、疥癬患者を対象とした臨床開発試験は実施されていないことから、学術論文等に記載された症例報告を以下にまとめた。

<表全体は左右にスワイプでご覧いただけます。>

対象 投与方法 評価基準 有効性 副作用・臨検値異常
疥癬199例4) 173例は6mg、13例は12mgを投与
単回:146例、複数回:63例(投与間隔:3日以内10例、
7~14日間48例、15日以上5例)
162例に外用薬併用
記載なし 202/209 副作用9例:
眠気4件、発疹後色素沈着2件、
下痢、体熱感、咳が各1件臨検値異常(135例に施行):
一過性肝障害3件、高カリウム血症、
白血球減少症、血小板減少症が各1件
角化型疥癬10例4)
疥癬24例5) 原則200μg/kg投与
単回:21例、2回:2例、3回:1例
11例に外用薬併用
投与開始2~3週後以降に皮疹、自覚症状(そう痒感)の有無を確認 単回:
21/24
2回:2/3
3回:1/1
2例:
むくみ感、
そう痒感が各1例
疥癬21例6) 6mg(100~200μg/kg)投与
単回:20例、2回:1例
全例外用薬併用
投与開始10~14日後に病変部位の検鏡による虫体・虫卵の確認 単回:20/21
2回:1/1
1例:
一過性のAST(GOT)、
ALT(GPT)の上昇
角化型疥癬1例6) 6mg(100~200μg/kg)を2回
投与
外用薬併用
1/1
疥癬1例7) 12mgを単回投与 記載なし 1/1 記載なし
疥癬17例8) 200μg/kgを1週間間隔で
2回空腹時投与
1週毎の皮膚観察、皮疹の検鏡による虫体・虫卵の確認。4週連続陰性で治癒と判定 17/17 なし
  • 大友弘士ほか:ヒューマンサイエンス総合研究事業 熱帯病に対するオーファンドラッグ 研究班分担研究報告書 2004.

  • 樹神元博ほか:臨床皮膚科,2001; 55: 273-276.

  • 首藤義幸ほか:Clinical Parasitology, 2003; 14: 104-106.

  • 大滝倫子ほか:皮膚病診療,2003; 25: 124-129.

  • 檜垣雄治ほか:島根医学,2004; 24: 52-57.

副作用:臨床試験(治験)9)

国内で実施された腸管糞線虫症を対象とした臨床試験において、50例中1例(2.0%)に、悪心、嘔吐が各1件、計2件の副作用が認められた。臨床検査値の異常変動は50例中4例(8.0%)に、AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇、総ビリルビン値上昇、白血球数減少、リンパ球数増加、単球数減少及び血尿が各1件、計7件認められた。
(参考)10)~13)
外国で実施された腸管糞線虫症を対象とした臨床試験において、109例中12例(11.0%)、20件の副作用が認められた。主な副作用は、めまい、そう痒が各3件、下痢、悪心が各2件等であった。

使用成績調査(腸管糞線虫症:2002年12月~2011年6月)
安全性評価対象309例中、副作用は19例(6.1%)に認められ、主なものは、AST(GOT)上昇、及び好酸球数増加の各4件、ALT(GPT)上昇の3件であった。〔再審査終了時〕

使用成績調査(疥癬:2006年8月~2007年9月)
安全性評価対象750例中、副作用は12例(1.6%)に認められ、主なものは肝機能異常3件であった。重篤な副作用として、心肺停止が1例1件に認められた。〔調査終了時〕

重大な副作用

1)中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(頻度不明)注):TEN、Stevens-Johnson症候群があらわれることがあるので観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

2)肝機能障害、黄疸(頻度不明)注):著しいAST(GOT)、ALT(GPT)の上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

3)血小板減少(頻度不明)注):血小板減少があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

注) 自発報告あるいは海外において報告されている。

  • Zaha O, Hirata T, Kinjo F, et al: J Infect Chemother, 2002; 8: 94-98.

  • Marti H, Haji HJ, Savioli L, et al: Am J Trop Med Hyg, 1996; 55: 477-481.

  • Datry A, Hilmarsdottir I, Mayorga-Sagastume R, et al: Trans R Soc Trop Med Hyg, 1994; 88: 344-345.

  • Gann PH, Neva FA, Gam AA: J Infect Dis, 1994; 169: 1076-1079.

  • Salazar, SA, et al.: Infect Med, 1994; 11: 50.

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