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ストロメクトール(疥癬)の臨床成績


臨床成績

・使用成績調査(疥癬)
(疥癬の適応追加に際して再審査期間は付与されなかったので、本剤の再審査対象ではない)

本調査における症例の集計では、安全性対象症例750例における副作用発現症例率は1.60%(12/750例)であった。主なものは肝機能異常3件であった。重篤な副作用として、心肺停止が1例1件に認められた。有効性対象症例562例中、有効率は99.47%(559/562例)であった。確定診断症例中の有効症例率は99.67%(319/320例)、非確定診断症例中の有効症例率は99.17%(240/242例)であった。

・症例報告(参考)
本邦において、疥癬患者を対象とした臨床開発試験は実施されていないことから、学術論文等に記載された症例報告を以下にまとめた。

対象 投与方法 評価基準 有効性 副作用・臨検値異常
疥癬199例1) 173例は6mg、13例は12mgを投与
単回:146例、複数回:63例(投与間隔:3日以内10例、
7~14日間48例、15日以上5例)
162例に外用薬併用
記載なし 202/209 副作用9例:
眠気4件、発疹後色素沈着2件、
下痢、体熱感、咳が各1件臨検値異常(135例に施行):
一過性肝障害3件、高カリウム血症、
白血球減少症、血小板減少症が各1件
角化型疥癬10例1)
疥癬24例2) 原則200μg/kg投与
単回:21例、2回:2例、3回:1例
11例に外用薬併用
投与開始2~3週後以降に皮疹、自覚症状(そう痒感)の有無を確認 単回:
21/24
2回:2/3
3回:1/1
2例:
むくみ感、
そう痒感が各1例
疥癬21例3) 6mg(100~200μg/kg)投与
単回:20例、2回:1例
全例外用薬併用
投与開始10~14日後に病変部位の検鏡による虫体・虫卵の確認 単回:20/21
2回:1/1
1例:
一過性のAST(GOT)、
ALT(GPT)の上昇
角化型疥癬1例3) 6mg(100~200μg/kg)を2回
投与
外用薬併用
1/1
疥癬1例4) 12mgを単回投与 記載なし 1/1 記載なし
疥癬17例5) 200μg/kgを1週間間隔で
2回空腹時投与
1週毎の皮膚観察、皮疹の検鏡による虫体・虫卵の確認。4週連続陰性で治癒と判定 17/17 なし
効能・効果に関連する使用上の注意
疥癬については、確定診断された患者又はその患者と接触の機会があり、かつ疥癬の症状を呈する者に使用すること。
用法・用量

・腸管糞線虫症
通常、イベルメクチンとして体重1kg当たり約200μgを2週間間隔で2回経口投与する。下記の表に患者体重毎の1回当たりの投与量を示した。ストロメクトール錠3mg(以下、本剤)は水とともに服用する。

・疥癬
通常、イベルメクチンとして体重1kg当たり約200μgを1回経口投与する。下記の表に患者体重毎の1回当たりの投与量を示した。本剤は水とともに服用する。

記事/インライン画像
患者体重毎の1回当たりの投与量
用法・用量に関連する使用上の注意(一部抜粋)

・本剤は水のみで服用すること。本剤は脂溶性物質であり、高脂肪食により血中薬物濃度が上昇するおそれがある。したがって、本剤は空腹時に投与することが望ましい。

・本剤による治療初期にそう痒が一過性に増悪することがある。また、ヒゼンダニの死滅後もアレルギー反応として全身のそう痒が遷延することがある。特徴的な皮疹の発生や感染が認められない場合、又はそう痒が持続しても、特徴的な皮疹の発生や感染が認められない場合には、漫然と再投与しないこと。

・重症型(角化型疥癬等)の場合、本剤の初回投与後、1~2週間以内に検鏡を含めて効果を確認し、2回目の投与を考慮すること。

使用上の注意(一部抜粋)
重要な基本的注意

・意識障害があらわれることがあるので、自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に従事する際には注意するよう患者に十分に説明すること。

・糞便内幼虫が陰転しない場合は再投与を考慮すること。

・易感染性患者(HIV感染者やHTLV-1感染者等も含む)では、通常の投与回数以上の投与が必要となることがあり、また、その場合でも治癒に至らないことがあるので注意すること。

・オンコセルカ症又はロア糸状虫症患者では、中枢精神神経系(脳症、頭痛、昏睡、精神状態変化、起立困難、歩行困難、錯乱、嗜眠、痙攣、昏迷等)、筋骨格系(関節痛等)、その他(発熱、結膜出血、眼充血、尿失禁、便失禁、浮腫、呼吸困難、背部痛、頸部痛等の疼痛等)の重大な副作用及びマゾッティ反応が報告されているので、これらの疾患を併発している患者に本剤を投与する場合には十分注意すること。これらの反応は、死んだミクロフィラリアに対するアレルギー性・炎症性反応によると考えられる。

・本剤は爪疥癬には無効であるため、爪疥癬の治療には使用しないこと。

高齢者への投与

・高齢者に対する安全性は確立していない。一般に高齢者では肝、腎、心機能が低下しており、また、合併症を有し、 もしくは他の薬剤を併用している場合が多いので、注意して投与すること。

  1. 大友弘士ほか:ヒューマンサイエンス総合研究事業 熱帯病に対するオーファンドラッグ 研究班分担研究報告書 2004.
  2. 樹神元博ほか:臨床皮膚科,2001; 55: 273-276.
  3. 首藤義幸ほか:Clinical Parasitology, 2003; 14: 104-106.
  4. 大滝倫子ほか:皮膚病診療,2003; 25: 124-129.
  5. 檜垣雄治ほか:島根医学,2004; 24: 52-57.

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