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がん性皮膚潰瘍マネジメントの現場から-施設インタビュー-:CASE3.江南厚生病院緩和ケア病棟(愛知県江南市) 第3回:看護師の目線から


    がんの進行に伴い壊死、自壊していく皮膚潰瘍に
    全人的苦痛の緩和という視点からチーム一丸で対応

    施設データ

    診療科・部門
    緩和ケア病棟
    チーム体制
    医師(緩和ケア内科医、内科医・外科医・産婦人科医・耳鼻咽喉科医・歯科口腔外科医などの治療科医師)、がん看護専門看護師/皮膚・排泄ケア認定看護師、がん性疼痛看護認定看護師、薬剤師など
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    髙倉梢氏

    髙倉 梢 氏
    江南厚生病院 緩和ケア病棟 緩和ケアチーム専従看護師

    【略歴】
    江南厚生病院緩和ケア病棟経験後、がん性疼痛看護認定看護師として緩和ケアチーム専従看護師として勤務。

    がん性皮膚潰瘍に対するがん性疼痛看護認定看護師の関わり方

    がん性疼痛看護認定看護師としてがん性皮膚潰瘍にどのように関わられていますか。

    私は緩和ケア病棟に所属していますが、緩和ケアチームの専従看護師として活動しており、緩和ケア内科医と一緒に院内全体を月曜日から金曜日までラウンドしています。医療スタッフあるいは患者さんやご家族から疼痛や呼吸困難など身体症状のコントロールや、緩和ケア病棟への転入希望など様々な依頼を受けています。その1つとして、がん性皮膚潰瘍のケアがあり、可能であればケアのタイミングで、病棟看護師と一緒に患者さんのところにいき、がん性皮膚潰瘍の状態やケア状況を確認・評価を行っています。

    そこで何らかの問題があれば、患者さんの病期や状態、入院されている病棟の特徴を考慮して院内の3名の皮膚・排泄ケア認定看護師のいずれかに相談を行い、一緒に対応しています。例えば、病棟看護師、あるいは患者さんやご家族がケアに不慣れで、ケア方法に問題がある場合は、皮膚・排泄ケア認定看護師と一緒に、病棟看護師が統一されたケアを行えるように、あるいは患者さんがご自宅に帰られた時にきちんとケアができるように指導方法を考えていきます。また、「患者さんが創部の痛みを訴える」「ケアをする時に痛みが出る」「臭いがある」「滲出液が多い」「出血がある」などの問題があれば、実際にケアを行う病棟看護師、もしくは患者さんやご家族に「こうしたほうが良いのではないでしょうか」と提案していきます。

    症状が強い患者さんの場合は落ち着くまで連日、症状が安定している患者さんの場合には週1~2回の頻度で患者さんを訪問し、ケアの時の痛みや臭いを確認しながら、ケア方法や症状コントロールを確認していきます。

    がん性疼痛看護認定看護師として、がん性皮膚潰瘍ケアで心がけていることは何ですか。

    がん性疼痛看護認定看護師として、痛いからお薬を使うという単純な流れにしないことが疼痛看護の大事な一歩であることを念頭におき、病棟看護師から情報をもらったり、患者さんに直接聞いたりして、「どこがどのように痛いのか」を把握した上で、部位ごとに「なぜそのような痛みが出るのか」「どうすれば痛みが強くなるのか」「何をすれば痛くないのか」などをしっかりと掘り下げていくように心がけています。そうすれば、自ずと「どのようにすれば良いのか」が見えてくると考えています。

    このような考えのもと、私のこれまでの経験からでしかありませんが、同じ痛みという言葉を使っていても、がんの浸潤に伴う痛みとそうではない痛み(創傷自体の痛み、ケアに伴う痛み、体位変換などの外的刺激による痛みなど(第1回参照)は分けるようにしています。がんの浸潤に伴う痛みは病態が大きく関係しているので、薬物療法をはじめとする医師の治療方針や患者さんやご家族の治療への思いなどが重要となります。そのため、看護師は主体的に動くというよりも、患者さんへの服薬支援を含め、医師の処方をどううまく使うかが大切になると考えています。

    これに対して、潰瘍部分の痛み、とくにケアに伴う痛みや体位変換などの外的刺激による痛みに関しては、薬物療法よりも、看護師の関わり方によって良くも悪くも大きく変わってくるように感じています。こうした痛みには、看護師が患者さんの様子を観察しながら具体的な方法を考え、疼痛コントロールをするように心がけています。病棟看護師には、がん性皮膚潰瘍をケアしている時に、「どうすれば痛いのか」「何をすれば痛くないのか」など、ケアに伴う痛みや体位変換などの外的刺激による痛みに関する情報を集めてもらい、その上で、「自分が何をすれば患者さんが楽になるのか」を訴求していくように伝えています。

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    インタビューに応じる髙倉梢氏

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