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ぬり薬の蘊蓄 第3章 皮膚の状態と経皮吸収について:皮膚の状態にあわせた外用剤の選択


外用剤を皮膚に適用する場合は、紅斑や水疱などの皮疹の有無に合わせて基剤を選択する必要があります。皮疹が生じて皮膚欠損や分泌物があれば経皮吸収性が高まる可能性があるほか、基剤によっては刺激などの局所性副作用が起こる可能性があるためです。皮疹と基剤の使い分けの一例を、表4に示します33)

表4:皮疹の状態に応じた基剤の選択(出典33 一部改変)
紅斑 丘疹 苔癬化 水疱 びらん 潰瘍
油脂性基剤
水溶性基剤
乳剤性基剤 × × ×
ゲル基剤
ローション基剤 × ×
テープ剤 × ×

◎:よく適している、○:適している、×:適していない

表4はあくまで一般的な指標です。実際は重症度や薬剤に含まれる添加剤などの影響を受けるため、上記のとおりではないこともあります。

乳剤性基剤やローション基剤など皮膚透過性の高い基剤は、「びらん」や「潰瘍」のような皮膚欠損がある場合、経皮吸収性が高まる可能性があります。加えて、皮膚欠損がある場合は外的刺激を受けやすいため、基本的に油脂性基剤よりも添加剤が多く、刺激性が高い乳剤性基剤やローション基剤は適していません。
「水疱」、「びらん」、「潰瘍」などの分泌液が多い湿潤面では、経皮吸水性の高い基剤である水溶性基剤が適しています。
皮膚の状態によって基剤を選択する上では、油脂性基剤は刺激性が低く、湿潤面でも乾燥面でも用いることができるため、最も適用しやすい基剤です。ただし、べたつき感があるといった欠点もあります。

記事/インライン画像
水疱
記事/インライン画像
びらん
記事/インライン画像
潰瘍

このような皮膚の状態に応じた基剤の選択は、刺激性などの副作用の軽減や患者さんのコンプライアンスの向上を目的としています。目的が異なれば基剤の選択も異なるため、今回紹介した基剤の選択が全てではありません。個々の患者さんのライフスタイルなどに合わせた使い分けが必要です。

まとめ

外用剤を適用する部位・年齢・皮膚疾患などにより、主薬の経皮吸収性は変化します。主薬の経皮吸収性には様々な因子が影響するため、変化を正確に予測することは困難ですが、一般的にどのような因子が経皮吸収性に影響を与えるのかを知ることは、有効性や安全性の観点からも重要です。

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