メインコンテンツに移動

湿疹・皮膚炎の疫学・病態


湿疹・皮膚炎の疫学・病態(総括)

湿疹・皮膚炎とは1,2)

湿疹と皮膚炎は同義であり、そう痒、発赤、落屑、漿液性丘疹がみられます。
湿疹とは、さまざまな外的刺激が主に皮膚を通じて生体内に侵入することで生じる炎症反応です。
体質的素因により発症する場合もあります。

湿疹・皮膚炎の疫学1,2)

湿疹は皮膚疾患患者の1/3以上を占めるといわれており、皮膚科の日常診療で最も頻繁に遭遇する疾患です。

湿疹・皮膚炎の病態1-3)

そう痒を伴う浮腫性紅斑が形成され、紅斑上に丘疹や漿液性丘疹が生じます。
そして小水疱、膿疱、びらん、痂皮かひ鱗屑りんせつを形成して治癒に向かいます。
この症状の流れは、日本では「湿疹三角」として図示されることが多いですが(図1)、国際的には使用されていません。

湿疹は苔癬化の有無によって急性、慢性に分けられます。
急性湿疹は紅斑、小水疱、膿疱、びらん、落屑が混在するものをいい(苔癬化を伴わない)、慢性湿疹は湿潤傾向がなく、苔癬化して皮膚が肥厚したものをいいます。

図1 湿疹三角
記事/インライン画像
湿疹三角

湿疹・皮膚炎の病理所見1, 4)

病理所見として、角化細胞間が強い浮腫により拡大した状態がみられ、これを海綿状態(spongiosis)といいます。
急性期では、さらにリンパ球主体の表皮内浸潤や水疱形成を伴います。慢性期に移行すると過角化や不全角化、表皮の不規則な肥厚や表皮突起の延長がみられるようになります。

接触皮膚炎の病理組織像
記事/インライン画像
接触皮膚炎の病理組織像

湿疹・皮膚炎の病因1)

湿疹の形成には、外的因子と内的因子の両方が関与しているといわれています。
薬剤や花粉、ハウスダスト、細菌などの外的因子が皮膚から侵入した際に、異物を排除するために炎症反応が引き起こされます。炎症反応の程度や様式は、健康状態、皮脂腺の状態、発汗状態、アトピー素因などの内的因子によります。
このような理由から、湿疹の症状には多様性があると考えられています。

記事/インライン画像
湿疹・皮膚炎の病因

湿疹・皮膚炎の分類1)

湿疹は、主に病因に基づいて以下の表1のように分類されています。
しかし、湿疹の病因は複雑で病態も多様であるため、これらの疾患の定義や病態は必ずしも明確なものではありません。
また、国によっても用いられる病名は異なります。

表1 主な湿疹・皮膚炎の分類

原因が明らかでない, いわゆる“湿疹”
急性湿疹・亜急性湿疹・慢性湿疹
接触皮膚炎
刺激性接触皮膚炎
おむつ皮膚炎
主婦(手)湿疹(進行性指掌角皮症)
口舐め病
アレルギー性接触皮膚炎
サクラソウ皮膚炎・ギンナン皮膚炎
全身性接触皮膚炎(シイタケ皮膚炎・水銀皮膚炎)
接触皮膚炎症候群
光接触皮膚炎(刺激性, アレルギー性)
アトピー性皮膚炎
脂漏性皮膚炎
貨幣状湿疹
慢性単純性苔癬(Vidal苔癬)
自家感作性皮膚炎
うっ滞性皮膚炎
皮脂欠乏性湿疹
異汗性湿疹
顔面単純性粃糠疹
その他

  1. 清水宏:あたらしい皮膚科学 第3版. 中山書店, pp114-116, 2018
  2. 落合慈之 監修, 五十嵐敦之 編集:新版 皮膚科疾患ビジュアルブック. 学研メディカル秀潤社, p26, 2012
  3. 山崎雄一郎:全ての診療科で役立つ皮膚診療のコツ. 羊土社, p139, 2010
  4. 岩月啓氏 監修, 照井正, 石河晃 編集:標準皮膚科学. 医学書院, p122, 2000

関連リンク

上記の分類中の、おむつ皮膚炎、アトピー性皮膚炎及び皮膚欠乏症湿疹については、独立した解説コンテンツがあります。

高齢者のいわゆるおむつ皮膚炎に対するエキザルベの有効性および安全性の検討(治療アルゴリズムの提案)
https://www.maruho.co.jp/medical/articles/eksalb/special/index.html
アトピー性皮膚炎
https://www.maruho.co.jp/medical/diseases/atopicdermatitis/index.html
皮脂欠乏症
https://www.maruho.co.jp/medical/diseases/asteatosis/index.html

お問い合わせ

お問い合わせの内容ごとに
専用の窓口を設けております。

各種お問い合わせ

Dermado デルマド 皮膚科学領域のお役立ち会員サイト

医学賞 マルホ研究賞 | Master of Dermatology(Maruho)

マルホLink

Web会員サービス

ページトップへ