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抗がん剤治療や放射線治療を受けている方

抗がん剤治療による皮脂欠乏症

抗がん剤治療による皮膚症状

がんの薬物療法には、化学療法や、分子標的治療薬、免疫治療薬などが用いられており、副作用として皮膚障害がみられることがあります。よくみられる皮膚の症状には、ニキビのような発疹、皮膚の乾燥やひび割れ・かゆみ、爪の変化、毛の変化などがあります。

これらの皮膚症状は、抗がん剤の種類によって現れる時期が異なります。例えば分子標的治療薬のひとつである上皮成長因子受容体(EGFR)阻害薬では、ひとつの目安として治療を開始してから1〜2週間目頃にニキビのような発疹がピークになり、追って皮膚の乾燥やひび割れ・かゆみ、爪の変化、毛の変化などが起こりやすくなります。
抗がん剤治療に伴う皮膚の乾燥は全身にみられます。皮膚が白い粉をふいたようになり、かゆみを伴います。ひどくなると手足の指の先端や手のひら、足の裏などにひび割れができ、痛むこともあります。

EGFR阻害薬による皮脂欠乏症の写真

乾燥が起こる原因

抗がん剤治療により皮膚の新陳代謝に関連する細胞がダメージを受けることで、乾燥が引き起こされます。
例えばEGFR阻害薬では、ターゲットとするEGFRが皮膚の新陳代謝に重要な役割を果たしているため、それを阻害することで、角質層が十分に形成されなかったり皮脂腺や汗腺が働きにくくなったりして、乾燥を引き起こすと考えられています。

抗がん剤治療による乾燥皮膚

抗がん剤治療を受けている方の皮脂欠乏症の治療

抗がん剤の効果がみられたとしても、皮膚の症状が重症の場合はその治療薬を中止せざるをえないこともあるため、皮膚症状のコントロールもがん治療において大切です。
皮膚が乾燥している場合は、皮膚のバリア機能を補うため保湿剤による治療やスキンケアを行います。気になる症状がある場合は主治医に相談しましょう。

放射線治療による皮脂欠乏症

放射線治療による皮膚症状

体の外から放射線を当てる場合、皮膚を通過して放射線ががんの部位まで届くため、がんの細胞だけでなく、皮膚にも影響が起こります。放射線治療による皮膚症状では、乾燥、かゆみ、赤み、つっぱり感、ほてり、痛み、色素沈着などが、放射線を当てた部位にみられます。

乾燥が起こる原因

皮膚は新陳代謝を繰り返し定期的に生まれ変わります。基底層で生まれた細胞が徐々に押し上げられ角質層となり、最後はアカとなってはがれおちます。
放射線を照射すると皮膚の基底層がダメージを受けるため、角質層となる細胞が減り、角質層が薄くなります。さらに、皮脂腺や汗腺も影響を受けるため、皮膚が乾燥したり、バリア機能が低下して炎症を起こしたりします。

放射線治療による乾燥皮膚

MEMO
皮膚症状の発現時期

放射線治療を開始してすぐに皮膚の症状が出ることは少なく、開始後7~10日目頃から早期の症状が出はじめます。照射スケジュールの後半には何らかの症状がみられ、照射終了から7~10日目頃が皮膚症状のピークになります。

放射線照射による皮膚症状の発現時期

放射線治療を受けている方の皮脂欠乏症の治療

放射線治療中の皮膚症状に対しては、放射線を当てた部分やそのまわりの皮膚への刺激を避けることがもっとも大切です。症状がないときでも、シップや絆創膏を貼ったり、かいたりするのはやめましょう。
皮膚が乾燥している場合は、バリア機能を回復して正常な状態に保つために保湿剤の塗布を中心としたスキンケアを行うことが大切です。気になる症状がある場合は主治医に相談しましょう。