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子どもの症状が気になる方

子どもの皮脂欠乏症

子どもは、大人(高齢者を除く)と比べて皮脂の分泌が少なく、皮膚表面に皮脂膜が作られにくいことがわかっています。皮脂膜は皮膚表層の水分の蒸発を抑える働きがあるため、子どもの皮膚は1年を通じて水分が蒸発しやすく、乾燥しやすい状態といえます。子どもの月齢や年齢によっても異なりますが、とくにほほやあご、むねなどの皮脂の分泌が少ないといわれています。

なお、健康な皮膚では、「バリア機能」によって、ダニや食べ物などのアレルギーの原因物質や細菌・ウイルスなどが体の中に侵入してこないように、また、水分が体内から逃げないようにして皮膚を健康な状態に保っています。

健康皮膚と乾燥皮膚

乾燥した皮膚はバリア機能が低下しており、アレルギーの原因物質や細菌・ウイルスが侵入しやすくなり、湿疹やアトピー性皮膚炎が発症・悪化しやすく、また、とびひや水いぼなどの皮膚の病気も起こりやすくなります。

また、乾燥した皮膚では、かゆみの知覚神経が皮膚の浅い所の表皮内まで伸びており、かゆみを感じやすくなっています。そして、かゆみで皮膚をかいてしまうと、さらにバリア機能が低下して湿疹などができやすくなるという悪循環に陥ります。

バリア機能の脆弱性による悪循環

このような悪循環を繰り返させないためにも、バリア機能が未発達である新生児期以降から、皮膚が乾燥している場合は保湿剤の塗布を中心としたスキンケアを行うことが大切です。

MEMO
新生児でも保湿が必要?

新生児期(生後4週間未満)は、お母さんのホルモンの影響で、ひたいなどでは皮脂が多く、乳児脂漏性皮膚炎(にゅうじしろうせいひふえん)やニキビのような症状が起こることがあります。しかし、そのほかの部分は皮脂が少なく乾燥した状態です。また、新生児期を過ぎるとお母さんのホルモンの影響がなくなり、急激に皮脂が少なくなり、全身が乾燥しやすくなります。

アレルギーマーチ

アレルギーの原因物質などの刺激を受けやすく、アレルギーの病気になりやすい体質の子どもがいることをご存じでしょうか。
とくに、アレルギーのリスクが高い子ども(両親またはきょうだいにアレルギーの病気の人がいるなど遺伝的な要因がある)は、成長するにつれてさまざまなアレルギー症状が代わり交代に出てくるという特徴があります。
年齢とともにアレルギーの症状が順番に現れる様子を、行進に例えて「アレルギーマーチ」とよびます。

アレルギーマーチ

アレルギーマーチのはじまりは、アレルギーの原因物質が皮膚から体の中に侵入してアレルギーを引き起こすこと(経皮感作)が、関係している可能性があります。

皮膚のバリア機能が低下すると、アレルギーの原因物質が体の中に侵入しやすくなるため、とくにアレルギーのリスクが高く、皮膚が乾燥している子どもは新生児期から保湿剤の塗布を中心としたスキンケアを行い皮膚のバリア機能を回復して正常な状態に保つことが大切です。また、アレルギーの原因物質に触れる機会を減らすため、こまめな掃除や皮膚の清潔を保つことも重要です。

実際に、アレルギーのリスクが高い子どもにおいて、生後早い時期から全身を保湿することで、アレルギーマーチの最初に現れやすいアトピー性皮膚炎の発症を3~5割ほど減らしたという研究結果があります。ただし、アレルギーのリスクが高くない子どもが含まれる研究や、塗布する保湿剤の種類・塗布回数によっては、アトピー性皮膚炎の発症予防効果がなかったという研究結果もあり、すべての子どもに対してアトピー性皮膚炎の発症予防効果が期待できるわけではありません。

MEMO
アレルギーの原因物質と対策

アレルギーの原因物質には、ダニ、カビ、ハウスダスト、ペットの抜け毛やフケ、花粉、食べ物などがあります。毎日の掃除や片付けなどで、原因物質が増えにくい環境づくりを心がけましょう。