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皮膚外用薬のレシピの特徴

Fish bone特性要因図 ~ ①基剤~

はじめに、①基剤について皮膚外用薬の基剤として最もよく使用されるワセリンを取り上げて基剤の重要性について説明します。

Fish bone特性要因図

白色ワセリン ~延びやブリーディングの違いについて~

図1.界面活性剤(乳化剤)の仕組み

ワセリンは、右の図のような工程で精製されます。日局16には黄色ワセリンと白色ワセリンが収載されていますが、医薬品で「ワセリン」と称する場合は、脱色・精製された白色ワセリンを指すことが一般的です。この白色ワセリンは、メーカー毎に融点、粘度などが異なっており、微量に含まれる不純物(過酸化物)を除去した高精製白色ワセリンなども販売されています。例えば、プロペト®、サンホワイト®などです。
日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会では、通常の白色ワセリンではパッチテスト陽性となる可能性があるため、パッチテストの陰性コントロール基剤としてサンホワイト®が用いられています。
このように多種多様な選択肢が存在する中、皮膚外用薬の処方に選択する白色ワセリン製品の違いによっては、展延性(注)やブリーディング(注)などに差異がでる可能性があります。

図1は、白色ワセリンの商品による違いを示すものとしてサンホワイト®、クロラータムV®、SONNECONE HV®の展延性をスプレッドメーター(注)を用いて比較した試験の結果です。カッコ内の数値は、白色ワセリンの延びを示すものとして広がりの直径(cm)を記していますが、少しずつ違いがあることが分かります。延びの違いは、患者さんの使用感や被覆性に関連します。

図1. 高精製ワセリン群の延び

延び クロラータムV(0.46) , SONNECONE HV(0.25) , サンホワイトP-200(0.19)

社内資料(1)

  • 展延性:塗布時の延びを示す。

  • ブリーディング:成分の融点の違いなどにより、低融点の油がにじみ出ること。

  • スプレッドメーター:試料の展延性を簡便に評価するための計器です。2枚の平行な平板で試料をはさみ、試料が広がる速度より、延びを調べます。

図2は、ブリーディングの違いについて検討した結果です。
高精製ワセリンを用いた処方では、ブリーディングが減少しました。
日局16(規格)に適合する白色ワセリンであってもその精製度が異なるだけでブリーディングに違いが出てくる可能性を示す結果となっています。白色ワセリン以外にも皮膚外用薬の感触の調整や乳化効果を期待して汎用される基剤としては、脂肪酸高級アルコール類(セタノール、ステアリルアルコールなど)、高級脂肪酸類(ミリスチン酸、ステアリン酸など)、脂肪酸エステル類(ミツロウ、サラシミツロウなど)が挙げられます。

図2

品名 30℃4週間保存時のブリーディング(%)
白色ワセリン(パーフェクター® 2.3
高精製ワセリン(クロラータム® 1.1

社内資料(1)

    • 白色ワセリン
      (通常)

    • 白色ワセリン
      (ブリーディング有り)

    • ブリーディング評価:濾紙法
      濾紙の質量を測定し、試作製剤を濾紙上に約0.3g程採取した後、液状成分が濾紙にしみ込んだことを目視で確認し、スパーテルで拭きとった。この濾紙をエタノールをしみ込ませた紙で1回拭き取り、30℃に設定した器具乾燥機で4週間乾燥させ、乾燥後の濾紙の質量を測定した。

①基剤の終わりに

一般的には、皮膚外用薬の混合は、同じ軟膏で性質の似た基剤同士か、基剤の性質が近いものを選択することが原則です。しかし、上記に示した通り一見同様にみえる基剤同士でも使用しているワセリンの精製度やその他の添加物の違いによって、使用感やブリーディングに差が出てくる可能性があります。また、同じ種類の添加物を用いていても、薬物・基剤のわずかな量の違いによって分離を起こすこともあります。

豆知識:皮膚外用薬の基剤 ~サラシミツロウについて~

サラシミツロウは、天然のミツロウを化学的に漂白したものです。一般的にクリーム剤の乳化安定剤として添加され、無毒性及び無刺激性の物質ですが、ミツロウの中の不純物で過敏症反応の報告(2)(3)があります。不純物は、アルデヒド、低級アルコール、低級脂肪酸等です。一部のサラシミツロウは、より製精して、このような不純物を除去しています。なお、サラシミツロウを含む基剤は、一般的に固着性や被覆性が高まります。

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