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薬局経営者に聞く:医療・介護・予防・行政と連携した新時代ドラッグストア展開(3/4)


大阪府内全域に500店舗を目指す

予防連携とは、どのような取り組みでしょうか。

【皆川】地域の運動人口を増やすことが予防対策には重要と考え、ドラッグストア2階でフィットネスジムを開設しています。また、10年前より続けているウォーキング大会の開催、サッカーJリーグのFC大阪、Bリーグの大阪エヴェッサの協賛等にも取り組んでいます。

昨年からは健保組合と連携し、弊社の管理栄養士がオンラインでの特定保健指導を実施しています。今年からはリアル店舗での特定保健指導もスタートしており、ドラッグストアにおける管理栄養士の職能拡大に取り組むとともに、予防対策を進めていく考えです。

行政との連携については、大阪府・大東市との包括連携協定をはじめ、災害時の物資供給協定や子どもの支援協定など、多くの市町村とさまざまな協定を締結しています。また、本社のある大東市では市が出資する公民連携を進める株式会社コーミンに出資し、行政と共同で健康な街づくりに向けた取り組みを行っています。このような取り組みは、他にあまり例がないと思いますが、まさに弊社の街づくりの考えと合致していることから出資することにしました。

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ウォーキング大会の様子
ウォーキング大会の様子

さらに昨年には、大阪府が主導する次世代スマートヘルス分野のスタートアップを支援するデジタルヘルスファンド大阪に出資しました。同ファンドは病気の予防、管理、治療等で使用される治療用アプリ分野など、ヘルステック関連のベンチャー企業に投資を行うことを目的にしており、ベンチャー企業と連携しながら、新しい健康サービスの創出に取り組んでいきたいと思います。弊社の創業は大阪府北東部でしたが、現在の出店エリアは大阪全域に拡大しています。それに併せて、府内の市町村と公民連携を今後も進めていくつもりです。

以上のように「医療」・「介護」・「予防」・「行政」との連携を強めたドラッグストアを展開することで、「地域健康インフラ」を構築していくことができると考えています。現在の店舗数は約120店舗ですが、今後、府内全域に1㎞おきに500店舗出店していけば、歩いて10分以内にアカカベの店舗があるようになります。その時点の年商を1000億円と見込んでいます。

ベトナムとカンボジアに会社設立し海外事業を推進

現在、ホールディングス体制を敷いています。

【皆川】急速な社会変化に対応していくためアカカベホールディングスを設立しました。言うまでもなく、中核は株式会社アカカベです。その他、人材サービスの株式会社ツナガリキャリア、システム開発を行っている株式会社WRISE SYSTEM(ライズシステム)などを展開しています。

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アカカベグループ体制
アカカベグループ体制

中でも、株式会社ツナガリキャリアは特別な存在です。というのも、弊社発展の源である人材採用の遺伝子を引き継いでいるからです。22年前、私が新卒薬剤師一期生で入社した頃、調剤事業はほとんど行っていませんでしたから、新卒薬剤師を定期採用する状況にはありませんでした。しかしながら、以後、新卒採用を続けたことで、優秀な人材が集まるようになり、弊社の成長に繋がりました。株式会社ツナガリキャリアは7年前に、関西圏での薬剤師・登録販売者の紹介・派遣会社としてスタートしました。その後、順調に成長し、現在は医療・福祉関連全般、外国人人材にも対応しており、多くの同業他社にも紹介しています。今後一層、人材不足が深刻化していきますので、採用を強化することで更にグループの競争力を高めていくつもりです。

一方、システム開発を行っている株式会社WRISE SYSTEMは、生成AIの誕生によるデジタル社会の進展に素早く対応するために設立しました。これまでに、現場徹底力を高めることを目的としたタスク管理ソフト「AKAタスク」や、購買データと顧客データを一元管理する顧客台帳システムなどのアプリ開発を行ってきました。自社で開発を行うことで、迅速なバージョンアップが可能になるとともに、全社のITリテラシーを高め、急速に進むデジタル社会にスピーディーに対応したいと考えています。

更に、人口減少に起因する市場縮小に対応していくため、海外に向けたチャレンジを進めています。コロナ禍に取り組んだ大阪ミナミエリアにおけるインバウンド店舗はすでに9店舗まで拡大、全社売上を大きく押し上げています。またグローバル拠点としてベトナムとカンボジアに会社を設立し、日本商品の海外での販売に取り組んでいます。超少子高齢社会の日本を支えるためには、日本の商品・サービスを海外に広げ、外貨を得なければならないという思いから、今後も海外事業に積極的に取り組んでいくつもりです。

また、海外事業に関連する話題としては、2025年の大阪・関西万博で大阪ヘルスケアパビリオン内への出店があります。開催期間中の半年間、アカカベの店舗を開設し、大阪を代表するドラッグストアとしてブランドを国内・世界へ広げ、インバウンドを含めた海外事業に繋げていきたいと考えています。
このように海外事業を拡大していくため、私自身も昨年は、年間40日以上を海外視察や市場開拓に費やしました。海外出張が増えグローバルな視点から日本を見られるようになると、強い危機感を持つようになりました。それを裏付けるように、ある民間企業の調査によると、日本企業に勤める従業員で士気・熱意が高い者の割合は5%しかいませんでした。これは調査した145カ国中最下位でした。モンゴルは35%、アメリカ・カナダは34%、世界平均でも20%いるのに対し、日本の企業には士気・熱意のある従業員が5%しかいないのです。中国17%、韓国12%より低いのです。

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2023年2月にオープンした「ドラッグアカカベ北心斎橋店」
2023年2月にオープンした「ドラッグアカカベ北心斎橋店」

世界の中では恵まれた環境にある日本ですが、社会の閉塞感や将来の不安から、未来に希望を持ちにくくなっているのかもしれません。海外で多くの方々と触れ合う中で感じることは、チャレンジ精神と未来に希望を持つことの大切さです。弊社においても、冒頭で触れた企業理念や目標に基づき未来に挑戦していくことで、やりがいを持って楽しく仕事ができる企業を目指していきたいと強く感じています。

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