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薬局経営者に聞く:独自の「極小ドミナント」戦略で地域に根下ろす(2/4)


徒歩15分の店舗間で患者に利便性供与

入社当時は6店舗とのことですが、積極的な出店政策で店舗を増やしてこられました。

【岡村】2024年4月現在の店舗数は61薬局まで拡充しています。熊本や広島にも店舗を構えていた時期もあったのですが、管理面で難しいところがあり撤退し、今は「市外局番092」のエリアを中心とした「極小ドミナント」展開を出店政策の基本にしています。

「092」と「極小」が意味するところは何でしょうか。

【岡村】「092」とは、福岡市のほか、春日、古賀、筑紫野、大野城、太宰府、糟屋など10の市や郡に割り当てられている市外局番です。一部、久留米市や北九州市にも出店していますが、出店場所の基本はこの「092」のエリア内で、現在は福岡市をメインに、先に示した6市1郡に店舗を構えています。

「極小」とは店舗間が近いという意味で、徒歩15分で互いに行き来できるように自店舗を構える、言ってみれば究極のドミナント戦略です。具体的には、地下鉄一駅ごと、JR一駅ごとに出店するといったイメージです。例えば、こちらのタカラ薬局の周辺に受診したい診療科がなくても、徒歩で15分圏内にある近隣の別のタカラ薬局の周辺に受診したい診療科があれば、患者さんの利便性は高まります。この極小ドミナント展開は創業者の思いでもありました。

社内的には、店舗間の移動に時間がかからないので、業務支援などがしやすいといった利点もあります。他の地域では違うのかもしれませんが、県民性なのかどうか、どうも福岡の皆さんは隣町であっても「遠い」といった感覚をもつ人が少なくない。だから、福岡に住みたいから他の街には行きたくない、転勤もしたくないという思いが、当社志望の選択肢の一つになっているのも、「極小」がもたらすメリットの一つかなともみています。

今後も出店は続けられる。

【岡村】はい。2024年も新卒の薬剤師を7人確保いたしました。「092」と「極小」を基本に、新規出店はコンスタントに継続していきたいと考えています。

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タカラ薬局
福岡県には国立の九州大学のほか、私立では岡村社長の母校である第一薬科大学に福岡大学と、九州地区の中では薬学部・薬科大学の数は多い。しかし地方では、薬剤師確保に悩まされている調剤チェーンが少なくありません。

【岡村】確かに薬大・薬学部には恵まれている地区ではありますが、薬剤師の確保はなかなか難しいのが現状です。企業として実力不足の側面もあるかもしれません。当社の定年は70歳です。薬剤師の平均年齢が高いこともあって、新卒薬剤師の確保は喫緊の課題でもあります。

自治体などから出張依頼増える健康サポート講座

“出前”の健康講座が人気とうかがっています。どんな経緯で始まったのでしょうか。

【岡村】「薬剤師による健康サポート出張講座」と名付け、当社の薬剤師が依頼のあった地域コミュニティに出向き、健康測定や健康授業を行っています。

振り返れば、「地域活動」という言葉もまだ、十分に浸透していない頃だったかと思います。薬局の中で患者さんを待つだけではなく、こちらから積極的に地域に飛び込む必要があるのではないか。そんな思いから、最初はボランティアなどさまざまな形で、イベントが開催されている各地域のカフェやサロンに一人で出向くようになりました。そこで皿洗いをしたり、お弁当を配ったり、珈琲を出したりしながら交流を深めていくと、おのずと私が薬剤師であることも分かってきます。それならば、健康や薬についての相談会でも実施してよ、となる。1年以上にわたって続けた、そんな草の根の地域活動が現在の「健康サポート出張講座」の端緒になっています。

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健康相談フェア
健康相談フェア
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社会福祉協議会主催「ふら~っとカフェ」
社会福祉協議会主催「ふら~っとカフェ」
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認知症サポーター養成講座
認知症サポーター養成講座
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認知症キッズサポーター養成講座
認知症キッズサポーター養成講座
出張講座ではどんなメニューが用意されていますか。

【岡村】地域から依頼のあった公民館や集会所などに弊社の薬剤師が出向き、地域住民を対象とした健康セミナーや体組成、骨密度などの健康測定を行っています。セミナーは15分から20分ほどですが、弊社の薬剤師が健康に関すること、薬に関することなどを分かりやすくお話しさせていただいています。また希望される方には、「個別のお薬相談」や「余ったお薬の整理」にも対応しています。福岡市内のデパートや公共施設での「健康フェア」のイベント開催にも発展しています。もちろん、全て無償で行っています。

当初はそれほど頻繁に依頼もなく、また新型コロナ感染症の影響でやむなく開催を控えていた時期もありましたが、社会福祉協議会やいろんな自治体から声を掛けていただける機会が増え、参加される地域住民の方からも好評を得ています。

地域やそこに住む人々が薬局薬剤師に求めていることは何なのか。それを理解するためには自らが行動すべきです。そして、薬局薬剤師が地域に発信することで何ができるのか、常に考えることが大切だと思っています。

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