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自由診療の「今」に迫るインタビューシリーズ PINCER NAILS Vol.1 巻き爪矯正治療導入・実践・今後の課題


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    桑原大樹先生
    リネイルゲルの登場により、巻き爪矯正は治療期間が短縮できるようになりました。これに伴い、当院では患者さんの通院に伴う身体的負担が軽減され、また、医療者にとっても矯正器具のメンテナンスに要していた再診の時間を新規の患者さんに充てることができ、結果的に経営メリットが向上しました。一般的に矯正治療はまだ認知度が低いため、巻き爪患者さんの多くは治療をあきらめ痛みをガマンして過ごしています。当院ではリネイルゲルを機にさらに自信をもって矯正治療を提案することができるようになり、治療意識を高められるよう社会的にも貢献できると考えています。
    監修:
    • ひたちなか中央クリニック 院長 桑原 大樹 先生

    Q1:貴院で行っている自由診療について教えてください。

    • 専門である形成外科に関連した診療メニューを用意しています。

    ひたちなか中央クリニックの主な自由診療メニュー

    • ・美容皮膚科(レーザー各種、IPL、ピーリング、イオン導入など)
    • ・腋臭症・多汗症治療(外用、電磁波治療など)
    • ・脱毛(医療レーザー脱毛)
    • ・尿漏れ治療(高密度焦点式電磁)
    • ・巻き爪矯正治療

    Q2:巻き爪矯正治療を始めたきっかけは何ですか?

    • 巻き上げ式ワイヤが普及しはじめたのがきっかけです。
    • 過去には外科的治療を主として行い、その必要のない患者さんには保存的治療を実施していました。
    • しかし保存的治療がうまくいかないことも多く、例えば、超弾性ワイヤを使った治療では、爪に穴をあけるので爪甲が割れてしまったり、ワイヤが突き出たりするので、積極的な評価ができないでいました。また、施術が標準化されておらず、自分の施術に対する不安もありました。
    • 一方で、巻き上げ式ワイヤはある程度方法が確立されていて、先輩たちの成績もよかったので、巻き爪矯正治療を本格的に始めたのがこの頃です。その後、巻き爪マイスターを紹介され、開業してから現在は、巻き上げ式ワイヤと巻き爪マイスターの両方を使っています。

    巻き上げ式ワイヤ

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    巻き上げ式ワイヤ

    巻き爪マイスター

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    巻き爪マイスター 上から見た図

    上から見た図

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    巻き爪マイスター 正面から見た図

    正面から見た図

    Q3:巻き爪に矯正治療を行う意義・メリットをどのように考えていますか?

    • 私は巻き爪治療の第一選択は矯正治療であると考えています。
    • テーピング法やガター法、コットンパッキング法などは当院でも行うことがありますが、基本的には疼痛を緩和する一時的な処置であり、爪の彎曲自体は変わりません。爪切りに関しても、爪が伸びるたびに通院することになり、場合によっては爪の伸びに伴い、感染や出血、肉芽形成などを併発することがあるので、爪切りの方がむしろトータルで時間がかかって、診療効率も悪くなると私は考えています。
    • 一方で、矯正治療は爪自体の彎曲を平坦化し、痛みも見た目も改善されます。自由診療ですので患者さんの負担額は高くなりますが、通院回数も少なくて済み、長期的に痛みから解放されるため、患者満足度の高い方法だと思います。
    • とはいえ、保険診療も自由診療での矯正治療も、最終的には患者さんが選択することです。両方にメリット・デメリットがありますので、患者さんには各治療の特徴を説明し、ちゃんと理解していただくことが重要と考えています。日々の診療では、治療を提供するだけではなく、患者さん自身が「治療によってどうなりたいのか」といった潜在的な利益を探りだせるよう心掛けています。

    爪の彎曲を平坦化し、長期的に痛みや見た目を改善する治療

    • ・矯正治療

    爪と皮膚の接触を避け、疼痛を一時的に緩和する治療

    • ・テーピング法
    • ・ガター法
    • ・コットンパッキング法
    • ・爪切り

    Q4:どのような症状・背景の患者さんに巻き爪矯正治療を提案していますか?

    • まずは感染兆候がないことを確認します。感染がある場合はその治療を優先します。
    • 感染に対しても、原因を特定せずに抗生剤を処方してもあまり効果は期待できません。陥入した爪が原因なら刺入部分を取り除き、肉芽が盛り上がって炎症を広げていれば肉芽を処置して、菌がドレナージできる空間を作ります。
    • 感染兆候がない場合や治まった後は、爪の厚さや巻き具合をみて、矯正具が装着できるかどうか判断します。また、他の治療選択肢と併せて提案するようにしています。
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    矯正治療対象症例 ①

    矯正治療対象症例 ①

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    矯正治療対象症例 ②

    矯正治療対象症例 ②

    Q5:巻き爪矯正治療の費用設定はどのようにしていますか?

    • 初診料は3,300円です。どの自由診療のメニューも一律ですが、1回受診していただいたら、違うメニューで来られても再診料1,100円で診ています。手技料と材料費は分けずにまとめています(表)。
    • 金額については、必ず最初にきちんとお話しします。「トータルでは何ヵ月でこの金額ですが、月単位だとこれくらいになります」という話し方をします。月額いくら、で示された方が、患者さんは納得されやすいです。これに加えて、治療期間や効果予測についても説明します。

    ひたちなか中央クリニックの巻き爪矯正治療費

    (表)

    初診料 ¥3,300
    再診料 ¥1,100
    治療代 巻き爪マイスター ¥6,600
    巻き上げ式ワイヤ ¥9,900
    リネイルゲル ¥6,600
    (テープ代) ¥350~¥400
    (麻酔代) ¥1,100

    料金説明の例

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    料金説明の例

    Q6:患者さんに、巻き爪マイスターとリネイルゲル併用治療をどのように紹介していますか?

    • なるべくわかりやすくするために、髪のパーマに例えて説明しています。パーマのロッドを巻き爪マイスターに、パーマ液をリネイルゲルに見立てて話すとみなさん理解が早いです。
    • 併用療法だとイニシャルコストは高くなりますが、治療期間が短縮されるので、それに伴う通院コストを低減できることを説明しています。
    • また、矯正具による異物感などの負荷も、治療期間が短縮できれば、少なくて済むことを伝えます。
    • 定期的にMRI検査を受けている方には、リネイルゲルで早期に治療を終えられることが期待できるというメリットを説明しています。
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    併用治療の紹介

    Q7:矯正治療における今後の課題は何でしょうか?

    • 現状、どのデバイスにも一長一短あるので、今後は、効果がありながらもより薄く、かつ医療者にとっても簡便に装着できる矯正具が開発されれば、巻き爪矯正治療の導入がさらに進むと思います。
    • 「巻き爪は矯正して治す」ことがまだ一般の方々に浸透していないので、矯正治療の認知を広めていくことが重要であると考えます。そうすることで、患者さんの治療意欲も向上し、結果的には自分の足で長く歩くといった健康寿命の延長にも寄与できるのではないかと考えます。
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