多汗症患者さんの実態
多汗症の心身への影響
QOLへの影響
多汗症(手掌・腋窩等)は他の疾患と横並びにみても、QOLが著しく障害されていることが示されています。
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方法:
多汗症のDLQIを評価した研究をPubMedで検索し、該当した40件の文献から、治療前のDLQIスコアが8以上の皮膚疾患をまとめた。
Hamm H. et al.: Dermatology. 212(2): 343-353, 2006より作図
日常生活への影響
原発性腋窩多汗症患者さんを対象とした定量調査では、日常生活で支障(HDSS-2以上)を感じていた方の割合は95.1%でした。
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原発性腋窩多汗症に関する患者定量調査
方法:インターネット調査
調査期間:2020年7~8月
調査主体:マルホ株式会社
対象:
原発性腋窩多汗症患者かつ治験の経験がない患者(スクリーニング調査64,547名 本調査1,258名)
上記条件に加えて、下記の①~③の条件を満たす人を対象者とする
①過去・現在とも病院を受診していない (本調査:1,200名)
②過去にわき汗の対処として、病院を受診していたことがある (本調査:31名)
③現在(直近1年間)わき汗治療として病院を受診している (本調査:27名)
上記条件に加えて、下記の①~③の条件を満たす人を対象者とする
①過去・現在とも病院を受診していない (本調査:1,200名)
②過去にわき汗の対処として、病院を受診していたことがある (本調査:31名)
③現在(直近1年間)わき汗治療として病院を受診している (本調査:27名)
調査期間:2020年7~8月
調査主体:マルホ株式会社
2020年7~8月患者定量調査、(株)博報堂
HDSSとQOLへの影響
HDSS-2~4の患者さんがあてはまるWeekly Impact Items※の評価では、様々なQOLへの影響が示されました。
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原発性腋窩多汗症に関する医師定量調査
方法:インターネット調査
調査期間:2020年12月 医師数n=384、患者数n=2,515の記載について:回答のあった医師384名が直近1年間で診察した患者数の総計
調査主体:マルホ株式会社
対象:
主診療科が皮膚科、形成外科/美容外科、一般内科、神経内科、心療内科、精神科の医師493名
調査期間:2020年12月 医師数n=384、患者数n=2,515の記載について:回答のあった医師384名が直近1年間で診察した患者数の総計
調査主体:マルホ株式会社
(株)インテージヘルスケア 医師インターネット調査結果
労働生産性や学習能率に及ぼす影響
多汗症によって労働生産性や学習能率が低下することが報告されています。
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対象:
原発性多汗症を有する勤労者64名、学生37名
方法:
WPAIを使用して、原発性多汗症患者の労働生産性および勉学生産性を評価した。
厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患克服研究事業) 特発性局所多汗症の疫学調査、脳血流シンチの解析による病態解析及び治療指針の確立
平成21年度 総括・分担研究報告書 p13-15
精神面への影響(対象:全身性および局所性多汗症患者)
多汗症患者は、不安障害やうつ病の有病率が高く、多汗症の重症度が高いほど、不安障害やうつ病の有病率が高いことが報告されています。
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- 不安障害の定義:不安の尺度であるGAD-7(Generalized Anxiety Disorder-7)でスコア10以上を不安障害とした。
- うつ病の定義:抑うつの尺度であるPHQ-9 (Patient Health Questionnaire-9)でスコア10以上をうつ病とした。
- 多汗症の定義:アンケートで、過去2週間(日中・睡眠時)に多汗のエピソードがあり、
日常生活に支障をきたしたと回答した者を多汗症とした。
** p<0.001(vs 多汗症なし)
多重ロジスティック回帰分析
多汗症患者における不安障害・うつ病の有病率に関する調査
調査期間:2014年6月~2015年5月
対象:
皮膚科外来に通院する患者2,017名[多汗症※患者437名(手掌/足底多汗症130名、腋窩多汗症96名、全身性/頭部顔面多汗症91名)、多汗症のない患者1,580名] ※うち120名は25歳以上での発症例
方法:
アンケート調査を実施し、多汗症患者と多汗症のない患者の不安障害およびうつ病の有病率を比較した。
Bahar R. et al.: J Am Acad Dermatol. 75(6): 1126-1133, 2016より改変