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発売3周年記念WEB講演会:発売後3年間で蓄積されたアメナリーフ錠の使用経験


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    今福 信一 先生 福岡大学医学部 皮膚科学教室 教授

    今福 信一 先生
    福岡大学医学部 皮膚科学教室 教授

    アメナリーフ発売後の経口抗ヘルペスウイルス薬の処方比率の変化

    複数の健康保険組合のレセプトデータと健診データを集積したJMDC claims databaseを用い、本邦の帯状疱疹推計患者における経口抗ヘルペスウイルス薬の薬剤別処方比率について調査した1)。発売1ヵ月後の2017年10月ではアメナリーフは12.6%であったが、2020年4月には32.0%まで上昇しており、発売から3年が経過し、現在は帯状疱疹患者の約3分の1にアメナリーフが処方されていると考えられる(図1)。

    図1:帯状疱疹の推計患者における経口抗ヘルペスウイルス薬の処方比率の推移
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    図1:帯状疱疹の推計患者における経口抗ヘルペスウイルス薬の処方比率の推移

    また、前述のデータを診療科別で分析したところ、皮膚科におけるアメナリーフの処方比率は2020年4月で37.8%であり、皮膚科では帯状疱疹患者の4割近くにアメナリーフが処方されていることになる(図2)。

    図2:帯状疱疹の推計患者における経口抗ヘルペスウイルス薬の処方比率の推移(診療科別)
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    図2:帯状疱疹の推計患者における経口抗ヘルペスウイルス薬の処方比率の推移(診療科別)

    アメナリーフ特定使用成績調査の最新解析結果

    アメナリーフの特定使用成績調査※1の現時点での最新解析結果(集計期間:2018年3月19日~2020年7月2日)2)を一部紹介する。
    調査票回収症例は3,149例、安全性解析対象症例は2,859例、有効性解析対象症例は2,848例であった(図3)。男女比は4:6であり、年齢分布については65歳以上が55%を占めており、75歳以上が30%、85歳以上が7.6%であった。女性の比率が高かった理由としては、高齢者の比率が高く、男性よりも女性の平均寿命が長いことが考えられる。高齢者の比率が高かったことから、背景に合併症を有する患者が多数含まれていることが想定される。

    図3:アメナリーフ特定使用成績調査症例構成
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    図3:アメナリーフ特定使用成績調査*症例構成

    安全性解析対象集団の患者背景について、アメナリーフ投与開始時の皮膚病変を重症度別に分けたところ、軽症53.4%、中等度41.7%、重症5.0%であった。疼痛(帯状疱疹関連痛)についても同様に分けたところ、軽微15.8%、軽度48.5%、中等度29.3%、高度6.0%、不明0.4%であった。アメナリーフに併用された疼痛治療薬(複数選択可能)の内訳は、アセトアミノフェン30.5%、NSAIDs27.6%、トラマドール含有製剤※22.5%、プレガバリン※314.2%、ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液含有製剤5.7%、抗うつ薬※41.4%、メコバラミン※515.9%、その他7.8%であった。
    副作用の発現状況()については2,859例中20例27件であった。重篤な副作用は低ナトリウム血症、血小板数減少の2例2件であった。低ナトリウム血症の1例はアメナリーフの投与中止および持続輸液を実施し、血小板数減少の1例は無処置でいずれも回復に至った。なお、血小板数減少の1例については胃がんの治療中であった。
    いずれも使用上の注意に記載済みの副作用であり、現時点でアメナリーフの安全性について新たな懸念はないと思われるが、今後も引き続き副作用に留意し、注意深く監視する必要がある。

    1. 【調査期間】2018年3月から3年10ヵ月間
      (登録期間は2018年3月から2年10ヵ月間)
      【調査予定症例数】3,000例
    2. 【効能・効果】非オピオイド鎮痛剤で治療困難な慢性疼痛における鎮痛
    3. 【効能・効果】神経障害性疼痛
    4. 一部承認外
    5. 【効能・効果】末梢性神経障害
    表:アメナリーフ特定使用成績調査副作用一覧(安全性解析対象集団)

    *:集計期間:2018年3月19日~2020年7月2日

    安全性解析対象症例数 2,859
    副作用等の発現症例数 20
    副作用等の発現割合 0.70
    副作用等の種類 副作用等発現症例数
    (発現割合)
    血液およびリンパ系障害 1(0.03)
    血小板減少症 1(0.03)
    代謝および栄養障害 1(0.03)
    低ナトリウム血症 1(0.03)
    神経系障害 4(0.14)
    浮動性めまい 2(0.07)
    頭痛 1(0.03)
    味覚障害 1(0.03)
    胃腸障害 10(0.35)
    上腹部痛 2(0.07)
    便秘 1(0.03)
    下痢 2(0.07)
    嚥下障害 1(0.03)
    胃炎 1(0.03)
    胃食道逆流性疾患 1(0.03)
    歯肉出血 1(0.03)
    悪心 1(0.03)
    心臓障害 1(0.03)
    動悸 1(0.03)
    肝胆道系障害 2(0.07)
    肝機能異常 2(0.07)
    皮膚および皮下組織障害 2(0.07)
    薬疹 1(0.03)
    多汗症 1(0.03)
    一般・全身障害および投与部位の状態 3(0.10)
    異常感 1(0.03)
    倦怠感 1(0.03)
    発熱 2(0.07)
    臨床検査 3(0.10)
    血中クレアチニン増加 1(0.03)
    ヘモグロビン減少 1(0.03)
    血小板数減少 1(0.03)
    赤血球数減少 1(0.03)

    マルホ株式会社社内資料:第5回安全性定期報告時における特定使用成績調査の結果概要

    1. JMDC claims database(https://www.jmdc.co.jp/jmdc-claims-database/
    2. マルホ株式会社社内資料:第5回安全性定期報告時における特定使用成績調査の結果概要

    Discussion

    ■ 渡辺従来の経口抗ヘルペスウイルス薬とアメナリーフの使い分けについて、どのようなご印象をお持ちでしょうか。

    ■ 今福アメナリーフは薬物動態や服用回数などの面で高齢患者に適すると思われますが、年齢に関係なく第一選択薬のひとつとして検討してよいのではないかと思います。

    ■ 参加者現時点で抗ヘルペスウイルス薬に耐性を示すウイルスはどのくらいの頻度で存在するでしょうか。

    ■ 今福免疫抑制患者では他のヘルペスウイルスによる日和見感染の予防として長期に抗ヘルペスウイルス薬を投与することがあり、水痘・帯状疱疹ウイルス(Varicella-zoster virus;VZV)の薬剤耐性株の出現が認められることがあります。このような例を除き、薬剤耐性ウイルスが出現することは極めて稀です。通常の帯状疱疹治療において、抗ヘルペスウイルス薬が奏効せず薬剤耐性ウイルスを疑う例については、別の皮膚疾患を帯状疱疹と誤診している可能性も考えられます。したがって、病理組織診断や抗原検査などで診断を確認する必要があると思います。

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