ヒゼンダニの検出

ヒゼンダニが検出できれば確定診断です。
ヒゼンダニ検出の検査には、顕微鏡検査とダーモスコピー検査があります。
これらによって、ヒゼンダニが確認できれば疥癬の診断が確定します。

ヒゼンダニの検出方法 顕微鏡検査

顕微鏡検査では、注射針でヒゼンダニを取り出したり、メスや眼科用ハサミを用い、角質を採取した後、顕微鏡で観察します。

検体の検出

ヒゼンダニを注射針で取り出す場合、疥癬トンネルの途中から虫体の方に向けて針先を皮膚とほぼ平行に刺入します。そして疥癬トンネルを形成する角質層を少しずつ剥ぎ取り、黒く見える部分をめがけて針先をすすめ、虫体をすくい上げます。
メスで取り出す場合は、疥癬トンネルに直角にメス刃をあてて、数回擦り、角質層をこそぎ取ります。
眼科用ハサミで取り出す場合は、疥癬トンネル、新鮮な丘疹、結節などから眼科用ハサミで切除します。

ヒゼンダニの検出方法(顕微鏡検査)※)

(『疥癬 確定診断 ヒゼンダニの見つけ方』※)より引用)

顕微鏡像

検体をスライドガラスに移し、KOHを滴下し、カバーガラスをのせて光学顕微鏡で観察します(100倍)。KOH法で観察し、ヒゼンダニの虫体、卵、抜け殻が見つかれば診断が確定します。

ヒゼンダニの成虫は、形はほぼ卵形で、前方に顎体部とそれに隣接して2対の前脚があります。胴部の中ほどやや後方に2対の後脚があります。産卵直後の卵は中身が不均一ですが、2日ほど経つと、中に幼虫の姿が透けて見えるようになります。抜け殻はもみ殻状をしています。

(『疥癬 確定診断 ヒゼンダニの見つけ方』※)より引用)

  • 顕微鏡像の写真
  • 顕微鏡像の写真

顕微鏡像の写真

(写真提供:
左:国立療養所多磨全生園 園長 石井則久先生、
右:赤穂市民病院 皮膚科 部長 和田康夫先生)

ヒゼンダニの検出方法 ダーモスコピー検査

最近ではダーモスコピー検査も一般的な手法になっています。使用するダーモスコープには様々なものがありますが、大きさ、重量、倍率、撮影の可否、価格などを考慮し、診療が効率よく行えるものを選択します。

ダーモスコピー検査の後に顕微鏡で観察し、診断を確定して下さい。なお、疥癬に対するダーモスコピー検査の使用は保険算定ができません。

(『疥癬 確定診断 ヒゼンダニの見つけ方』※)より引用)

ダーモスコピー検査では、蛇行した疥癬トンネルの先端部に、ヒゼンダニが白色の胴部と黒い点として見えます。

(『疥癬 確定診断 ヒゼンダニの見つけ方』※)より引用)

ヒゼンダニの外見は・・・

実体顕微鏡で観察するヒゼンダニの胴部は白色円形で、顎体部とそれに隣接する前脚部は黒褐色をしています。これをダーモスコープで見ると、白色円形の胴部に黒褐色調の三角形として見えます。

胴部は見えにくいため、ヒゼンダニを探す時には三角の黒い点に注目して見つけます。
確認しづらい場合には、疥癬トンネルをアルコール綿でひと拭きしてから観察すると黒い点が見えやすくなります。

アルコール綿清拭前

アルコール綿清拭前※)

アルコール綿清拭後

アルコール綿清拭後※)

ヒゼンダニの検出方法(顕微鏡検査)※)

ヒゼンダニの歩行※)

ダーモスコープによる観察

ダーモスコープは光源を有する比較的視野の広いルーペで、直接皮膚を観察し、ヒゼンダニを確認することができます。倍率は10~50倍と幅広く、デジタルカメラなどの機器と接続することも可能です。
ダーモスコープでは、顎体部と前2脚からなる黒褐色の扁平な二等辺三角形に続いて円形の虫体を見ることができます。

疥癬トンネル ダーモスコピー像
(写真提供:赤穂市民病院 皮膚科 和田康夫先生)

(動画提供:赤穂市民病院 皮膚科 和田康夫先生)

ヒゼンダニを検出しやすい場所

検出率が高いのは疥癬トンネルです。一般に顕微鏡検査のヒゼンダニ検出率は10%から70%と幅があります。陰性の場合は複数部位を頻回に検査する必要があります。また、体幹にある丘疹からの検出率は高くありません。疥癬トンネルは圧倒的に手首、手のひら、指間、指の側面に多く、次いで肘、足や足首、陰茎や陰嚢と続きます。これは必ずしも発疹部位とは一致しません。

疥癬トンネルの水尾(みお)を見よう!

水鳥が水面を進めば、その後ろに必ずV字型の水の筋、つまり水尾を引きます(図1)。
ヒゼンダニが角質層下にトンネルを掘り進めて行くと、その後ろにはV字型、つまり水尾型の鱗屑が形成されてきます(水尾徴候、図2)。

水鳥の引く水尾

図1.水鳥の引く水尾
(写真提供:
吉住皮膚科クリニック 吉住順子先生)

図2.疥癬トンネル(線状皮疹の後方に水尾型の鱗屑を伴い、全体としてY字型に見える皮疹)
(写真提供:吉住皮膚科クリニック 吉住順子先生)

その結果、疥癬トンネルは線状皮疹とその後ろの水尾型の鱗屑をあわせた「Y字型皮疹」として観察されることがあります(図3)。Y字型皮疹は、手掌のシワの上に見つかることの多い皮疹です。水尾型の鱗屑は、ヒゼンダニの水平移動と、角質層のターンオーバーによる垂直移動が同時進行するプロセスが反映されたものだと考えられています。
水尾型の鱗屑を矢印にみたてると、矢先がヒゼンダニの居場所を指し示しているように見えます(図3)。
疥癬が疑われる方の手関節、手掌~手指のシワの上にこのようなY字型の皮疹を認めたら水尾型の鱗屑の指し示す方向の線状皮疹の角質層を鏡検し、ヒゼンダニやその虫卵の検出を試みてください。

疥癬トンネルの模式図

図3.疥癬トンネルの模式図
(写真提供:
吉住皮膚科クリニック 吉住順子先生)

(写真提供:東京女子医科大学東医療センター
皮膚科 田中勝先生)

鼎談 疥癬ヒゼンダニの見つけ方

この鼎談では石井則久先生の司会のもと、疥癬診療の達人でいらっしゃる和田康夫先生、そして若手臨床医を代表して四津里英先生に参加いただき、疥癬の歴史やヒゼンダニの生態・見つけ方、疥癬の治療方法などについてお話を伺いました。

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※:マルホ株式会社提供資材『疥癬 確定診断 ヒゼンダニの見つけ方』より引用

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