エムライン®Adeno スペシャルページ
1.製品情報
開発の経緯
アデノウイルス感染症の中で、呼吸器感染症や咽頭結膜熱(プール熱)の臨床症状はA群β溶結連鎖球菌(以下、Strep A)による咽頭炎と咽頭所見に酷似していることから、鑑別診断をせずに抗菌薬を使用すると、抗菌薬の不適切使用に繋がり、ひいては薬剤耐性(以下、Antimicrobial Resistance(AMR))の助長にも繋がることが懸念されています。このように鑑別診断の重要性が提唱されてはいますが、アデノウイルスキット又はStrep A抗原キットで陰性となり、もう一方の検査を行う場合には、少なからず侵襲性を伴う検体採取を再度行う必要があり、患者さんの苦痛や負担が増大することが課題でした。
これらの状況を受けて、マルホ株式会社は、Streo A抗原キット「エムライン®Strep A」と検体抽出液が共通のアデノウイルスキット「エムライン®Adeno」を開発しました。「エムライン®Adeno」は「エムライン®Strep A」と検体抽出液を共通化することにより、1回の検体採取だけでアデノウイルスとStrep Aの両方を連続して検査・判定することが可能となり(咽頭ぬぐい液を試料とした場合)、抗菌薬の使用における適正な治療選択の判断に資するとともに、検体採取に伴う患者さんの苦痛軽減も期待できます。
なお、アデノウイルスによる咽頭結膜熱(プール熱)は、感染症法で5類感染症(小児科定点把握疾患)に定められているほか1)、学校保健安全法で第二種感染症にも指定されています。小児が罹患しやすい本疾患の早期(確定)診断は、感染拡大防止や患者さんの適切な管理・指導に繋がり、健全なる学校教育を行うためにも重要です。
- 1)国立感染症研究所編:咽頭結膜熱・流行性角結膜炎 検査マニュアル(第3版),2017
特徴
- 1.試料(咽頭ぬぐい液)は、A群ベータ溶結連鎖球菌抗原キット「エムライン®Strep A」との相互使用が可能
- エムライン®2製品(エムライン®Adeno及びエムライン®Strep A)は検体抽出液が共通のため、1回の検体採取でアデノウイルス及びA群ベータ溶結連鎖球菌抗原の検査・判定ができ、検体採取に伴う患者さんの苦痛軽減と、医療従事者の操作軽減が期待できます。
- 2.簡便な操作、1ステップで検体の抽出が可能です
- 検体抽出を1試薬1ステップ化することにより、操作性の向上と、試薬調製時の操作ミスの低減が期待できることから、検査時間が短縮され、医療従事者の操作軽減が期待できます。
- 3.咽頭ぬぐい液からアデノウイルス抗原を検出
- 咽頭ぬぐい液を検体として、アデノウイルス抗原を検出できる検査キットです。
急性咽頭炎などを呈する患者さんの鑑別診断に貢献します。なお、角結膜擦過物は適用検体ではありません。 - 4.咽頭ぬぐい液では全体一致率99%超の精度で、アデノウイルス抗原を検出します2)
- 咽頭ぬぐい液を検体とした既承認品2製品との全体一致率はそれぞれ99.2%(121例/122例)、99.4%(195例/196例)を示しました。
- 2)マルホ株式会社社内資料:性能に関する資料 4.既存体外診断用医薬品との相関性に関する資料(体外診断用医薬品製造販売承認申請書資料添付)
ドラッグインフォメーション
■ 全般的な注意
- 本製品は、体外診断用医薬品であり、それ以外の目的に使用しないでください。
- 本製品の陰性結果は必ずしもアデノウイルス感染を否定するものではありません。
- 診断は本検査結果のみで行わず、他の関連する検査結果や臨床症状等を考慮して総合的に判断してください。
- 添付文書に記載している以外の使用については保証致しません。
■ 形状・構造等(キットの構成)
- テストカートリッジ
・金コロイド標識抗アデノウイルスモノクローナル抗体(マウス)
・抗アデノウイルスモノクローナル抗体(マウス) - 検体抽出液
・緩衝剤他 - 付属品
・滅菌綿棒 ニプロスポンジスワブ TYPE L
・ノズル(フィルター付き)
■ 使用目的
咽頭ぬぐい液中のアデノウイルス抗原の検出(アデノウイルス感染の診断の補助)