ホーム

薬剤師のための情報 maruho square

薬剤師がグングン楽しくなる医療コミュニケーション講座

「かかりつけ薬剤師」積極的にやりますか?

帝京平成大学薬学部教授 博士(薬学) 井手口 直子 先生

薬局が地域に密着した健康情報拠点に「健康サポート薬局」誕生の経緯

平成25年6月14日に閣議決定された「日本再興戦略」(https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/saikou_jpn.pdf)において、予防・健康管理の推進に関する新たな仕組みづくりとして『薬局を地域に密着した健康情報の拠点として、一般用医薬品等の適正な使用に関する助言や健康に関する相談、情報提供を行う等、セルフメディケーションの推進のために薬局・薬剤師の活用を促進する』という一文が発表されました。これは国が薬局を地域の健康ステーションとして最初に位置づけた、極めて重要な決定です。
平成28年10月には、都道府県知事等に届出を行うことにより「健康サポート薬局」の表示ができる制度がスタートしました。健康サポート薬局は『かかりつけ薬剤師・薬局の基本的な機能に加え、国民による主体的な健康の保持増進を積極的に支援する以下の機能を備えた薬局』と規定されています。表1に示すように、その機能は多岐にわたります。

表1. 健康サポート薬局の機能
  • 「かかりつけ薬剤師」機能

  • 適切な受診勧奨

  • 連携機関の紹介(地域包括支援センター、居宅支援介護支援事業所及び訪問看護ステーション、健康診断や保健指導の実施機関、健康センター等の行政機関、介護予防・日常生活支援総合事業等)

  • 要指導医薬品、一般用医薬品、介護用品及び衛生材料等の供給

  • 地域住民への健康維持増進その他のための健康講座についての定期実施を行う

かかりつけ薬剤師の機能

かかりつけ薬剤師となるには、薬局勤務経験3年以上、研修認定薬剤師を取得しているなどの要件を満たしている必要があります。そのうえで患者さんの同意を経て、その方が服用する処方薬、一般薬、健康食品などを一元管理して服用状況、副作用や飲み合わせなど安全性のチェックを行い、24時間の対応でさまざまな情報提供、相談を応需することになります。しかし、資格要件を満たしていても「かかりつけ薬剤師としての算定はなかなか増えない」というケースを耳にします。どこに問題があるのでしょう?

「かかりつけ薬剤師」は積極的になれない一方で、患者さんは「かかりつけ薬剤師制度」に肯定的

かかりつけ薬剤師として患者さんに同意をお願いできない薬剤師に話を聴くと、「同じ服薬指導なのに患者さんの負担金が増えると思うと、申し訳ない」「そんなに立派なことをしているわけではないので、自信がない」「かかりつけ薬剤師として契約すると、24時間の対応が必要になり、負担を感じる」「自分がいない時の対応も不安」といった言葉が出てきます。
しかし、筆者がこの制度施行前に行った調査では、患者さんの約半数はかかりつけ薬剤師の存在を「必要」「いるとよい」と考えており、「必要ない」との回答は10数パーセントにとどまりました。また、患者さんはかかりつけ薬剤師に対して十分な経験年数と研修経験を求めていることがわかっています。つまり、患者さんは潜在的にかかりつけ薬剤師を求めているということです。

かかりつけ薬剤師としてのコミュニケーションのポイントは?

それでは、患者さんが満足し、薬剤師も自信が持てるようなかかりつけ薬剤師のコミュニケーションのポイントは何でしょうか? まず、どのような方にお声がけをするかを考えてみましょう。
表2に示すような患者さんには、積極的にお声がけすることが必要ですね。「これからも、今まで以上にしっかりと関わらせていただきたい」ということをお話しすると良いでしょう。ただし、あまり無理強いをすると後のクレームにつながるおそれがあるので、迷っている方には時間をおいて再度のお声がけをするようにしましょう。

表2. かかりつけ薬剤師が積極的に関わりたい患者さんとは?
  • 日頃から薬剤師に質問や相談をしてきたり、服薬状況などについて話してくれたりするような、薬や健康への関心が高い患者さん

  • 特に自分が問題解決やケアに関わっている患者さん

  • 長く通院しており、今後は薬剤師が在宅療養にも関わることが予想される患者さん

  • 在宅療養中であり、薬剤師がすでに訪問している患者さん

  • 服薬状況がわかりにくく、今後しっかりとアドヒアランスを上げることが必要とみられる患者さん

次に、かかりつけ薬剤師制度に関する悩みの具体例と解決のためのアイデアをご紹介します。

制度そのものの認知度が低く、説明しづらい

解決策制度を知ってもらう取り組みが必要ですね。これについては後述します。

負担金の話をすると「それならいいです」と言われてしまう

解決策こちらが自信のない態度でいると、患者さんの迷いにつながります。負担金を超えるメリットを理解していただけるようにお話ししましょう。

自分が不在の時に他のスタッフが対応することになり、患者さんに申し訳ない

解決策対応してくれたスタッフから話を聴いて、必要であれば患者さんにお電話しましょう。お電話するほどではない場合にも、次回必ず「前回は不在にしており、申し訳ございません。(私の不在時に対応させていただいた)○○からはこのように聞いております」と不在時の対応もしっかり把握して判断していることを示しましょう。

かかりつけの患者さんと長く話していると、他の患者さんからクレームがくる

解決策話が長引きそうなときは、相談コーナーや待合室へ移動するなどの工夫が必要です。それでも混雑が進んで他の患者さんの対応が必要になったときには「少し混みあってきましたので、後でお電話いたします」と伝えましょう。「○時以降なら、もっとゆっくりお話しできるのですが、ご都合はいかがですか?」と持ちかけてもよいでしょう。かかりつけの患者さんのお話は何としても聴こう、という姿勢を見せることが差別化になります。

かかりつけ薬剤師制度の効果的なPRをしましょう!

かかりつけ薬剤師制度を多くの方に知っていただくために、薬局の待合室など目立つ場所にポスターを貼ったり、チラシを用意したりして説明することも大切です。また、次のような工夫も可能です

  • 薬剤師をはじめ、スタッフの写真とプロフィールを待合室に掲示する

  • かかりつけ薬剤師ができることを視覚に訴えるもの(例:薬剤師による残薬管理のビフォー・アフターの写真など)を用いる

  • 健康講座などを開催し、かかりつけ薬剤師について説明する

「かかりつけ薬剤師」への相談に、処方箋はいらない!

健康サポート薬局は、地域の生活者の未病予防から関わることが期待されます。つまり薬局は、処方箋を持たずとも普段から様々な目的で気軽に出入りする場所であるのが本来の姿です。サプリメントや栄養相談についての相談に来られた方に、かかりつけ薬剤師のお話をして同意をいただいても、もちろんよいのです。のちにその方が医療機関を受診されることになった場合、かかりつけ薬剤師が多くの情報を一元管理していますので、それを活かしたケアや他職との情報共有が可能となります。「かかりつけ薬剤師」は処方の算定だけの世界ではないのです。

大切なのはリーダーシップとネットワーキング!

「私がこの患者さんをしっかりみて、責任をもって情報を一元管理し、適切な薬物療法のサポートをする! そのためには患者さんの話をしっかりと聴き、必要時にはご家族や医師、看護師、介護職とも話し合う」というリーダーシップと、「薬以外のことでも患者さんの健康維持に関わり、自身が詳しくない情報であれば他の機関を紹介する」というネットワーキング力、この2つがとても重要です。「この薬剤師さんで良かった」と患者さんやご家族に思っていただけるかかりつけ薬剤師を目指しましょう!

ページトップへ
ページトップへ
  • 製品に関するお問い合わせ
  • 0120-122834

    フリーダイヤルがご利用いただけない場合06-6371-8898

    ※9時30分~17時30分(土日祝日及び当社休業日を除く)

  • インターネットはこちらから

    お問い合わせ