褥瘡の予防(ケア)
スキンケア
浸軟

過剰な湿潤環境は皮膚の浸軟(角層がふやけて白く見える)をまねき、角層のバリア機能や組織耐久性を低下させます。
その結果、びらんや感染が生じやすくなります。
●浸軟の原因と影響
皮膚湿潤は、多量の発汗、失禁によるおむつ内の高温多湿状態などが原因として挙げられます。多汗は衣類の過剰な重ね着のほか、感染症など発熱性の疾患が考えられるので、全身状態を把握しておくことが大切です。その他、体圧分散用具の使用により蒸れが生じる場合もあります。
皮膚の湿潤は、接触しているものと密着しやすくなるため摩擦やずれが起こりやすくなる、頻回の清拭による機械的刺激が皮膚の乾燥をまねくといったような悪影響を及ぼします。
●浸軟の観察ポイント
- おむつ使用の有無および使用方法
不要な重ね付けをしていませんか、不適切な吸水量のパッドを使用していませんか。 - 発熱・発汗の有無
- 失禁の有無
- 皮膚の湿り方(程度)
特に皮膚同士が接触している部分(鼠径部・殿裂部など)は湿りやすいため、接触面を伸展させてよく観察します。
●浸軟のケア
- 適切な寝具などの選択
マットレス、シーツなどは吸水性・放熱性の高い素材を選びます。 - 発汗時の対処
- 速やかに汗を拭きとり、皮膚が完全に乾燥したことを確認してから撥水対策を行います。
- 発汗の度に清拭を行うと体力消耗につながることがあるため、下着の交換回数を多くします。吸水性・速乾性に優れた下着を利用するのもよいでしょう。
- 汗取り用タオルを下着の中に入れて、こまめに交換するとよいでしょう。
- 電気毛布などの保温用品を使用している場合、温度設定に注意し、発汗を促進しないようにします。