褥瘡の予防(ケア)
スキンケア
浮腫
浮腫を伴う皮膚は損傷を受けやすいため、慎重なケアが必要です。また、皮膚乾燥を伴っていると、そう痒感・掻破の悪循環に陥りがちなので、乾燥の予防に努めましょう。
●浮腫の原因
浮腫は全身性浮腫と局所性浮腫に分けることができ、それぞれに原因となる基礎疾患が異なります。全身性ではうっ血性心不全、肝および腎機能障害、甲状腺機能低下症などの内分泌障害などで、局所性では静脈還流不全などが挙げられます。
これらの疾患を有する患者では浮腫の発生が褥瘡の発生につながらないよう、まず予防することが肝心です。
●浮腫の評価(アセスメント)
浮腫の有無は、下腿前面、足背、背部(褥瘡がある場合はそれ以外の部位)を指で押し、圧痕が残るか否かで判定します。
浮腫が生じていると判定された場合、浮腫発生の原因のアセスメントも同時に行い、改善を図ります。
浮腫の判定方法
日本褥瘡学会編集:在宅褥瘡予防・治療ガイドブック:70, 2015
●浮腫発生時のケア
- 皮膚の清潔
- 弱酸性の皮膚洗浄剤をよく泡立て、泡で包み込むようにして汚れを浮き上がらせます。皮膚を強く擦らないよう注意しながら、洗浄剤を除去します。
- 清拭の場合は、アルコール類を含まない用品を使用します。
- 入浴(シャワー浴)する場合は、熱い湯は避けてください。
- 乾燥予防
保清後はなるべく早く(できれば10分以内に)保湿剤を塗布します。塗布量は、皮膚がてかる程度を目安にするとよいでしょう。 - 外傷防止
- 皮膚の露出を最小限にするため、ゆるめのストッキングや足カバーなどを活用します。また、医療用粘着テープ固定による皮膚の緊張や衣類のゴムのくい込みによる外傷に注意しましょう。
- 体位変換時に物を巻き込んだり、下敷きにして皮膚損傷を起こすおそれがあるため、ベッド上の環境はいつも整えておきましょう。
- ベッドの柵はカバーなどで覆い、接触による外傷をつくらないようにしましょう。
ベッド柵の外傷防止策
日本褥瘡学会編集:在宅褥瘡予防・治療ガイドブック:71, 2015