皮脂欠乏症の主な原因:アトピー性皮膚炎

監修:東京女子医科大学 名誉教授 川島 眞 先生

ガイドライン情報

日本皮膚科学会発行「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2016年版」、日本アレルギー学会発行「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2015」において、保湿剤の塗布が推奨されています。

日本皮膚科学会発行「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2016年版」

CQ9.アトピー性皮膚炎の治療に保湿剤外用は勧められるか。

推奨文

皮膚炎の症状のある状態に対しては、ステロイド外用薬と併用して保湿剤を外用することが勧められ、皮膚炎の症状がない状態でも保湿剤を継続的に外用することが勧められる。

推奨度 1 エビデンス
レベル
A
解説

皮膚の乾燥はアトピー性皮膚炎の主症状の一つであり、表皮のバリア機能の破綻の原因の一つである。保湿剤の外用が、乾燥症状の軽減とバリア機能の改善に効果的であることは、多くの基礎研究や臨床研究によって示されている1-10)。特に、治療によって皮膚炎が寛解した後に保湿剤の外用を継続することは、皮膚炎の再燃を予防し、かゆみも軽減した状態が保たれる11,12)。皮膚炎症状に対しては、保湿剤単独の使用のみではあまり効果が期待できないが、ステロイド外用薬と併用することで、乾燥症状やかゆみが改善するのみならず、皮膚炎症状が軽快した後の寛解状態の維持にも効果的に影響する13)。また、ステロイド外用薬に保湿外用薬を併用することでステロイド外用薬の使用量を減少させる可能性がある14)。ただし、保湿剤による接触皮膚炎などの有害事象が起こりうることにも注意しなくてはならない。

日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎診療ガイドライン作成委員会:アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2016年版,日皮会誌, 126(2), 121-155, 2016
©公益社団法人日本皮膚科学会 より引用

  • 1) Wilhelm KP et al.: Aktuel Dermatol, 24(1-2), 26-30, 1998
  • 2) Loden M et al.: Skin Res Technol, 7(4), 209-213, 2001
  • 3) Loden M et al.: Acta Derm Venereol, 82(1), 45-47, 2002
  • 4) 川島 眞 ら: 日皮会誌, 117(6), 969-977, 2007
  • 5) 濱田 学 ら: 西日皮膚, 70(2), 213-218, 2008
  • 6) 松中 浩 ら: 皮膚の科学, 3(1), 73-83, 2004
  • 7) 柴垣 直孝 ら: 西日皮膚, 67(2), 152-159, 2005
  • 8) 水谷 仁 ら: 西日皮膚, 63(4), 457-461, 2001
  • 9) 秦 まき ら: 西日皮膚, 64(5), 606-611, 2002
  • 10) 中村 哲史 ら: 西日皮膚, 61(5), 671-681, 1999
  • 11) Wirén K et al.: J Eur Acad Dermatol Venereol, 23(11), 1267-1272, 2009
  • 12) 川島 眞 ら: 日皮会誌, 117(7), 1139-1145, 2007
  • 13) Szczepanowska J et al.: Pediatr Allergy Immunol, 19(7), 614-618, 2008
  • 14) Grimalt R et al.:Study Investigators’Group: Dermatology, 214(1), 61-67, 2007

日本アレルギー学会発行「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2015」

ドライスキンに対するスキンケア

ドライスキンに対するスキンケアの要点は、低下している皮膚の保湿性を補うために保湿性の高い親水性軟膏や吸水性軟膏を外用することである。保湿性の高い親水性軟膏や吸水性軟膏としては、表の「保湿・保護を目的とした主なスキンケア外用薬」のごとく、尿素製剤、ヘパリン類似物質含有製剤などがある。抗炎症作用がないので、炎症を伴う例ではステロイド外用薬などを併用する。刺激感のある場合はワセリンの上から重ね塗りをする方法もあるが、軽度であれば単独使用で効果がある。亀裂部は刺激となることがあるので、亀裂病変を改善させてから使用する。ヘパリン類似物質含有軟膏やその他の保湿剤はいずれも高い水分保持能を持ち、刺激性が低く亀裂があっても使用できる利点がある。またヘパリン類似物質は水分保持能が高く、環境の湿度の影響を比較的受けにくい点が優れているといわれている。尿素軟膏やヘパリン類似物質であるヒルドイド®のような親水性軟膏製剤(oil in water:O/W)におけるさらさら感や刺激性を緩和するために、パスタロン®ソフトやヒルドイド®ソフトのような吸水性軟膏製剤(water in oil:W/O)が使用されている。

一般社団法人日本アレルギー学会アトピー性皮膚炎ガイドライン専門部会:アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2015. 東京, 協和企画, 2015 より引用

表:保湿・保護を目的とした主なスキンケア外用薬(医薬部外品も含む)

1)皮表の保湿を主としたもの

一般名 代表的な製品名
ヘパリン類似物質
含有製剤
ヒルドイド®クリーム0.3%
ヒルドイド®ソフト軟膏0.3%※※
ヒルドイド®ローション0.3%
尿素製剤 ケラチナミンコーワクリーム20%
パスタロン®ソフト軟膏10%※※
パスタロン®ソフト軟膏20%※※
パスタロン®クリーム10%
パスタロン®クリーム20%
パスタロン®ローション10%
ウレパール®クリーム10%
ウレパール®ローション10%

2)皮表の保護を主としたもの

一般名 代表的な製品名
白色ワセリン 局方白色ワセリン
サンホワイト®(精製ワセリン)
プロペト®(精製ワセリン)
亜鉛華軟膏 サトウザルベ軟膏
(亜鉛華単軟膏10%、20%)
ボチシート
(リント布に10%亜鉛華軟膏塗布)
その他 アズノール®軟膏0.033%※※※
(ジメチルイソプロピルアズレン軟膏)

:基剤はバニッシングクリーム型親水軟膏(O/W)、※※:基剤はコールドクリーム型吸水軟膏(W/O)、※※※:基剤は精製ラノリン・白色ワセリン含有

一般社団法人日本アレルギー学会アトピー性皮膚炎ガイドライン専門部会:アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2015. 東京, 協和企画, 2015 より一部改変

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