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褥瘡発生後の圧迫・ずれの排除


    総監修:
    • 群馬大学 名誉教授 石川 治 先生
    監修:
    • 医療法人社団廣仁会 札幌皮膚科クリニック 安部 正敏 先生
    • 訪問看護ステーション 有限会社きらくな家 代表 中里 貴江 先生

    圧迫・ずれの評価(アセスメント)

    褥瘡は発生要因が排除されなければ、たとえ適切な局所治療を行っても改善しません。要因の1つである外力についても、発生に関与したのが圧迫なのかずれなのか、あるいは双方の関与なのかをアセスメントし、排除に努めることが創部の悪化防止と治癒促進につながります。

    褥瘡が発生していない部分の圧迫・ずれの排除についてはこちら: 体圧分散ケア

    圧力のコントロール

    1. 圧力の管理
      褥瘡発生後の圧力のコントロールは、日常生活動作に適した体圧分散用具を使用して除圧・分散を図ります。できれば体圧測定器を用いて体圧を測定し、測定値に基づいた用具選択をします。また、用具による局所圧迫が起こっていないか注意します。
      体圧の測定

      簡易体圧測定器を用いて体圧値を測定し、適切な用具選択や、エアマットの圧調整を行う。褥瘡部位の体圧値は40mmHg以下を目安とする。

      記事/インライン画像
      体圧の測定
      局所圧迫の確認

      体位変換を行うほか、ポジショニング用具による局所圧迫が起きていないか、手を当てて確認する。

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      局所圧迫の確認
    2. 皮膚のたるみのケア
      殿筋の萎縮などで皮膚にたるみがあると、30度または90度側臥位では創周囲がたるむことによって創が変形します。その場合は、腹臥位やシムス位(下図参照)をとると創部の変形を防ぐことができます。
      体位の工夫
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      体位の工夫

      日本褥瘡学会編集:在宅褥瘡予防・治療ガイドブック-第3版:122, 2015より一部改変

      シムス位

      半腹臥位で上になった方の足を軽く曲げ、前に出して寝る姿勢のこと。

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      シムス位

      腹臥位やシムス位がとれないときは、テープを使用してたるみを補正します。ただし、テープによる皮膚損傷が起きないよう、貼付前に皮膚被膜剤を塗布するなどの工夫をします。

      テープの使用
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      テープの使用

      宮地良樹, 溝上祐子編集:褥瘡治療・ケアトータルガイド:177, 2009

    3. 踵部のケア

      下腿部に座布団やクッションなどを当て、踵部を浮かせて除圧します。

      虚血肢の挙上は、高すぎると踵部の血流を更に低下させるため、床面からわずかに浮いている程度でよいでしょう。

      なお、円坐を使用してはいけません。円坐に接触する皮膚に圧迫と引張(ひっぱり)力が加わり阻血(そけつ)状態を起こします。

      踵部の除圧方法
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      写真:踵部の除圧方法

      マルホ(株)小冊子:褥瘡ケアを知ろう:11, 2022

    4. その他
      創部のガーゼ、ドレッシング材やおむつなどにより圧迫されている場合もありますので、ガーゼやドレッシング材を当てるときは重ね付けしないようにします。滲出液が多い褥瘡には、吸水性の高いドレッシング材やパッドを選択し、厚みを減らすようにします。

    ずれ力のコントロール

    1. 不整形・ポケット保有の褥瘡のケア
      尾骨部の褥瘡、不整形またはポケット保有の褥瘡は、ヘッドアップ時のずれ力が関与している場合が多いため、ずれ力を評価(アセスメント)した上で、個々の患者の状態に即したポジショニングを行います。ヘッドアップは原則として30度までに留めます。ヘッドアップ時と仰臥位に戻したときは背抜きを実施し、背部や殿部に生じるずれ力を解消します。
      不整形な褥瘡へのケア

      麻痺がある右側にずれ力が生じていたことがアセスメントされた。麻痺側にクッションを置いて、体勢がくずれないようにする。

      記事/インライン画像
      写真:不整形な褥瘡へのケア

      宮地良樹, 溝上祐子編集:褥瘡治療・ケアトータルガイド:178, 2009

      ポケット保有褥瘡へのケア

      ヘッドアップ時に下方へずれ力が生じていたことがアセスメントされたため、膝関節にクッションを置いて屈曲させてからヘッドアップし、側臥位にする。

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      写真:ポケット保有褥瘡へのケア

      宮地良樹, 溝上祐子編集:褥瘡治療・ケアトータルガイド:178, 2009

      ドレッシング材の形から見る身体のずれ

      ドレッシング材の状態でずれ力をアセスメントし、ポジショニングの評価を行います。

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      写真:ドレッシング材のずれ

      ドレッシング材のずれの形で、ヘッドアップ時にずれが生じたことがアセスメントされる例。

      宮地良樹, 溝上祐子編集:褥瘡治療・ケアトータルガイド:179, 2009

    2. 坐位時のケア

      尾骨部や坐骨部に褥瘡がある場合は、90度ルールに従うほか、坐位用の厚めのクッションを使用して除圧・体圧分散を図ります。

      同じ姿勢で長時間の坐位をとることを避け、定期的な(60分以内)除圧動作や、臥位になる時間を組み込みます。

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