薬局経営者に聞く:未病・予防含む総合ヘルスケアビジネス構築へ(2/4)
在宅支援センターでISO9001取得し安全性を担保
- ─貴社は設立してから40年以上が経過し、保険調剤事業を中心に多くの事業を展開するようになりました。現在、最も注力している事業についてお聞かせください。
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【三津原】1980年3月設立ですから、2024年で44年目です。この間、調剤から医薬品製造業まで業務範囲は幅広くなりましたが、やはり創業事業である調剤に最も力を注いでいます。電子処方箋に対する取り組みに表れているように、そもそも新しいことにチャレンジすることが好きな社風であり、私自身もそうなのですが、挑戦こそが企業の存在価値と考えてきた伝統があります。従って、保険調剤事業を一貫して取り組んできたと言っても、その中身はかなり変遷してきています。電子処方箋やマイナ保険証など医療DXへの対応に止まらず、例えば在宅支援センターで国際認証規格ISO9001を取得しているのも、他社さんでは余り見受けられない取り組みだと思います。2023年12月現在、27施設ある在宅支援センターのうち26施設で取得しています。
言うまでもありませんが、ISO9001は製品・サービスを継続的に提供するための仕組みを管理する品質マネジメントシステムです。そのため、これを取得した薬局では、より高度な安全性と正確性を担保できるようになります。言い換えれば、国が期待する調剤事業の姿に、日本調剤なりの“味付け”を加えているわけです。ここが弊社の得意なところで、ある意味では、この“味付け”が事業の深掘りになる。この深掘りは今後も絶えることなく継続していくつもりです。

- ─薬局の品質向上について触れられましたが、薬剤師の資質の向上については、どのように取り組まれていますか。
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【三津原】現在、がんを中心として専門性の高い薬剤師を養成しています。給与だけではなく、さまざまなインセンティブを用意しています。ただ何よりも重要なのは、自らの資質を高めていこうとする意識です。新卒薬剤師の採用時点から、弊社は専門性の高い薬剤師集団であることをアピールしていますので、専門志向の強い人材が集まっていると受け止めています。その上で、そうした意識を育て、それを維持・継続していくためには周囲の支えが不可欠です。また、専門薬剤師等の認定取得は一人で黙々と勉強すれば取れるものではありません。環境が大事なのです。その点、弊社には多くの専門薬剤師等がおりますので、それだけでも弊社の強みです。例えば、先輩から認定までの成功談や体験談を聞くことができますし、現場で指導を受けることもできます。また、勉強会も数多く開かれていますので、支える環境は万全に整えています。実際に日本臨床腫瘍薬学会(JASPO)の「外来がん治療専門薬剤師(暫定認定含む)」の薬局所属薬剤師の26%強が弊社の薬剤師です。
