薬局経営者に聞く:本部長の半数以上が女性、今後、女性管理職を5割に(4/4)
ドローン配送の実証実験を広島・愛媛県で実施
- ─ICTへの取り組みについても、貴社は積極的に取り組んできました。
【柄澤】2020年に「DX・AI推進室」をクオールホールディングスに新設し、電子処方箋やオンライン服薬指導などの準備に当たってきました。更に、SNSによるサービス提供など、薬局の利便性を高めてきました。併せて、医療アクセスが必ずしも容易でない地域に対するサービス提供、あるいは災害時における医薬品等の供給においては、ICTやドローンをもっと活用していく必要があると考え、取り組みを始めています。
実際にクオールホールディングスでは2022年に2回、医薬品のドローン配送の実証実験を実施しました。2月に広島県江田島市で、3月には国家戦略特区である愛媛県今治市で行いました。江田島市は、「平成30年7月豪雨」で甚大な被害を受けました。市内在住の90歳の女性が普段通う医療機関への道が土砂崩れで寸断され、1時間以上かけて通院していることを耳にした弊社の薬剤師が、オンライン診療とオンライン服薬指導を組み合わせ、更に医薬品物流のラストワンマイルをドローンで配送できないかと考え、今回の実験に結び付きました。ドローンは海上を約8㎞飛行し、患者さんのご自宅近くに着陸し、薬剤師が医薬品を確認した上でご自宅に届けました。また、今治市のケースは、周辺の海流がとても速いことで知られている来島に、本土から医薬品を配送する実験でした。
今後、ICTやドローンを積極的に使用していくことで、不便さをより便利にしていくことは、薬局の役割としては大変に重要なことだと受け止めています。このような取り組みをさらに発展させていくことも今後の薬局に求められていると考えています


座右名は「熱い心と、冷たい頭を持て」
- ─お忙しいでしょうから、なかなか休日を取ることは難しいかもしれませんが、どのように休日をお過ごしですか。
-
【柄澤】しっかり、休みは取るようにしています。ただ、自社の薬局を回るのが大好きで、土曜日にはスニーカーを履いてTシャツ姿で訪問しています。実際に現場に行くことで、本社にいては分からないことを知ることができますので、手土産のお菓子を持ってフラッと回っています。薬剤師に限らず医療事務、あるいは管理栄養士が医療の質を高めようと一生懸命に取り組んでいる姿を見るのは気持ちが良いものですし、「自分も頑張らなくちゃ」と励ましにも繋がっています。ですから、休日に訪問することは全く苦ではありませんし、仕事とも思っていません。

- ─趣味をお聞きしても宜しいですか。
-
【柄澤】趣味らしい趣味はないのですが、狭いベランダでバラを育てています。とても手間が掛かると思っていらっしゃる方が少なくないのですが、実は、そうでもないのです。私のような無精な者でも、17種類のバラを育てられるのですから、それほど手は掛かりません。と言いますか、手を掛けなくとも育ちますし、花を付けてくれます。やはり、花が開くと嬉しいですから、私の一つの癒しになっています。
- ─ご自身で大切にしている言葉がございますか。
-
【柄澤】日本人として、また女性として初めて国連難民高等弁務官を務められた緒方貞子さんを尊敬しておりまして、緒方さんの「熱い心と、冷たい頭を持て」という文言を忘れないようにしています。どちらかというと、私はすぐに頭も熱くなってしまうほうなので、緒方さんの言葉を自分への戒めとしています。
企業情報
名称 | クオール株式会社 |
---|---|
設⽴ | 2017年10月31日 |
代表者 | 代表取締役社長 柄澤 忍 |
資本⾦ | 300百万円 |
売上⾼(連結) | 1,661億円(2022年3月期) |
従業員数(連結) | 正社員5,620名 臨時雇用者2,109名(2022年3月31日現在) |
本社 | 〒105-8452 東京都港区虎ノ門4-3-1 城山トラストタワー37階 MAP |