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薬局経営者に聞く:調剤事業を中核とした「総合医療産業」創造へ 電子処方箋、オンライン服薬指導、リフィル処方箋の導入で 患者の流れが激変する(3/4)


厳しい環境の薬局でも今は撤退の時期ではない

社長会では、具体的にどのようなことをお伝えしているのですか。

【岩崎】例えば、今後の業界環境などについて、私の見立てをお伝えすることがあります。われわれのグループだけに限らず、本部としては撤退したい薬局はどの薬局チェーンでもあるはずです。1日の応需処方箋が20枚に届かず、薬剤師一人と事務職一人で運営しているような薬局です。こういう薬局があったとしたら、やはり撤退したいと考えるのは経営者としては当然です。しかし、地域にはこの薬局しかなく、もし撤退したら患者さんが困ることが目に見えているので撤退できない。しかも、一人薬剤師ですから、薬剤師の気持ちの負担も大きい。私は社長会で、こうした薬局の薬剤師には社長自ら感謝の気持ちを伝えてほしいと言っていますし、一人薬剤師が働きやすい環境を整えるよう要請しています。
更に、こうした厳しい環境の薬局でも、「今は撤退の時期ではない」と、私の読みを伝えています。というのも、電子処方箋とオンライン服薬指導、リフィル処方箋の普及によって、リアル店舗の価値が今後、どのように変化するか分からないからです。場合によっては、こうしたワンオペレーションの薬局が、息を吹き返す可能性だってあり得るわけです。

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I&H株式会社 代表取締役社長 岩崎 裕昭 氏

コロナ禍前まで薬局は天狗になっていた

今、業界の将来展望について言及されましたが、調剤市場に変化を加える変数は、電子処方箋とオンライン服薬指導、リフィル処方箋のほかにありますでしょうか。

【岩崎】調剤薬局の視点に立てば、最も大きな脅威はドラッグストアの調剤併設でしょうね。調剤機能のあるドラッグストアは国民が支持しているわけですから、薬局がどのように対峙していくかが大きなテーマになっていると思っています。従来のように、門前型やマンツーマン型の薬局では対抗できないと思っています。電子処方箋やオンライン服薬指導、リフィル処方箋が広がっていくことで、住宅街にあるドラッグストアに処方箋が奪われる可能性があります。もちろん、ドラッグストアを買収するという対抗手段もないわけではありませんが、莫大なコストが必要ですので安易な判断はできないと思っています。

在宅医療が対抗策になり得ませんか。

【岩崎】おっしゃる通りです。私どもでは、在宅医療の専門部隊を作っています。薬剤師と事務職員、ドライバーで1チームを構成し、薬剤師が複数店舗に登録しています。各薬局が在宅向けの調剤業務まで担当し、配薬と服薬指導はチームが行うようにしています。医師との情報交換や施設との連絡も、このチームが行っています。この手法が結構うまく回っていまして、現在、ニーズが急増しています。

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社長として最も大切にしていることは、どのようなことでしょうか。

【岩崎】それは、先代社長が最も大切にしていた「医師との関係」ですね。それは引き継いでいかなければならないと考えています。そのことは事業会社のトップにも重ねて伝えています。お得意様であるドクターを訪問し、意思疎通を図り信頼関係を作るように求めています。 同時に、今回のコロナ禍で来局される患者さんが減少したことで、患者さんに来ていただく有難さを痛感しましたので、患者さんを大切にしてほしいと、事業会社の社長には口を酸っぱくして言っています。ちょうど、私が社長に就いた直後でしたので、どこまで患者さんが減るのか、恐怖感すら覚えました。言い換えれば、コロナ禍前までは、「患者さんは来るのが当たり前」と、薬局は天狗になっていた感があります。患者さんが減って初めて、こんなに辛い事態になることを知りましたので、薬局の原点に立ち返り、患者さん一人一人を大切にしていきたいと思っています。

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