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薬局経営者に聞く:調剤事業を中核とした「総合医療産業」創造へ 電子処方箋、オンライン服薬指導、リフィル処方箋の導入で 患者の流れが激変する(2/4)


被買収企業の文化を尊重し穏やかなグループ運営

持株会社制にされてから10年ほどが経ちますか。

【岩崎】阪神調剤ホールディングを設立したのが2012年です。今から10年前ですね。持株会社が時代の流れになっていまして、実際に事業を行っている阪神調剤薬局を生かしたまま、阪神調剤ホールディングを設立しましたので、社員もいない器だけの会社でした。そのため、設立直後に所属していたのは、私ぐらいだったかもしれません。その頃の子会社の数は1社か2社ぐらいしかなかったと記憶していますが、持株会社が時代の流れでしたから、今後はM&Aのスピードが速まるだろうと考えていました。M&Aを行うのには、やはりホールディングのほうがしやすい。事業を手掛けている阪神調剤薬局が直接M&Aを行いますと、従業員の賃金等の条件を阪神調剤薬局の水準に合わせなければなりませんが、持株会社がM&Aを行いますと、その必要がなくなります。そのため阪神調剤ホールディングがM&Aを積極的に行っていきましたが、難しい問題にもぶつかりました。M&Aが進み、次第に事業会社が増えていっても、役員はじめ従業員の多くが阪神調剤薬局で育ってきていたため、全ての事業会社が横一線に並ばないのです。どうしても阪神調剤薬局が一番になってしまう。この土壌を変えていくことにかなりエネルギーを費やしました。具体的には、阪神調剤薬局以外の事業会社の優秀なスタッフを、持株会社に意識的に抜擢してきました。今、思い返しますと、阪神調剤薬局の幹部には申し訳ないことをしたかもしれません。

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I & H 株式会社
現在、グループ企業が関連事業を含めて60社を超えています。かなり意欲的にM&Aをなさってきた結果だと思いますが、比較的、緩やかなグループ運営をなさっています。

【岩崎】M&A先企業の文化を大切にしていますので、こちらの風土を押し付けるような運営は厳に慎んでいます。つまり、M&Aを行う際、大手と張り合ってお金を出し合う競争をしたら、私どもに勝ち目はありません。お金も続きませんから、M&A先が快く私どもに来ていただく環境を用意する必要がありました。そのため社長も社名も変えませんし、薬局名も変えないという条件でグループに入っていただくようにしました。阪神調剤薬局のやり方は押し付けませんし、逆に、われわれが学ぶことも少なくありませんでした。
10年ほど前は、単独店のM&Aの例は稀でした。チェーン店を買収したほうが効率的ですし、一気にグループ店舗が増加しますから、単独店は見過ごされていました。しかし、われわれは1店舗の薬局でもグループに入っていただくようにしました。逆に言いますと、お相手の企業文化を尊重しつつ、1店舗の薬局でも仲間に入っていただくような手法を採らない限り、M&Aで規模の拡大が進められなかったということです。

2019年に現在のI&Hが設立されました。

【岩崎】おっしゃる通り、2019年2月にI&H株式会社を設立し、その後、純粋持株会社だった阪神調剤ホールディングと事業会社である阪神調剤薬局を合併し、グループを再編しました。つまり、現在のI&Hは事業持株会社です。ですから現在は阪神調剤薬局という法人はなく、I&Hが62社の事業会社を束ねつつ、薬局事業も行っています。I&Hは教育・採用など幅広い機能を持っていますが、事業会社でも独自に教育・採用機能を有しているところがあり、お互いに連携する場面も少なくありません。もちろん、私どもが勉強させていただき、他の事業会社に横展開することも度々あります。
そうした事業会社と情報交換する場として、グループ全体の社長会を月1回、開催しています。これには事業会社の全社長と、社長を補佐するスタッフ、例えば事業会社のエリアマネージャーなどが参加します。議題はさまざまで、グループ内に関するテーマもありますし、中医協の議論について情報共有することもあります。社長会は1時間半から2時間くらいで終わるのですが、その後、地域ごとに8ブロックに分かれたグループ会議を行っています。グループ長を指名していますので、われわれI&Hの考えや情報共有の徹底が、このグループ会議の目的になります。一方、グループ長だけが参加する会議も月1回、開催しています。

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